18/06/16
投資の損を招く「心の罠」にかからない方法〜アンカリング効果〜
なにかを判断する時に、既に持っている情報に引きずられてしまう「心の癖」をアンカリング効果といい、投資判断の際の「心の罠」となり損を招くこともあります。
今回は、心の罠のひとつである「アンカリング効果」の対処方法を紹介します。
アンカリング効果とは?
「アンカリング」とは船を港等に安全に固定させるための道具、アンカー(いかり)が語源となっています。
アンカリングは人に関わる心理学上の言葉ですので、アンカリング効果とは人の心に情報のアンカーを下ろすことにより、様々な判断に影響を与える「心の癖」のことをいいます。
テレビショッピングではアンカリング効果を狙って販売促進が行われています。
例えば「通常価格20,000円の商品が今なら何と!10,000円!」なんてフレーズを聞いたことないですか?
この「通常価格20,000円」が情報のアンカーです。20,000円という金額がアンカーとなり、アンカーに引きずられて視聴者が「10,000円ならお得!」と感じさせることを狙ったものです。
投資判断時にはアンカリング効果により損を招くことも
日本は長らく20年以上の景気低迷期を経験し、株価が下がる景色を見ることになれてしまっていて、株は下がるもの、儲からないものと考えている方も多いです。
そのため、お金は手堅く預貯金に預けておくことが良いと考えている人はたくさんいらっしゃることでしょう。しかし、お金を確実に守るためにと思ってのこの行動も、現状の低金利では思うようには増えません。
株は上がらないという過去の経験がアンカーとして「心の罠」となり、投資を避け、投資で利益を得られるチャンスを逃してしまい、結局損をしてしまう行動につながる可能性があるということです。
アンカリング効果の心の罠にかからないための方法
人は、どうしても過去の経験からの情報をモノサシとして、何事も判断しがちです。それが必ず悪い結果につながるということではありませんが、モノサシを持つゆえに時に判断を誤ってしまうこともあります。これがアンカリング効果の心の罠です。
では、この心の罠にかからないようにするためにはどのようにすればよいのか?
まずは、人というものは既に得ている情報を基準にして物事を判断してしまう心の癖を持っているということを認識することです。そして常に何かを判断する時には、今、持っているアンカーとは全く逆方向のアンカーを「無理やり」にでも考え出してみるといいでしょう。
例えば、バーゲンで、つい必要ないものまで、「50%オフなら安い」と感じて衝動買いをしてしまった経験持っている人は多いかと思います。でも、冷静に観察してみるとバーゲンの時でも値段が下がらない商品ってありますよね。そこで、「無理やり」に、50%オフになっている理由を逆方向のアンカーとして考え出すんです。「売れ残った商品」「欠陥がある」というように。この方法がアンカリング効果による無駄遣いを減らすには一番有効でしょう。
また、投資については自分で無理やりに逆方向のアンカーを考えるのは難しいかと思います。自分の既にも持っているモノサシ以外の情報を得るため、ファイナンシャルプランナー等の専門家に相談したり、運用に関する様々な勉強会に参加したりするといった行動は有効でしょう。
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小林 裕子 ひろファイナンシャルプランニング代表 CFP ・1級FP技能士
2008年FP相談業務開始。2014年事務所運営スタイルを金融機関等からの紹介手数料を一切得ず、報酬は顧客からの相談料のみとするフィーオンリーへ移行。「ファイナンシャルプランニングは100人100様」をモットーにライフプランの実行支援を行っている。
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