17/07/03
老後のリスクを考えれば賃貸よりマイホーム購入がよい
マイホームを買うべきか賃貸すべきか、損得の比較については様々な考え方がありますし、住んでいる場所によっても答えが違うかも知れません。しかし、意思決定にあたっては、損得だけではなく、リスク管理も重要です。そして、リスクを考えれば自宅の方が安心なのです。
今回は賃貸住まいのリスクについて考えてみましょう。
老後の最大のリスクは長生きとインフレ
老後の生活資金が足りなくなるかもしれないという不安は、多くの人が持っているでしょう。では、老後資金が不足するのは、どういう場合でしょうか。
もちろん、老後のための蓄えが少ない人はリスクが大きいですし、老後も働く人に比べて働かない人はリスクが大きいですし、政府の財政赤字などによって年金支給額が大幅にカットされてしまうリスクもあるでしょう。
しかし、何と言っても最大のリスクは「長生き」と「インフレ」なのです。最悪なのは「長生きをしている間にインフレが来る」というダブルパンチですね。
長生きは、良い事なのですが、老後資金の事だけを考えれば、リスクです。老後の蓄えを少しずつ取り崩して生活している間に、長生きして老後資金が枯渇してしまったら、困ってしまうでしょう。女性は今でも長生きですが、今後は医学の進歩で男女ともに一層長生きするようになるでしょう。
インフレもリスクです。老後資金を銀行預金等にしている人は多いと思います。インフレになれば、預貯金が目減りしてしまいます(同額の預貯金で買える物が減ってしまいます)。老後の蓄えの多くを株式や外貨といったインフレに強い資産で持っていれば大丈夫なのですが、株や外貨は値下がりリスクがあるので、それほど多額に持っている人は少ないでしょうね。
賃貸住まいで長生きしてインフレが来ると家賃負担が大変
賃貸住まいをしていれば、家賃を支払う必要があります。長生きをすれば、その分だけ家賃は増えますし、インフレになれば家賃は値上がりするでしょう。長生きしている間にインフレが来れば、一生の間に払う家賃の額は飛躍的に増えてしまいます。
一般の生活費がダブルパンチで増える時に、家賃まで増えるのではトリプルパンチです。これは是非、避けたいですね。
自宅を持っていれば、「自宅が値下がりしてしまった」というリスクはありますが、ずっと住むのであれば、値下がりしても関係ないでしょう。
高齢者の一人暮らしは借家が借りにくい
金銭面のリスクに加え、高齢者の一人暮らしは借家が借りにくいというリスクもあります。女性は、男性に比べて寿命が長いので最後は一人暮らしになる可能性が高いでしょうが、そんな時に何らかの事情で引越しをする事になったら大変です。大家さんたちは「孤独死されたら困る」という事で、一人暮らしの高齢者には家を貸したがらないのです。家が借りられなかったら、それこそ大変ですよね。自宅暮らしなら、そうしたリスクもなく、安心ですね。
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塚崎 公義 経済評論家
1981年東京大学法学部卒後、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関係の仕事に従事した後、2005年に銀行を退職して久留米大学へ。現在は久留米大学商学部教授であるが、当サイトへの寄稿は勤務先とは関係なく個人として行っているため、肩書きは経済評論家と記す。
「退職金貧乏 定年後の『お金』の話」「老後破産しないためのお金の教科書」「増補改訂よくわかる日本経済入門」「世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書」「日本経済が黄金期に入ったこれだけの理由」など著書多数。
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