24/07/31
50代、60代、70代で働く人の割合と年収はどう違う?
定年延長や再雇用制度の充実に伴い、50代、60代、70代の年齢層では、「働けるうちは働く」という選択をする人が増えてきているようです。平均寿命も延びていますし、長生きして老後のお金が不足する長生きリスクを心配しているからかもしれません。
働くことは、収入を得るだけでなく、規則正しい生活ができたり、人との交流が生まれたり、やりがい・生きがいを感じたりなどのメリットもあるのでおすすめです。
今回は、50代、60代、70代の働く人々の割合や年収の推移をご紹介します。
50代、60代、70代の働いている割合はどのくらい?
総務省「2023(令和5)年 労働力調査年報」では、50~70代の人々の「就業率の推移」を確認できます。50代(45~54歳)、60代(55~64歳)、70代(65~69歳・70~74歳)を区切った場合の就業率は、以下のとおりです。
<年齢階級別・男女別の就業率>
総務省「2023(令和5)年 労働力調査年報」
50代だと、男女あわせて8割以上の人が働いていることがわかります。60代前半になると74.0%、後半になると52.0%と徐々に減ってはいますが、今は60代後半でも約半数の人が働いているということもできます。さらに、70代でもなお現役で働いている人もいます。男女別に見ると、男性の方が全体的に働いている人の割合が多くなっています。なお10年前と比べると、60代・70代の就業率は10%以上も上昇しています。
高齢者の就業を積極的に受け入れる企業は多いですし、身体も元気な方が多いこともあり長く働くことを選ぶ方が増えているようです。
50代・60代・70代の平均年収はいくら?
50代以降働いている人の平均年収を厚生労働省「2023(令和5)年賃金構造基本統計調査の概況」で確認してみましょう。
<50代・60代・70代の平均年収>
厚生労働省「2023(令和5)年賃金構造基本統計調査の概況」より筆者作成
上の表では、調査データにある「きまって支給する現金給与額」を給与(月額)、「年間賞与その他特別給与額」を賞与などとして表示しています。そして、「給与×12か月+賞与など」を年収として表しています。
男性の平均賃金のピークは55~59歳の45万8900円です。しかし、60~64歳になると約8割、65~69歳になると約7割に減ります。
一方、女性の平均賃金のピークは、50~54歳の30万4200円。こちらも、定年後の年収はピーク時期と比べ7~8割に減りますが、女性の年収の減少割合は男性に比べると緩やかです。
また、60代以降賞与の金額が減っていることからは、正社員として再雇用・再就職する人の割合が少なくなっていることが考えられます。
定年後も働くことのメリット
定年後、働く人が増えています。長く働くと得られるメリットには以下の3つがあります。
●働き続けるメリット1:年金収入だけでは不足する生活費が得られる
原則65歳になったらもらえる年金額(国民年金+厚生年金)の平均は14万3973円(厚生労働省「2022(令和4)年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」)です。会社で働いていることで国民年金に加えて厚生年金ももらえますが、決して十分な金額ではないでしょう。節約して日常の暮らしがなんとかできたとしても、趣味や旅行までを十分に賄うには無理があります。
そういった点では、働いて収入が得られれば余暇を楽しむことも可能でしょう。そればかりではなく、孫や子供へのプレゼントや、電化製品などの買い替えに備えた貯蓄もできるでしょう。
●働き続けるメリット2:社会保険に加入できる
定年後も働き続け、要件を満たしていれば、社会保険(健康保険、厚生年金)に加入できます。たとえば、厚生年金は、満70歳まで加入することができます。また、健康保険は75歳以上になれば後期高齢医療制度に切り替わりますが、それまでは、今まで同様の健康保険に加入して、健康診断や人間ドックなどを割安に受けることができます。
また、老齢厚生年金の受給額は、厚生年金の被保険者としての加入期間と、働いていたおおよその給与収入等(総報酬月額相当額)によって計算されます。定年後も厚生年金に加入し、厚生年金加入期間が長くなるほど将来もらえる老齢厚生年金の受給額が増えることになります。
●働き続けるメリット3:健康を維持できる
仕事を続けることで、規則正しい生活リズムが維持できます。体を動かすことで足腰が鍛えられ、頭を働かせることで認知機能が磨かれます。そのおかげで、食欲もわき、夜もぐっすり眠れることでしょう。
50代・60代・70代で働く人の割合と平均年収を確認してきました。今は高齢になっても体力がある元気な方が増えています。働くことは、お金の面はもちろん、健康の面でもプラスになります。今後も長く働く方が増えていくでしょう。
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舟本美子 ファイナンシャルプランナー
「大事なお金の価値観を見つけるサポーター」
会計事務所で10年、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として14年働いたのち、FPとして独立。あなたに合ったお金との付き合い方を伝え、心豊かに暮らすための情報を発信します。3匹の保護猫と暮らしています。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。FP Cafe登録パートナー
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