24/04/24
生活費が高くなる「意味のない節約」7選
物価の上昇が家計をダイレクトに襲う昨今、お金を貯めたいなら「まず節約」と考える方は多いでしょう。確かに、節約をして生活費を減らすことができたら、自由に使えるお金・貯められるお金を増やせます。しかし、何も考えずに取り組む節約には要注意。生活費を減らすための節約が、実はまったく効果がなかったり、むしろ節約にならなかったりしたら、悲しいですよね。今回は、生活費が高くなる「意味のない節約」7選と、意味のある節約のポイントを解説します。
生活費が高くなる節約1:たくさん一度に買う「まとめ買い」をする
「ジャンボパックはお買い得!」「1つ350円、3つで1000円」「BUY 2 GET 1 FREE」(2つ買うと1つ無料)…店先で、こんな表記を見たことはありませんか。確かに、まとめ買いすると1つあたりの単価が下がって、お得になるように感じます。
しかし、いくらまとめ買いで単価が安かったとしても、使いきれないとかえって損になってしまいます。鶏もも肉が3枚入ったパックを1000円で買えば、1枚の単価は333円ですが、仮に1枚だめにしてしまったら、この鶏もも肉は1枚500円だったことになります。
また、2つ買うと1つ無料になるからといって、使うあてのない洋服や必要のない雑貨を無理して買うようでは、生活費が高くなってしまいます。
食品で、どうしてもまとめ買いしたいのであれば、痛まないように小分けにして冷凍保存するなどの対策を徹底しましょう。そして、無駄にせず全部使い切るようにします。在庫がたくさんあると、ついちょっと多めに使いがちですが、それもNG。普段どおりに使うようにしましょう。
洋服や雑貨などは、無理にまとめ買いして安く買おうとするよりも、本当に気に入ったものだけを選んで買うほうが、満足度も高いでしょう。
生活費が高くなる節約2:いろいろな店で買う「はしご買い」をする
「野菜はこっちの店が安い」「○日はそっちの店で玉子の特売」「ガソリンは少し遠いけどあっちのガソリンスタンドがお得」など、安売り情報に詳しい方がいます。複数の店を「賢く使い分けている」のだというのですが、おすすめしません。
さまざまな商品が値上がりする今、1円でも安く買い物をしたいと考える方は多いでしょう。しかし、物にもよりますが、はしご買いでお得になる金額はせいぜい数十円程度。買い物にかける時間や手間、移動にかかる交通費などを考えると、とても見合う節約にはなりません。さらに、移動した先の店で他の商品が気になって、ついつい買ってしまう可能性も。これでは生活費が高くなってしまいます。
数十円の節約に時間やお金をかけるよりも、買い物する店をひとつに絞ったほうが、結果として節約につながることが多いでしょう。
生活費が高くなる節約3:「安いから」お金を払う
閉店前のスーパーに行くと、「2割引」「3割引」「半額」などのシールが貼られた食品が並んでいます。賞味期限が近いのか、あまり売れなかったのか、その理由はさまざまでしょう。生活費を削減するという視点で考えれば、安いほうがうれしいですよね。
店側としても、売れずに残って処分してしまうよりも、安くしてでも売れば多少なりとも売上につながるのですから、ある意味「win-win」です。
しかし、安いからという理由だけで買ったものの満足度は、あまり高くないように思います。結局食べなかった、あまり使わなかったという買い物が増えてしまうと、結果として節約になりません。
買い物をするときは「安いから」ではなく、「本当に欲しいから」「必要だから」買うようにしましょう。多少値が張ったとしても、長い目で見れば満足度も高く、無駄も減るので節約につながります。
生活費が高くなる節約4:「駐車場無料・送料無料」のためにお金を払う
「○円以上のお買い上げで駐車場無料(送料無料)」もよく見かけますね。1万円以上の買い物で駐車場が無料になるというのに、今日の買い物は8000円…となったら、もう2000円ほど買い物して、駐車場代を安くしたいと考えてしまいそうです。
しかし、店側からすれば、駐車場を貸すだけで、もともと8000円の買い物をする予定の人が1万円使ってくれるようになるのですから、うれしいでしょう。
駐車場代や送料は買い物した商品の値段とは別にかかるため「もったいない」という気持ちになりがちです。しかし、駐車場無料や送料無料のために、いらないものを買うのは本末転倒。生活費が高くなってしまいます。
本当に必要なもの、利用するものを買って無料の条件を達成できるのであれば、まだいいかもしれません。しかし、無駄なもの買うくらいならば、いっそのこと駐車場代や送料を払ってしまったほうが、結果として支出が少なくなるでしょう。
生活費が高くなる節約5:ポイントを貯めるために「キャッシュレス決済」を使う
クレジットカード、電子マネー、スマホ決済などのキャッシュレス決済。現金よりも手軽に支払えて、買い物に応じてポイントが貯められるのでお得です。
しかし、中にはポイントを貯めるためにキャッシュレス決済を使う方もいます。「毎月○万円以上使用」「毎月○回以上決済」などの条件を満たすと還元率が0.5%上がるからと、無理矢理買い物してしまうのです。この場合、条件を満たせても、特典は「還元率+0.5%」ですから、とても労力に見合いません。生活費が高くなってしまいます。
また、たくさんのキャッシュレス決済を使い分けている方もいます。確かに、お店によって利用できるキャッシュレス決済が違うこともありますし、特定のお店での還元率がアップするキャッシュレス決済もあります。しかし、あまりたくさんのキャッシュレス決済を使いわけていると、貯まるポイントが分散してしまい、使いにくくなってしまいます。そのうえ、支出の管理も大変です。
キャッシュレス決済は便利なものですが、使い方は「現金と同じように」が基本。また利用するキャッシュレス決済もできるだけ絞って、集中してポイントを貯めるのがおすすめです。そうすることで、ポイントも使いやすくなるでしょう。
生活費が高くなる節約6:ポイントをただ「貯める」
今やポイントはお金と同じようなもの。1ポイント=1円で使えて、支出削減に貢献してくれます。ただ、ポイントは使わなければ支出削減につながりません。ポイントをたくさん貯めるだけ貯めて、使っていない方はいませんか。
筆者が先日会った友人が「1万ポイント貯めて○○を買うのが目標」と話していました。目標があるのはいいとは思いますし、「全額ポイントで買えた!」という爽快感(?)があることもわかります。しかし、それであれば、たとえば100ポイント使って浮いた100円を貯金し、1万円になったら◯◯を買うほうが合理的です。ポイントよりお金のほうが、汎用性がありますよね。
ポイントには、有効期限がある場合があります。うっかり有効期限が過ぎてしまったら、その分減らせるはずだった支出が減らせなくなってしまいます。また、ポイントサービスもずっと続くとは限りません。極端なことをいえば、サービスが終了したり、店舗が閉店したりすることだって、ないとはいえないのです。
1万ポイントを1回で使うのと、100ポイントを100回使うのとで節約できる金額はどちらも1万円です。それであれば、ポイントが使えなくなるリスクを減らすためにも、少しずつ使っていくことをおすすめします。
生活費が高くなる節約7:食費を節約する
「節約」というと、食費の節約をイメージする方が多いようです。食材のグレードを落としたり、安い食材ばっかり使ったりすれば、もちろん食費の節約はできるでしょう。
しかし、食事はやはり楽しみなもの。節約レシピばかりの毎日は大変ですし、ストレスがたまってしまいます。ストレスがたまる節約は、長続きしません。それに、豊かな食事は健康にもつながります。食費を節約しても、体を壊して病院にかかるようでは、やはり生活費が高くなってしまいます。
もちろん、だからといって食費は無駄遣いしてもOK、高級食材を買いなさいというわけではないことはお分かりですね。食費の節約は無駄遣いをしない程度に抑えて、他のところで節約に取り組みましょう。
生活費が安くなる「意味のある」節約をしよう
効果的な節約をするには、無理なくできて効果の高い「固定費」の節約を優先しましょう。
固定費とは、毎月一定額決まって発生する費用のこと。たとえば住居費、水道光熱費、通信費、保険料、車の費用などがあります。それに対して変動費は、月によって金額が異なる費用のことです。食費、日用品費、被服費、美容費、交際費、医療費などがあります。
食費のところでも触れましたが、変動費の節約はストレスがたまります。お腹が空いても食べられない、身だしなみに気を使えない、病院にもろくにかかれないでは、生活の質が下がってしまいます。また、変動費も節約ができないわけではないですが、涙ぐましい努力をしてようやく数百円節約できたという具合に、効果が小さい節約も多いのです。
一方、固定費は、一度見直すだけで大きな節約が期待できます。しかも、固定費を減らせば以後は毎月の費用が減りますので、節約の効果が長続きします。節約をするならまずは固定費からにしましょう。
たとえば、次のようなことを検討してみるのがよいでしょう。
【住居費】
・賃貸住まいなら、より安い物件に住むことを考える
(たとえ引っ越し代がかかっても、長い目で見れば支出削減につながる)
・持ち家で住宅ローンがあるなら、住宅ローンの借り換えを検討
【通信費】
・大手キャリアを利用しているならば、格安スマホのサービスを活用する
・自分の利用状況にあったプランを選ぶ
【電気代・ガス代】
・契約アンペア数を下げる
・電気とガスの「セット割」を利用する
【水道代】
・節水シャワーヘッドや食器洗い乾燥機を活用する
仮に、固定費の節約で毎月の出費が1万円減らせたら、手取りのお金が1万円ダイレクトに増やせるのと同じ効果が得られます。働いて給与を1万円増やしたのでは、こうはいきません。給与からは税金や社会保険料が引かれてしまうからです。ですから、ぜひ意味のある節約を取り入れましょう。
一見お得なようで実は生活費が高くなる「意味のない」節約を紹介してきました。自分も実践している、心当たりのある節約はありませんでしたか? もしこれらの節約をしているようであれば要注意。正しい節約を心がけ、支出を減らしていきましょう!
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畠山 憲一 Mocha編集長
1979年東京生まれ、埼玉育ち。大学卒業後、経済のことをまったく知らないままマネー本を扱う編集プロダクション・出版社に勤務。そこでゼロから学びつつ十余年にわたり書籍・ムック・雑誌記事などの作成に携わる。その経験を生かし、マネー初心者がわからないところ・つまずきやすいところをやさしく解説することを得意にしている。2018年より現職。ファイナンシャル・プランニング技能士2級。教員免許も保有。趣味はランニング。
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