24/06/07
【新NISA】積立中の投資信託が販売停止になったら?資金はどうなる?
少額から始めることができて、いつでも好きなタイミングで好きなだけ購入できる投資信託(ファンド)。2024年から新NISAを始めた方も、手軽でわかりやすいからと、投資デビューの金融商品に投資信託を選んだ方も多いのではないでしょうか。
しかし、そんな投資信託もまれに販売停止となり購入できなくなる場合があります。今回は、投資信託が販売停止になる理由や、もし販売停止になった場合どうすべきかを解説します。
投資信託が販売停止になる理由
投資信託が販売停止になるパターンは大きく分けて2つあります。
●繰上償還されるパターン
投資信託の運用期間を「信託期間」といい、信託期間の最終日を「償還日」と呼びます。ファンドによって、信託期間があらかじめ定められているものもあれば、決まっていないものもあります。
しかし、人気がなく購入する人が少なかったり、解約が相次いだりするようなファンドは、償還日を待たず繰上償還されてしまう可能性があります。また、信託期間が無制限に設定されているファンドが上記の理由で販売停止になるのも、繰上償還にあたります。繰上償還されると、運用していた資産は償還日時点の基準価額(償還価額)で清算され、「償還金」として戻ってきます。
投資信託は多くの投資家から資金を集めて運用する金融商品ですから、運用資金が少なくなりすぎると効果的に運用できなくなってしまうのです。
繰上償還は突然行われるわけではなく、あらかじめ通知されます。通知を受け取った投資家は、一定期間繰上償還への異議を申し立てることができます。しかし、なかには一定の条件が揃うと自動的に繰上償還されてしまうファンドもあります。繰上償還される条件は目論見書に記載されているため、購入前に必ず確認しておいてください。
新NISAで購入できるファンドからは、「信託期間が20年未満」の投資信託は除外されています。信託期間の決まっていないファンドもたくさんあります。ただ、たとえ信託期間の決まっていないファンドでも、条件を満たせば繰上償還が行われる可能性があります。新NISAで保有しているファンドが繰上償還されても、同年内に償還されたファンドの非課税投資枠を再利用することはできません。
もっとも、新NISAの場合は翌年になると非課税投資枠が復活しますので、翌年以降であれば再利用できます。ただし、再利用する場合も1年間に投資できる金額は年間投資枠(つみたて投資枠120万円・成長投資枠240万円、合計360万円)の上限までです。
●人気がありすぎて募集停止になるパターン
人気がなく繰上償還されてしまうパターンと逆に、人気がありすぎて募集停止になってしまうパターンもあります。
投資信託のファンドは、必ずしも「購入する人や口数が多ければ多いほどよい」というわけではありません。特定のファンドが大人気になり運用資金が集まりすぎると、そのファンドが市場にもたらす影響が大きくなり、そのファンドを運用するだけで市場の数値が動きかねないためです。
投資信託は、ファンドごとに「信託金限度額」という上限額が定められています。信託金限度額はファンドや市場規模によって大きく異なりますが、アクティブファンドよりインデックスファンドのほうが大きくなる傾向が高いです。
投資信託の純資産総額が信託金限度額に近づくと、募集が停止されます。また、ファンドによっては信託金限度額を増やしても問題なく運用できると判断され、限度額の引き上げが行われることもあります。
なお、人気がありすぎて募集停止になったパターンでは、のちに資産残高が減った結果、募集が再開される可能性もあります。
新NISA開始後に話題になったファンドに「日本好配当リバランスオープン」があります。分配金利回りが高かったこと、新NISAを利用すれば分配金を非課税で受け取れることから人気が集中。「純資産規模を運用可能な適正範囲に維持するため」に2024年2月7日をもって新規購入申し込みを一時停止しています。本稿執筆時点(2024年5月28日)時点でも新規購入や新たな積み立ての設定はできません。なお、申し込み停止前に積み立ての設定をしていた場合は引き続き積み立てができます。
積み立て中の投資信託が販売停止になったらどうすればいい?
新NISAであってもなくても、積み立てていた投資信託が繰上償還されると、強制的に損失が確定してしまいます。「もう少し待てば基準価額が回復して利益が出たかもしれない」というタイミングで繰上償還が行われると、非常にもったいないですよね。
また、繰上償還されると一度運用が止まり、新たな投資先を選ぶ必要があるため、手間がかかり運用効率も悪くなってしまいます。
そのため、そもそも繰上償還されそうなファンドは投資先に選ばないことをおすすめします。繰上償還される基準は明確に決まっておらず、ファンドによっても異なりますが、純資産総額が50億円未満、基準価額が3000円未満のファンドはやめておいたほうがいいかもしれません。
一方、人気がありすぎて募集停止になりそうなファンドに関しては、そこまで気にする必要はありません。あくまでも募集を停止しただけですから、これまで積み立ててきた資金は償還されず、そのまま運用を続けることができるためです。すでに設定している積み立ても、継続できるケースが多くあります。また解約したい場合も、自由に解約が可能です。
繰上償還されにくいファンドを選ぼう
新NISAでもつみたて投資枠・成長投資枠を利用していつでも好きなタイミングで購入できる投資信託ですが、まれに販売停止となることがあります。繰上償還されると損失が確定してしまい、運用がストップしてしまうため、投資効率が下がってしまいます。
投資信託を選ぶ際には、そのファンドが繰上償還されてしまわないか検討したうえで選びましょう。特に長期投資を考えている方は、純資産総額や基準価額があまりに低く、今後の回復も見込めないようなファンドは避けたほうが無難でしょう。
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木下七夏 Webライター
大学卒業後金融機関に勤め、個人のお客さま向けの営業を担当。退職後にFP2級を取得し、フリーライターに。FPで学んだ知識や金融機関勤めの経験を生かして、生活にまつわるお金の疑問を分かりやすく噛み砕いて解説する記事を作成している。
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