24/06/10
年収800万円片働きと年収400万円共働き、将来の年金額は8万円違うって本当?
現役時代の年収が多ければ、老後の年金も多くなるのが一般的です。しかし、現役時代の働き方によって、世帯年収が同じでも、夫婦の年金の合計額に差ができてしまいます。今回は、世帯年収800万円の片働き世帯と共働き世帯の年金額を大まかに計算し、比較してみます。
老後の年金は人によって違う
我が国の公的年金制度は2階建て構造です。1階部分の国民年金には20歳以上60歳未満の全員が加入、2階部分の厚生年金は会社員や公務員が加入しています。そして65歳になると、国民年金から老齢基礎年金が、厚生年金から老齢厚生年金が支給されます。
老齢基礎年金は国民年金の加入期間によって変わり、40年間加入を続けた人は満額の年金を受け取れます。一方、老齢厚生年金は加入していた期間の長さだけでなく、収入によっても変わります。
夫婦で暮らしている場合、老後は2人分の年金を受け取ることになります。ですが、家庭によって年金額には幅があります。収入だけでなく、働き方の違いでも差が出てきます。現役時代に厚生年金に加入していなかったため、老齢基礎年金しか受け取れない人もいるからです。
たとえ世帯年収が同じであっても、働き方によって受け取る年金額は変わります。ここでは、世帯年収800万円で次の2つのパターンについて試算してみます。
・夫が年収800万円の会社員、妻が専業主婦である夫婦
・夫が年収400万円の会社員、妻も年収400万円の会社員である夫婦
年収800万円の夫(会社員)と専業主婦の妻の世帯が受け取れる年金額は?
夫が会社員、妻が専業主婦(または扶養内パート)の世帯では、夫婦2人分の老齢基礎年金と夫1人分の老齢厚生年金を受け取れます。老齢基礎年金の満額は81万6000円(令和6年度、昭和31年4月2日以後生まれの場合)なので、2人分で
老齢基礎年金(2人分)=81万6000円×2=163万2000円
となります。
老齢厚生年金は、「平均標準報酬額×5.481/1000×加入月数」という計算式で、だいたいの額が求められます。平均標準報酬額とは1か月あたりの給料の平均額と考えます。現役時代の平均年収を800万円とすると約67万円ですが、計算に使う平均標準報酬額は65万円が上限となっています。会社員として40年働いたとすると、受け取れる老齢厚生年金の額は次のとおりです。
老齢厚生年金(1人分)=65万円×5.481/1000×480か月=171万0072円
以上より、世帯単位で受け取れる年金額は次のとおり約334万円です。
老齢基礎年金(2人分)+老齢厚生年金(1人分)
=163万2000円+171万0072円
=334万2072円
夫婦ともに年収400万円の会社員の世帯が受け取れる年金額は?
今度は、夫婦共働きでどちらも年収400万円の会社員という世帯を想定し、年金額を計算してみます。共働き世帯では、夫、妻とも老齢厚生年金を受け取れます。
現役時代の平均年収が400万円の場合、平均標準報酬額は34万円となります。夫婦とも40年間勤務したと仮定すると、老齢厚生年金額は次のとおりです。
老齢厚生年金(2人分)=(34万円×5.481/1000×480か月)×2=178万8998円
世帯単位で受け取れる額は
老齢基礎年金(2人分)+老齢厚生年金(2人分)
=163万2000円+178万8998円
=342万998円
となり、約342万円です。
老後を意識して働き方を考えよう
上記の試算より、同じ世帯年収800万円でも、片働き世帯と共働き世帯では約8万円の年金額の差があることがわかります。今回の試算では1か月あたり7000円弱の差であるため、あまり気にならない人もいるかもしれません。
実際には共働きでも夫婦の収入に差があったり、専業主婦でも独身時代に厚生年金加入歴があったりすることが多いでしょう。気になる人は、大まかに年金額を試算してみてください。
公的年金は一生涯受け取れるため、できるだけ年金額を増やしておくのが安心です。元気で働ける間は年金を増やせるチャンスです。老後のことも意識して働き方や厚生年金加入を考えましょう。
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森本 由紀 ファイナンシャルプランナー(AFP)・行政書士・離婚カウンセラー
Yurako Office(行政書士ゆらこ事務所)代表。法律事務所でパラリーガルとして経験を積んだ後、2012年に独立。メイン業務の離婚カウンセリングでは、自らの離婚・シングルマザー経験を活かし、離婚してもお金に困らないマインド作りや生活設計のアドバイスに力を入れている。
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