17/08/14
親子で考える資産情報の残し方
夏休みを利用してご両親のもとに帰省なさった方も多いでしょう。まだまだ親御さんは元気とはいえ、いつどんなことが起こるか分かりません。病気や介護が必要なときにどう対応するのかは、本人の希望だけではなく、どうしてもお金の問題が絡んできます。
親の資産・負債整理に便利なのが「エンディングノート」
今までできなかったことをしたい。そういった思いからリタイア後に、旅行をしたり、趣味を楽しんだりすることは喜ばしいことです。しかし、漫然と生活をしているだけなら人生100年時代に対応できないかもしれません。
しかし親子であっても、「いくら資産があるか」とダイレクトに聞くことは、なかなかできるものではありません。普段から資産管理がしっかりできていなければ、親御さんもすぐには答えられないことの方が普通ではないでしょうか。ある程度ライフスタイルが確立して、時間の余裕があるこの時期に資産の把握をしておくことは必要です。
リタイア後を安定的に過ごすためには、まずどんな資産や負債があるかを知ることが必要です。資産の内容を書き記すのに便利なものが、「エンディングノート」です。現預金、有価証券、保険などの内容や金融機関名などを書き込めるようになっています。
保険は特に確認が必要
書いておくほどの資産や負債はないと思っていても、それは本人以外の人には分かりません。たとえば、どの銀行と取引があるのか、どの支店に口座があるのかということも話す機会がなければ、知ることができません。
金融機関名においては、店舗がある金融機関はまだいいのですが、ネット銀行やネット証券などは取引があることすら分からないままになる恐れがあります。きちんとした方法でIDやパスワードなどの情報を残す必要があります。
その中でも特に気をつけておきたいのが保険です。毎月保険料を負担しているのに、保険会社や連絡先を明らかにしておかないと、肝心なときに保険金を受け取れない可能性があります。本人が意思表示できないときのために、指定代理請求人の特約がつけられているかも確認しておきましょう。
老後の対策はできることから少しずつ
資産や負債の把握は重要なことなのですが、本人が元気なときにやっておくべきことはまだまだあります。
書き記した金融機関で、休眠口座やあまり使っていない口座があれば、思い切って解約することを検討しましょう。親子といっても金融機関から見れば子どもは「第三者」です。何の権限も与えられていなければ、本人の預金をおろしたり処分したりすることはできません。
同じようなことは、クレジットカードにもいえます。使うカードと使わないカードとを分け、使わないものは解約しておくことをおすすめします。
こうしておくことで、カードの管理や口座引き落としもわかりやすくなりますし、何といっても相続の手続きが少なくて済みます。
親にエンディングノートをプレゼントする
資産や負債の把握ができると、将来の生活設計や贈与・相続などの計画をたてる上で、大きく役立ちます。
親にアクションを起こしてもらう方法として、「よかったら使ってみて」と、子どもさんから親御さんへエンディングノートをプレゼントするのもいいでしょう。これからどんな老後を過ごすのかを考えるときに役立ちそうですね。離れて暮らす親子の距離を縮めるツールとして活用してはいかがでしょうか。
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池田 幸代 株式会社ブリエ 代表取締役 本気の家計プロ®
証券会社に勤務後、結婚。長年の土地問題を解決したいという思いから、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)を取得。不動産賃貸業経営。「お客様の夢と希望とともに」をキャッチフレーズに2016年に会社設立。福岡を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
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