21/10/22
40歳から支払う介護保険料、もっとも高い市区町村はどこ?
日本では40歳になると介護保険に加入し、介護保険料を負担することになります。ここで気になるのは介護保険料の額です。介護保険料は一生払い続けなければいけないもの。そのため、年金生活となる65歳以上になったとき、その負担が心配になります。
そこで今回は、65歳以上の人が支払う介護保険料について、これまでの推移や保険料の決まり方のほか、もっとも保険料が高い市区町村をご紹介します。
介護保険制度とは?
介護保険制度とは、介護が必要な人を社会全体で支え合う仕組みのことで、2000年から始まりました。介護が必要になったときは要介護認定を受けます。要介護度が認定された後、ケアマネージャーがケアプランを作成してくれて、サービスの利用が始まります。介護サービスは基本的には1割負担で利用できますが、所得の多い人は、所得に応じて2割負担、3割負担となります。
第1号被保険者となる65歳以上の人は、基本的にどのサービスでも受けられますが、第2号被保険者となる40歳~64歳の人は、16の特定疾病に該当する場合のみ介護サービスの利用ができるようになります。
年々値上がりが続く介護保険料
介護サービス費は、利用者が自己負担割合の部分を支払い、残りの部分は介護給付として支給されます。介護給付の財源は、税金などの公費から50%、第1号被保険者が納付する保険料から23%、第2号被保険者が納付する保険料から27%が賄われます。つまり、介護サービスの半分を支えているのが、利用者が負担する介護保険料なのです。
介護保険料は、2000年に介護保険が始まってから、3年に一度改定されてきました。その際、保険料はどう変わってきたのでしょうか。ここで65歳以上の人が納める介護保険料の全国平均の推移を見てみましょう。
●介護保険料 全国平均の推移
厚生労働省「第8期介護保険事業計画期間における介護保険の第1号保険料及びサービス見込み量等について」をもとに筆者が作成
介護保険制度が始まった第1期(2000年度~2002年度)では、介護保険料の全国平均は2,911円でした。その後は期が変わるごとに保険料は値上がりし、第8期(2021年度~2023年度)は6,014円となりました。介護保険制度が始まった当初の2倍以上も増額しているのです。
そもそも介護保険料は、高齢化率や介護サービスを必要とする人の数、利用される介護サービスの内容などにより変わってきます。住んでいる市区町村で介護サービスを利用する人が増えれば、介護給付の負担額も増えるため、保険料は高くなるのです。
現在の日本は急速に高齢化社会が進行し、高齢者の人口が増え続けています。その分、介護を必要とする人も増えているため、介護保険料は年々値上がりしているのです。団塊世代が75歳以上になる2025年には、介護保険料の全国平均が約8,000円になると予測されています。介護保険料のさらなる負担増は非常に気がかりな問題です。
介護保険料が高い市町村はどこ?
市区町村により異なる介護保険料ですが、高齢化が進み、介護サービスを必要とする人が多い地域では保険料が高くなります。反対に、高齢化が見られても介護サービスの利用者が少ない地域では比較的保険料は安くなります。
では、現在の日本における介護保険料がもっとも高いところはどの市町村なのでしょうか?2021年度から2023年度までの第8期における介護保険料の基準額(月額)が高い市町村、安い市町村のベスト5を調べてみました。
●介護保険料の基準額の高い市町村・安い市町村
厚生労働省「第8期介護保険事業計画期間における介護保険の第1号保険料及びサービス見込み量等について」集計結果より筆者作成
ちなみに第8期における介護保険料基準額の全国平均は6,014円です。それと比べると、日本でもっとも介護保険料が高い東京都青ヶ島村は9,800円と、全国平均よりも3,786円も高くなっています。反対に、もっとも介護保険料の安い北海道音威子府村と群馬県草津町では3,300円で、全国平均より2,714円も安くなっています。青ヶ島村と音威子府村、草津町との差は6,500円です。住む場所によってこんなに保険料の差があるのは驚きですね。
介護保険料の決まり方
介護保険料は市区町村により異なりますが、どのように決められるのでしょうか?ここでは65歳以上の人が納める第1号保険料についてご紹介します。
保険料を決める際は、まず基準額を求めます。その際の計算式は以下の通りです。
◎介護保険料の基準額
=(年間介護サービス費用の見込額×23%)÷第1号被保険者の人数
次に、上記で求めた基準額に、世帯ごとの所得段階に応じた負担割合の率を掛けて保険料額を求めます。
介護保険料は市区町村内で一律となっているのではなく、地域の介護状況から基準が決められ、さらに世帯ごとに負担可能な割合に調整されているのです。
まとめ
2021年から65歳以上の介護保険料は全国平均が6,014円となりました。2000年度に介護保険制度が始まった当初の保険料と比べると2倍以上も増加しています。介護保険料は市区町村により異なりますが、介護サービスを利用する人が多い地域ほど介護保険料は高くなります。反対に介護サービスを利用する人が少なければ、保険料は安くなります。介護保険料は単純に過疎地だから高いというわけではなく、その地域に住む人の介護状況が大きく影響しているのです。
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前佛 朋子 ファイナンシャル・プランナー(CFP®)・1級ファイナンシャル・プランニング技能士
2006年よりライターとして活動。節約関連のメルマガ執筆を担当した際、お金の使い方を整える大切さに気付き、ファイナンシャル・プランナーとなる。マネー関連記事を執筆するかたわら、不安を安心に変えるサポートを行うため、家計見直し、お金の整理、ライフプラン、遠距離介護などの相談を受けている。
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