24/04/20
金利が上がると値下がりするもの3選
2024年3月にマイナス金利が解除されたことにより、金利が上がることが予想されます。金利がある時代、金利が上昇する時代を経験したことのない人も多いでしょう。金利の上昇は、私たちの暮らしにどのような影響を与えるのでしょうか。
今回は、マイナス金利解除の概要と、金利の上昇により値下がりするものを3つ、紹介します。
日銀がマイナス金利を解除
そもそも、マイナス金利とは、民間の銀行が日本銀行にお金を預けると金利がマイナスになってしまう、つまり、利息がつくどころか逆に金利を支払わねばならないという政策です。
マイナス金利政策下においては、民間の銀行は日本銀行にお金を預けると損してしまうため、世の中に積極的にお金を回すようになります。具体的には、金利を下げて、企業や個人がお金を借りやすい状態にします。
景気を良くするために、2016年より日本で行われてきたこのマイナス金利政策ですが、2024年3月19日の金融政策会合にて解除されることが決定しました。
解除の理由は、物価や賃金が上昇していること。物価が上がったことで企業の収益が増え、それに伴い労働者の賃金も上がっていく、という好循環が今後も続くだろうと判断されたのです。
マイナス金利が解除されたことにより、国内の金利は上昇すると考えられます。実際、これまで年0.001%だった普通預金金利は、多くの銀行が年0.02%への引き上げを発表しています。
金利が上がると値下がりすると考えられるものは?
ここからは、金利が上昇することにより値下がりすると考えられるものを紹介していきます。ただし、ものの値段はさまざまな要因が絡み合って上下するため、必ず値下がりすると決まっているわけではありません。以下は、あくまでひとつの考え方としてご覧ください。
●金利が上がると値下がりするもの1:物価
金利が上昇すると、企業や個人は銀行からお金を借りるのをためらうようになります。すると、車や家、ブランド物など、ローンを組んで購入するような高いものの売れ行きが悪くなります。
売る側は、なんとか買ってもらおうと価格を下げて販売するようになります。したがって、金利が上がると物価が下がると考えられるのです。
●金利が上がると値下がりするもの2:株価
先ほども述べましたが、金利が上昇すると、企業は銀行からお金を借りにくくなります。借り入れが難しいと、新たな商品の開発や設備投資などにお金をかけることができなくなり、事業が停滞したり、縮小したりしてしまいます。だからといって無理にお金を借りた場合、利息の支払いに苦しめられてしまう可能性も。
これらによって企業の利益が減り、株価が下がってしまうのです。
●金利が上がると値下がりするもの3:債券価格
基本的に、債券は発行された時点で決められた利率が償還日まで変わりません。世の中の金利が上がると、新たに発行される債券の利率は高くなります。しかし、すでに発行されている既存の債券の利率はそのままです。
利率が高い債券を購入したほうが償還時に多くのリターンを得られるため、新たに発行された債券に需要が集まります。すると、相対的に既存の債券の需要は減り、価格が下落します。したがって、金利が上がると、債券の価格が下がるのです。
金利が上がると値上がりすると考えられるものも
一方、金利が上がることによって値上がりすると考えられるものもあります。
●住宅ローンの金利
住宅ローンには、借り入れの金利が変わらない固定金利と、半年ごとに金利が変化し5年ごとに返済額が見直される変動金利があります。変動金利は、日本銀行の政策金利に連動する短期プライムレートに伴って変動します。つまり、政策金利が上がると、住宅ローンの返済額が上がるということです。
住宅ローンで借り入れる金額は非常に大きいため、少し金利が変動するだけで返済額が大きく変わります。例えば、借入額3000万円を35年ローンで返済するとしましょう。年利0.4%の場合の総返済額は約3215万円ですが、年利0.5%だと約3270万円です。つまり、金利が0.1%上がるだけで、返済額が約55万円も増えてしまうということになります。
●円の価値
金利が上がると円の価値が上がる、つまり円高になることが予想されます。
外国と比べて相対的に日本の金利が上がると、日本国債を買う人や、円で預金する人が増えます。通貨の価値は需要によって決まるため、円を求める人が増えると、円の価値が高まり、円高に進む傾向があるのです。
金利上昇は、わたしたちの生活に影響を与える
金利が上がることによって値下がりするもの・値上がりするものについて解説してきました。
マイナス金利解除に伴う金利上昇は、わたしたちの生活に少なからず影響を及ぼします。本記事を参考に、住宅ローンの見直しをしたり、外貨投資を検討したりするなどして、金利上昇に備えましょう。
なお、先ほどもご説明した通り、ものの値段はさまざまな要因が複雑に絡み合って変動します。必ず本記事で述べた通りになるわけではないことを覚えておいてください。
【関連記事もチェック】
・住民票、戸籍謄本、印鑑証明…証明書が「10円」で取れる裏技
・ゴールド免許の知られざる7つの特典
・老後貧乏へ一直線な50代の激ヤバ行動8選
・「金持ちから貧乏夫婦に転落」払ってはいけない5つのお金
・貧乏人は買うがお金持ちは買わない5つのもの
木下七夏 Webライター
大学卒業後金融機関に勤め、個人のお客さま向けの営業を担当。退職後にFP2級を取得し、フリーライターに。FPで学んだ知識や金融機関勤めの経験を生かして、生活にまつわるお金の疑問を分かりやすく噛み砕いて解説する記事を作成している。
この記事が気に入ったら
いいね!しよう