23/09/21
ガソリン代「90円台」だった時代はいつ?今後値下がりする可能性はあるのか
ガソリン価格の高騰が続く昨今。特に普段から車を運転する人にとっては家計の負担が増えるため、今後の値動きは気になることでしょう。本記事ではガソリン価格の推移とその変動要因を解説したうえで、今後の値動きに関係しそうなトピックを紹介します。ガソリン代の節約術も紹介するのでチェックしてみてくださいね。
1998年のガソリン価格は2023年の半額だった…
資源エネルギー庁が発表しているレギュラーガソリン価格(店頭小売価格)は、2023年8月28日時点の全国平均で1リットルあたり185.6円。15週連続の値上がりで、本調査が始まった1990年以降最高値となりました。しかし過去にはガソリン価格が90円台の時期もあり、25年前の1998年8月は92円と2023年の約半額でした。
●レギュラーガソリン価格の推移(1リットルあたりの全国平均)
資源エネルギー庁「石油製品価格調査」をもとに筆者作成
なぜこのようにガソリン価格は変動してしまうのでしょうか。
ガソリン価格が変動する主な要因は以下の3つです。
・原油価格
・為替
・国の政策
ガソリンは原油から作られるため、原油価格がガソリン価格に大きく影響します。原油価格は需要と供給のバランスによって決まります。
過去にガソリン価格が大きく値動きした事例としては、2007年に発覚したサブプライムローン問題があります。これによる金融不安から原油市場に大量の資金が流れたことで2008年8月にはガソリン価格が1リットルあたり185円台まで高騰しています。その直後にリーマンショックが起こり、世界的に原油の需要が落ち込んだことで、わずか4ヵ月ほどで106円台まで急落しました。
昨今の原油価格の高騰はロシアのウクライナ侵攻が背景となっているほか、産油国のサウジアラビアが2023年7月から自主的な追加減産を始めたことも原油価格を押し上げる要因となっています。
また日本では原油のほぼすべてを海外からの輸入でまかなっているため、為替の影響でもガソリン価格は変動します。原油取引は基本的にドル建てで行われるため、円安の状態では円建ての原油価格が上がってしまうのです。
ガソリン価格は国の施策によっても変わります。たとえば、2022年1月に始まった「ガソリン補助金(燃料油価格激変緩和補助金)」という施策があります。これは全国平均ガソリン価格が1リットル170円以上になった場合に石油元売り会社に補助金を出し、小売価格の高騰を抑えるための施策です。これによりガソリン価格はある程度抑えられています。
気になる今後の値動きは?
ガソリン補助金は2023年6月から段階的に縮小し、同年9月末で終了する予定でした。しかし、昨今の原油価格の高騰に対応すべく、年末まで延長する方針が発表されています。ガソリン補助金を9月7日以降段階的に拡充し、10月中にレギュラーガソリン価格が全国平均で1リットルあたり175円程度になるように調整するとのことです。
一方で、政府はガソリン税(揮発油税)の負担を軽減する「トリガー条項」の発動を見送る方針も示しています。トリガー条項とは、レギュラーガソリン価格が1リットルあたり160円を3ヵ月連続で超えた場合にガソリン税のうち約25円の課税をやめ価格を引き下げる制度ですが、東日本大震災の復興財源を確保するために現在は凍結されています。
またガソリン税には税金部分にも消費税が課せられる「二重課税」も問題視されていますが、この件について政府は明確な方針を示していません。
このようにガソリン補助金の延長により多少のガソリン価格の値下がりが予想されるものの、税制面の改善の動きは今のところ見られません。そのため、原油価格の上昇や高止まり、円安が続くようであれば、直近の大幅な値下がりは期待できないかもしれません。
ガソリン代の節約術3選
現在のようにガソリン価格が高止まりしている状況で、ガソリン代を節約するにはどうしたらいいのでしょうか?ここではガソリン代の節約におすすめの3つの方法を紹介します。
●ガソリン代の節約術1:エコドライブを心がけよう
今、ガソリン代を節約する方法として注目されているのがエコトライブです。これは燃料消費量やCO2排出量を減らし、地球温暖化防止につなげるための運転・心がけのことです。燃料消費量を減らすことで、ガソリン代の節約も期待できます。
資源エネルギー庁が公開している「エコドライブ10のすすめ」には、
1.ふんわりアクセル「eスタート」
2.車間距離にゆとりをもって、加速・減速の少ない運転
3.減速時は早めにアクセルを離そう
4.エアコンの使用は適切に
5.ムダなアイドリングはやめよう
6.渋滞を避け、余裕をもって出発しよう
7.タイヤの空気圧から始める点検・整備
8.不要な荷物はおろそう
9.走行の妨げとなる駐車はやめよう
10.自分の燃費を把握しよう
の10項目が掲げられています。
運転するときに確認して、エコドライブを心がけましょう。
●ガソリン代の節約術2:車のメンテナンスで燃費を抑えよう
車の適切なメンテナンスもガソリン代の節約に有効です。メンテナンスを怠ると、燃費が悪くなりガソリンの消費量が増えるため、その分ガソリン代がかかってしまいます。タイヤの空気圧を適切に保つ、エンジンオイルを適度に交換する、エアクリーナーのフィルターを定期的に交換するなどのメンテナンスを行い、車の燃費が悪くならないよう心がけましょう。
●ガソリン代の節約術3:会員割やポイント還元でガソリン代をお得にしよう
会員割が受けられるガソリンスタンドを利用するのもおすすめです。例えばENEOSカードやコスモ・ザ・カードのようにガソリンスタンドの運営会社が発行するクレカを作れば、ガソリン代の会員割引が受けられます。また楽天カードやdカードのように、ポイント還元率の高いカードで支払ってお得にポイントを貯めるのもよいでしょう。
まとめ
原油価格の高騰や円安の影響でガソリン価格が高止まりしている状態です。その対策として政府はガソリン補助金を延長することで価格を抑えようとしています。ただしガソリン補助金の延長による値下がりは限定的で、すぐに大幅な値下がりにはつながらない可能性もあります。普段から車を運転する人はそのような状況も見据えて、今回紹介したような方法でガソリン代の節約を心がけましょう。
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鈴木靖子 ファイナンシャルプランナー(AFP)、2級DCプランナー(企業年金総合プランナー)
銀行の財務企画や金融機関向けコンサルティングサービスに10年以上従事。企業のお金に関する業務に携わるなか、その経験を個人の生活にも活かしたいという思いからFP資格を取得。現在は金融商品を売らない独立系FPとして執筆や相談業務を中心に活動中。
HP:https://yacco-labo.com
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