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23/03/25

相続・税金・年金

年200万円遺族年金に700万円の相続税が課せられる謎 海外の遺族年金は相続税の対象なのか

年200万円遺族年金に700万円の相続税が課せられる謎 海外の遺族年金は相続税の対象なのか

厚生年金や国民年金などを受給していた人が死亡したときに遺族の方に対して支給される遺族年金(遺族厚生年金、遺族基礎年金)には、原則として所得税も相続税も課税されません。ところが、海外の公的年金に加入していた夫を亡くし、遺族年金を受給していた日本人の女性が、国税庁から巨額の相続税を納めるよう求められたとの新聞報道があり、ツイッターでも話題になっています。これは、一体どういうことなのでしょうか。そもそも、海外の遺族年金に相続税がかかるのか、今回の課税はどのように決められたのかについて詳しく解説したいと思います。

年間200万円の年金に、約700万円の相続税が課せられたナゾ

朝日新聞の報道によると、この女性(68)は、約2年前に米国の公的年金に加入していた夫を亡くし、遺族年金を受給中の折、地元の税務署から海外の遺族年金を得たことが相続税の対象との指摘を受け、その後、約700万円もの巨額の相続税を支払うよう求める通知書を送られていたといいます。

生前、この女性の夫は国内企業の米国駐在員として働いた経験があり、当時、現地の公的年金に加入を義務付けられていたため、計12年間保険料を支払ったそうです。女性が受け取る米国からの遺族年金は月に約17万円で、年間約200万円になる計算ですが、今回、納税を求められた相続税の金額は、なんとその約3年半分にものぼる約700万円です。この女性が夫を亡くしたのは約2年前なので、もらった金額以上の相続税の支払いを求められていることになります。

日本の遺族年金には相続税がかからないため、女性側はこの通知を「不公平だ」と主張しており、近く国税不服審判所に審査請求するといった内容となっています。
いったいなぜこのようなことが起きたのでしょうか。一緒に考えていきたいと思います。

そもそも日本の遺族年金はなぜ非課税?

まず、日本の公的年金の場合から考えていきましょう。厚生年金や共済組合等の加入者が死亡し、かつ個々の支給要件を満たす場合に、その遺族に対しては遺族年金が支給されます。
生命保険と同様に、加入者(被相続人)の死亡によって具体的な財産請求権が発生するという点に注目すれば、遺族年金請求権は相続財産とみなされると解釈するのが自然な流れです。

しかし、日本の遺族年金は、厚生年金保険法や国民年金法で「年金の支給額をもとにした課税はできない」と個別に定められており、また遺族の生活保障という趣旨で給付される金銭であることの事情を汲み取ることも勘案して、受給権者固有の権利であると解釈し、相続財産とはみなさない(=相続税は非課税)ということになっています。

一方で、海外の遺族年金については、「相続税を非課税にする」という規定がなく、外国の遺族年金は相続税法で定める「みなし相続財産」にあたるため、今回の報道のようなケースが起こりえるというのです。

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相続財産ではないのに相続税が課税される?「みなし相続財産」とは

「みなし相続財産」とは、被相続人が所有していたものではないので「相続財産」にはあたらないものの、被相続人が亡くなったことが起因して相続人の財産になったもののことを指します。

例えば、民間の生命保険金(保険料負担者、被保険者、かつ、年金受取人が同一人の個人年金保険契約で、その年金支払い保証期間内にその人が死亡したために、遺族の方などが残りの期間について年金を受け取ることになった場合のもの)や、在職中に死亡したことで、死亡退職となったため、会社の規約等に基づき、支給される退職金などがあてはまります。この場合は、死亡した人から年金受給権を相続または遺贈により取得したものとみなされるため、相続税の課税対象となります。そして今回、問題になっている海外の公的遺族年金もこの考え方を踏襲して「みなし相続財産」として課税が決定されています。

このように海外の遺族年金のほか、日本の遺族年金であっても、厚生年金保険法や国民年金法に基づかない遺族年金であれば、相続税がかかるケースが多数存在します。このことを踏まえると、遺族年金は「みなし相続財産」ですが、「厚生年金保険法や国民年金法により支給される遺族年金に関しては、相続税の対象外という例外ルールが存在する」という考え方のほうがしっくりくるのではないでしょうか。

巨額の相続税となった評価のカラクリ

では、相続税の対象となる遺族年金は課税の際、どのように評価されるのでしょうか。今回、納税を求められた相続税の金額は、なんとその約3年半分にものぼる約700万円でした。なぜこのような巨額の相続税となったのか、評価のカラクリを見ていきましょう。

相続税法では、「定期金給付契約」でその権利を取得した時の評価方法を定めています。定期金給付契約とは、「定期的に分割でお金をもらえる契約」のことを言います。

例えば、被相続人が保険会社と契約をしていて、自分が亡くなったら子供である相続人に1年間に100万円ずつ10年に渡って保険がおりる契約を結んでいたとします。この場合、10年経てばその子供は100万円×10年=1,000万円を取得することになりますが、この1,000万円を一括で受け取るのと分割で10年に渡って受け取るのとでは、相続人が得られる経済的な価値は明らかに異なりますよね。

1,000万円を一括で受け取る場合には、相続税評価はそのまま1,000万円となります。これを分割で受け取る場合の相続税評価を定めたものが相続税法24条なのです。

相続税法24条によると、終身年金の具体的な評価方法は、以下の通りに定められています。

終身定期金の評価方法は、次に掲げる金額のうちいずれか多い金額とする
①解約返戻金の金額
②定期金に代えて一時金の給付を受けることができる場合、その一時金の金額
③給付を受けるべき金額の一年当たりの平均額×平均余命に応ずる予定利率による複利年金現価率

海外の公的年金には、解約返戻金はなく、一時金の給付も受けることはできません。①も②も適用ができないため、原則③の評価方法によって計算されます。③の評価方法は、ざっくり簡単にいうと一年当たりにもらえる年金支給額にその時点での平均余命をかけて計算するやり方です。今回の問題が明るみに出た前述の女性のケースでも、同様の計算方法が採用されています。

夫が亡くなった時、女性は65歳で、平均余命は24年だったことから、約200万円×24年=約4800万円(※複利年金現価率の計算は省略)程度だったと想定でき、そこから相続税率をかけるなどして約700万円の課税額が決まったのではないかと思われます。

ちなみに、配偶者にかかる相続税は、受け取る遺産のうち1億6000万円か法定相続分(2分の1以上)までは非課税ですから、今回の女性の場合はそれを超えていたのでしょう。

相続財産が多額とはいっても、皆さんがこの女性の立場で、突然このような相続税の支払い通知が来たら、納得して払えるでしょうか。専門家の意見からは、「世代間の助け合いの仕組みである公的年金は、保険料と保険金の関連が強い民間の生命保険などとは違う」などの指摘もあり、まだまだ議論が不十分だという声も聞かれます。今後の審判の行方についても世の中の関心として動向が注目されています。

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まとめ

グローバル化が進展する中で、年々、海外に長期滞在する日本人は増えています。海外で長く暮らすと現地の公的年金に加入を義務づけられることがあり、今回ご紹介したケースのような問題がますます増えてくることが予想されます。条文解釈について素人判断は危険ですが、どうしても納得がいかない場合は、泣き寝入りせずに今回の女性のように国税不服審判所に審査請求するという手段もあるということを覚えておくとよいでしょう。

KIWI ファイナンシャルプランナー・社会保険労務士

長年、金融機関に在籍していた経験を活かし、個人のキャリアプラン、ライフプランありきのお金の相談を得意とする。プライベートでは2児の母。地域の子どもたちに「おかねの役割」や「はたらく意義」を伝える職育アドバイザー活動を行っている。

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