22/12/06
ふるさと納税で陥りがちな7つの失敗
ふるさと納税とは、都道府県・市区町村に寄附(ふるさと納税)をする制度です。寄附金のうち2000円を超える部分が、所得税・個人住民税から控除されます。寄附する自治体は、自由に選ぶことができます。また、寄附をした自治体からは、地域に貢献したお礼として、名産品や特産品をもらうことができます。
ふるさと納税は、とてもお得な制度ですが、その利用には気をつける点がいくつかあります。ふるさと納税をする際「残念な人」がしがちな失敗を軸に、お得な人になる方法を7つ紹介します。
ふるさと納税の失敗①:寄附の上限を超えた
ふるさと納税を利用するとき、寄附金から自己負担額の2000円を除いた全額が所得税や住民税から控除できます。このとき、いくらまで寄附することができるかという「限度額」は、ふるさと納税を行う本人の給与収入、家族構成などにより上限が決まっています。たとえば、年収350万円の独身または共働きの方の場合、寄附金限度額は3万4000円になります。また、年収400万円で共働き子1人(高校生)であれば、寄附金限度額3万2000円になります。
しかし、もし、寄附金限度額を超えてふるさと納税をしてしまうと、その分は所得税などの控除の対象にはならず、ただ自己負担が増えるだけという残念な失敗になってしまいます。
寄附金限度額は、ふるさと納税のサイトでシミュレーションできます。その際、入力する情報が、今年の年収や家族構成であれば、正確な寄附金限度額をつかむことができます。
しかし、12月末でなければ、正しい年収を把握することはできないのではないでしょうか。そんなときは、昨年の正確な年収などをもとにシミュレーションして寄附金限度額の概算を出し、今年の年収が少なくなりそうであれば少なめに寄附するといいでしょう。反対に、年収が多くなりそうであれば、寄附金限度額ぐらいを目安に寄附します。年収に合わせて調整しながら寄附するようにするとよいでしょう。
ふるさと納税の失敗②:6自治体に寄附してしまった
ふるさと納税をした後、税金の控除を受けるには確定申告が必要です。しかし、会社員や公務員の方であれば、確定申告をする必要はありません。ふるさと納税の税金控除を受けるためだけに、わざわざ確定申告をするのは面倒なものです。そんなときは「ワンストップ特例」を使いましょう。確定申告をしなくても税金控除を受けることができます。
しかし、ワンストップ特例を利用するには、寄附先は5自治体までと決まっています。地域の名産品をアレコレ見てうっかり6自治体に寄附してしまうと、確定申告をするという残念な失敗をしないよう気をつけましょう。
ワンストップ特例を利用できる条件は、次のとおりです。
①ふるさと納税以外の確定申告が不要な給与所得者(会社員など)である。
②一年間(1月~12月)でふるさと納税の寄附先が5自治体以内である。
③特例申請書と各種書類を寄附先の自治体に郵送する(翌年の1月10日、自治体必着)
ふるさと納税する前に、条件をしっかり確認しておきましょう。
ふるさと納税の失敗③:寄附金受領証明書を失くした
寄附金受領証明書とは、自治体がふるさと納税を無事に受け取ったことを証明する書類のため、確定申告のときに添付する必要があります。しかし、そんな大事な寄附金受領証明書を失くしてしまった…という残念な失敗をすることがあります。
自治体に再発行をしてもらうこともできますが、手間と時間がかかります。それよりも簡単にするには、「ふるなび」「さとふる」「楽天ふるさと納税」「ふるさとチョイス」など、国税庁長官から指定された特定事業者を利用して、ふるさと納税をしましょう。そうすれば「寄附金控除に関する証明書」が発行でき、1年間分のふるさと納税を1枚にまとめることができます。うっかり失くしてしまっても大丈夫というわけです。
また、会社員や公務員の方であれば、ワンストップ特例を利用すると決めてしまえば、そもそも寄附金受領証明書は必要ありません。もし紛失しても住民税の控除はできますのでご安心ください。
ふるさと納税の失敗④:寄附金控除の手続きに間に合わなかった
会社員や公務員の方は、ワンストップ制度を利用すれば、確定申告は不要です。その場合、各自治体の締め切り期限までに「ワンストップ制度の申請書」を提出しなければなりません。たとえば、5件の自治体にふるさと納税をして、そのうち1件でも締め切りに間に合わなければ、ワンストップ制度の利用ができないという残念な失敗に。面倒ですが、確定申告で「寄附金控除」の手続きをすることになります。
自治体への提出期限である「1月5日〜1月10日」に間に合うように手続きすることが大切です。年末年始でなにかと忙しいからといって、手続きを後回しにすると、ギリギリになり残念な結果を招きます。ふるさと納税を利用するときから、手続きの手順をイメージし、早め、早めに手続きしましょう。
ふるさと納税の失敗⑤:医療費控除をするのにワンストップ特例を利用した
会社員や公務員の方は、ふるさと納税をする際、ワンストップ特例を利用するとわざわざ確定申告をする必要がなくなりとても便利です。しかし、自身や扶養家族の1年間の医療費が10万円以上であれば、「医療費控除」が利用でき、税金を安くできます。ただ、医療費控除は確定申告で手続きしなければなりません。
ワンストップ特例を申請したとしても、その後、医療費控除など別の理由で確定申告をすることになれば、ワンストップ特例の申請そのものが無効となってしまいます。
この失敗を防ぐには、ふるさと納税の申し込みを検討する際、家族にかかっている医療費も集計して、合計額をチェックしておくことです。せっかくワンストップ特例でラクできると思っていたのに、確定申告をすることになってしまうという2度手間はがっくりくるものです。失敗を回避するひと手間を惜しまないようにしましょう。
ふるさと納税の失敗⑥:一度に全部申し込んだ
ふるさと納税は、ネットで気軽に申し込めます。一度に申し込んでしまうと「こんなはずでは」という残念な失敗になることがあります。2つのパターンを紹介します。
●返礼品が同時に届いて大変
ふるさと納税を申し込むと、一般的に2~4週間で返礼品が届きます。しかし、年末に限度額いっぱい、まとめて寄附をすると、年明け少ししてから、一気に返礼品が届いてしまうことがあります。旬の果物や魚、新鮮なお肉が、どっさり届いて「どうしよう、こんなにたくさん食べられない……」ということもあるでしょう。
●届くまで何か月もかかる場合がある
一方、年末にふるさと納税の申込みをしても、夏が旬のスイカなど、季節の農産物などであれば、届くまでに何か月もかかります。申し込みをしたことも忘れてしまっているかもしれません。返礼品によっては、すぐに届かないものもあります。
前もって申込みのタイミングをずらしておけば、このような失敗を回避できます。届く時期をうまくずらしたり、カレンダーに「このくらいに届く」と記入しておいたりすれば、返礼品が一度に届いて困る、という事態を減らせます。ふるさと納税の醍醐味は、なんといっても返礼品。味わい尽くすためにも、計画的に申し込みましょう。
ふるさと納税の失敗⑦:品物によっては締切がある
ふるさと納税の返礼品は地域の名産・特産品というだけあって、旬の野菜や果物など期間限定の品や、数量限定のめずらしい品が多く並んでいます。
年末になってオーダーすると、時期が終わってしまっていたり、限定数に達していたり…という残念な失敗につながります。ですから、返礼品はなるべく早めに選んでおくことです。そうすれば、春はいちごやメロン、夏はシャインマスカットや桃、秋は新米やリンゴ、冬はカニやサーモンというように、四季折々の食材が楽しむこともできるでしょう。
まとめ
ふるさと納税はとても魅力的な制度ですが、手続きを間違えたり勘違いしたりしていると、残念な人になってしまう可能性もあります。年末近くになれば『急いては事を仕損じる』場合もあるでしょう。ですから、今回紹介した7つの失敗ポイントを押さえて、注意深く取り組みましょう。
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舟本美子 ファイナンシャルプランナー
「大事なお金の価値観を見つけるサポーター」
会計事務所で10年、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として14年働いたのち、FPとして独立。あなたに合ったお金との付き合い方を伝え、心豊かに暮らすための情報を発信します。3匹の保護猫と暮らしています。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。FP Cafe登録パートナー
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