16/03/17
なんだ、そうなのか!経済入門 〜身近な疑問を平易に解説〜
3月15日(火)に久留米大学教授の塚崎公義さんをお迎えして「なんだ、そうなのか!経済入門〜身近な疑問を平易に解説〜」セミナーを開催しました!
塚崎教授は、前職の日本興業銀行(現みずほ銀行)で長年にわたり経済調査関連の仕事に従事。その後、久留米大学で教鞭をとっております。
塚崎教授のすごさは、難解な「生きた経済」を分かりやすく解き明かし、経済がよくわからない人でも「経済って簡単!」「おもしろい!」と思わせてしまうところ!参加者からもたくさんそんな声が寄せられました。
今回のセミナーでも、「食べ放題のお店ってなぜやっていけるの?」など、身近にある日常の疑問を例にだしながら、経済の仕組みについてやさしく、わかりやすく解説していただきました!
ブッフェスタイルの店はなぜ潰れないか?
好きなものを好きなだけ食べられるブッフェスタイルのお店には、学生や若いサラリーマンなど、いわゆる食欲旺盛な人たちが多くやってきます。「あんなにたくさん食べられたらお店が潰れてしまうのでは?」と心配になりますが、果たして潰れないのはなぜなのでしょうか?
その理由は、
①作業効率がよい
②回転率が高い
③材料の在庫に無駄がない
の3つとのこと。
コックさんが一度に大量の料理を作るので手間も時間も人件費もかからず作業が効率的になる、普通の店では、メニューに載っている料理の材料は在庫としてもっている必要があるが、ブッフェでは、予め決められたメニューの材料だけ準備すればよいなど、なるほど!と思える解説で参加者全員納得の様子。
加えて、ブッフェでは、何皿食べると客の満足度が上がるのかについても解説。ブッフェスタイルだからといってつい「元を取る」ことをがんばりすぎると、食べ過ぎてしまったばっかりに満足度が減少することになるとのこと。満足なのに無理して食べ過ぎるのは禁物のようです。
機会費用を考える!
私たちは日々選択の連続です。何かを選択しながら日々生活しているわけですが、選択する上で知っておいてほしいのが「機会費用」。
機会費用とは、違う選択をしていたら得られたはずの利益のこと。
例えば、「学園際の模擬店で3000円儲かったので、その儲けをみんなで山分けして300円ずつ利益を分けて喜んでいる」学生たちがいるとします。
でも、もし、「学園祭で模擬店をやっている時間にバイトをする」という選択をしていたとしたらもっと儲かったかもしれないということです。
もしくは、「エリートを集めた部署が小幅の黒字だった」とする。もし、「利益がでているけれども、その部署を解散してエリートたちを他の部署に異動させたら、さらに大きな利益がでていたかもしれない」。利益が出ている部署をわざわざ解散させるという発想はなかなか思い浮かばないですが、こういった発想も経営者には必要ですね。
サンクコストを意識 未来志向で行こうぜ!
また、よくあるのが、自分の選択が間違っていない、自分がバカだと思いたくないばかりに、お金も時間も無駄にするというもの。払ったお金や時間は戻らない、これを経済学では「サンクコスト」と呼ぶとのこと。
例えば、企業が100億円の工場を7割まで建てている途中で大不況が到来した場合、工場が不要になる可能性が高いにもかかわららず「これまでの出費を無駄にしないために工場を最後まで建設する」企業は少なくないでしょう。
こうした不合理な決定をしないためには「工事を続けたら100億円の損になるが、今やめたら70億円の損で済む」というプラス思考で考えることが大切とのこと。この背景には「自分はバカだ」と思いたくないという人間の心理が働いているので、なかなか正しい判断を下すのは難しいとのこと。
でも、こうした心のメカニズムを理解しているのと理解していないのとでは、判断するときに大きく違ってくるでしょう。
日本の財政は破綻しない!?
教授ご自身も暴論!と前置きした上で(笑)、「日本の財政は破綻しない」と言い切るところはさすが塚崎教授!日本人の個人金融資産は1700兆円。そのうち国の借金は1000兆円。少子化が進み日本人が最後の1人になると、1700兆円の個人金融資産を相続し、1000兆円の税金を払っても巨額の財産が残るからとのこと。
つまり、これからの問題は、遺産が相続できる子と出来ない子の「世代内格差」とのこと。
教授曰く、このような見解に対して「なぜ?」「本当?」と頭の体操をしながら、考える癖をつけることが大切とのことです。印象的だったのは、経済は、「冷たい頭脳と温かい心」で動いているとうフレーズ。「相手の足もとを見て価格をつり上げれば儲かる」といった「理屈」と「それはフェアプレイではない」といった「道徳」のぶつかりあいで繰り広げられている−このことを理解できるようになると、経済がぐっと面白くなるのかもしれませんね。
塚崎 公義 久留米大学商学部教授
1981年東京大学法学部卒後、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関係の仕事に従事した後、2005年に銀行を退職して久留米大学へ。「退職金貧乏 定年後の『お金』の話」「老後破産しないためのお金の教科書」「増補改訂よくわかる日本経済入門」「世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書」「なんだ、そうなのか! 経済入門」「経済暴論」など著書多数。
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