22/08/05
競馬で当たったら税金はどうなる? パチンコ、競輪、ボートレース、宝くじは?
2022年6月5日にお笑いトリオ「インスタントジョンソン」のじゃいさんが、自身のYouTubeチャンネルで、税務署から2020年12月に的中させた6410万6465円の馬券について追徴課税されたと告白しました。高額の大当たりは憧れですが、税金のことは気になりますね。今回は、競馬で当たったら税金はどうなるのか、パチンコや宝くじなどで当たった場合はどうなるのかを解説します。
競馬で大当たりを出すと課税されるのはなぜ?
所得税法では、所得を次の10種類に分けています。
・利子所得
・配当所得
・不動産所得
・事業所得
・給与所得
・退職所得
・山林所得
・譲渡所得
・一時所得
・雑所得
そして、所得に応じて税金の計算方法が異なります。
このうち、競馬で得られた利益は通常、一時所得にあたります。一時所得とは、「営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得」。つまり、働くこと以外で手に入れた臨時収入などのことです。
一時所得の所得税は「払戻金-経費-50万円(特別控除額)×2分の1」で計算します。この式の答えがプラス、つまり競馬で年間50万円を超える払い戻しがあれば確定申告をして、税金を納めなければなりません。
冒頭で紹介したじゃいさんは、競馬関係の仕事にもたびたび携わっていたため、一時所得ではなく雑所得として申告をしていたそうです。競馬での収益が雑所得として認められた場合、ハズレ馬券の購入費用も経費計上できるため、支払う税金も安くなります。
一時所得だと所得税はいくらかかる?
では、もし競馬で6410万円を当てた場合、所得税はどのくらいかかるのでしょうか。ここで、一時所得が6410万円だった場合の所得税額を計算してみましょう。
一時所得の所得税は以下の計算式で計算します。
(払戻金―経費―特別控除額)×2分の1=課税所得額
(課税対象額×税率―控除額)×1.021(復興特別所得税)=所得税額
※経費は当たり馬券代の100円のみとします。
また、特別控除額は50万円、税率や控除額は所得金額に応じて変わります。
課税所得額は、(6410万円-100円-50万円)×2分の1=3179万9,950円となります。
所得税を計算するときは、課税所得額に税率(今回は40%)をかけ、控除額(今回は279万6000円)を引き、復興特別所得税をかけて算出します。
つまり、(3179万9,950円×40%-279万6000円)×1.021=約1013万円。所得税が約1013万円もかかることになるのです。
じゃいさんはいくらの追徴課税を請求されたのか?
じゃいさんは、追徴課税について、自身のYouTubeで「マンションを買えるくらいの請求が来ました」と話しています。ただ、どのくらいの金額を請求されたのか気になっている方も多いでしょう。
じゃいさんは、今回競馬での所得を一時所得ではなく雑所得で申告していたため、本来支払うべき税金より少ない金額を申告していました。そのため、過少申告加算税が課されたと推測できます。過少申告加算税を課される場合は、新たに納付すべき金額に10%をかけた金額を納めなければなりません。配当金が6410万円の場合の所得税は約1013万円なので、10%分の過少申告加算税をかけた約1114万円を請求された可能性があります。
ハズレ馬券は経費として認められにくい
競馬をした際のハズレ馬券が経費として認められる(競馬の利益が雑所得として認められる)か否かは、競馬愛好者にとっては気になる問題です。しかし、ハズレ馬券が経費として認められる可能性はかなり低いと予想されます。なぜなら、ハズレ馬券が経費として認められる場合、ハズレ馬券の費用を国が負担する形になりかねないからです。
過去にはコンピュータープログラムを利用して、年間ほぼ全てのレースで馬券を購入した結果、ハズレ馬券が経費として認められた判例もあります。ただこのようなケースは、以下のような方法で馬券を購入していたため、事業性があると認められたのです。
・年単位で利益が得られるように工夫しながら多数の馬券を購入し続けている
・年単位で多額の利益を上げている
・長期的に利益になるように馬券を購入し続けてきたことが他人に説明できるぐらい客観的
競馬の利益が雑所得として認められた、稀有な例といえるでしょう。
しかしじゃいさんの場合は、このような方法で馬券を購入しているわけではないため、ハズレ馬券が経費として認められる可能性は低いでしょう。
競馬以外のギャンブルも一時所得なの?
ギャンブル好きな方のなかには、競馬以外のギャンブルの利益も一時所得に該当するのか、ハズレの投票券などは経費に含められないのか興味があるのではないでしょうか。そこで、競馬以外の公営ギャンブルやパチンコ・宝くじの場合はどうなるか見ていきましょう。
●競馬以外の公営ギャンブルの場合
競馬以外の公営ギャンブルについては、基本的に一時所得に該当します。
国税庁のパンフレットにも
競馬、競輪、オートレース、ボートレースの払戻金は、一時所得として確定申告が必要となる場合があります
と記載があります。
したがって、公営ギャンブルについては、ハズレの投票券は経費として計上できません。
●パチンコやパチスロの場合
パチンコやパチスロは競馬のように公営競技ではないですが、基本的に一時所得に該当します。なぜなら、パチンコやパチスロは「営利を目的とする継続的行為」と認められにくいからです。したがって、経費に含められるのは、勝ち分に相当するパチンコ玉の購入費用のみです。
一方、パチプロと呼ばれるような、ほぼ毎日パチンコやパチスロで稼いで生活している方やパチンコライターの場合は継続的行為として認められるので、雑所得で申告できます。ただし、パチンコやパチスロをした際に領収書が発行されるわけではないため、負けた金額を証明するのは難しいでしょう。そのため、雑所得での申告が認められても、負け分が経費計上できない可能性もあります。
●宝くじの場合
宝くじの場合、宝くじの販売について定めた当せん金付証票法第13条に、
当せん金付証票の当せん金品については、所得税を課さない。
と記載されているので、そもそも税金は課されません。またBIGやtotoも同様に税金は課されません。宝くじが税金を課されない理由は、購入額のうち約40%が住民税として納められているからです。
ギャンブルのように確定申告を行う必要もないので、追徴課税されるリスクもありません。ただし、当せん金を誰かにあげると贈与税、当選者が亡くなって資産を相続する場合は相続税がかかります。
まとめ
競馬で年間50万円超の利益を得た場合、基本的に一時所得として確定申告をしなければなりません。そして雑所得として認められる可能性は低いため、ハズレ馬券は経費計上できないケースがほとんどです。後から追徴課税されないためにも、正しい方法で申告を行いましょう。
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小栗健吾 現役のFXトレーダー及びWEBライター
地方の大学を卒業後、会社員を経て、WEBライターとして活動中。FXや仮想通貨の取引経験(FXは8年以上)があり、現役トレーダーの目線で記事を多数執筆している。また、現在はFXだけでなく、「キャッシング」「副業」「節税」などマネー系の記事も多く執筆している。
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