16/12/05
2017年から一部の市販薬も医療費控除対象! 「セルフメディケーション税制」
医療費控除は1年間に支払った医療費が10万円を超えないと申告できないため、ハードルが高いのですが、2017年からはそのハードルが下がりそうです。市販薬の費用が1万2000円を超えた場合、所得控除が適用になるからです。
その名も「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)」です。知らなきゃ損する、この制度について一緒に見ていきましょう。
まずは利用期間、利用できる人チェック!
セルフメディケーション税制、別名「スイッチOTC薬の所得控除」といいます。
OTCとはOver The Counterの略で、「店頭」という意味です。
「スイッチOTC」とは、従来は医師の処方箋が必要だった医療用医薬品のなかから、薬局で購入できるよう、一般用医薬品に転用されたものです。
最近では、病気になっても病院には通わず、市販の薬で治すことが多いので、是非利用したい制度の一つです。
セルフメディケーション税制は、利用期間が「2017年1月1日から2021年12月31日まで」になります。
また、利用できる人は「特定健康診査、予防接種、定期健康診断、健康診査、がん検診など、ふだんから検診や予防接種のいずれかを行なっており、病気の予防や健康増進に取り組んでいる人」です。
スイッチOTCに含まれる市販薬は?
制度の対象となる市販薬は、「薬局やドラッグストアで購入できる医療用成分が配合された市販薬で『スイッチOTC』と呼ばれているもの」です。
テレビコマーシャルでおなじみの胃腸薬「ガスター10」、鎮痛剤の「ロキソニンS」、抗アレルギー薬の「エスタック鼻炎24」、花粉症治療薬の「アレグラ」などが該当します。いずれも副作用が少なく、使用実績があるもので1000種類以上が控除対象になります。
詳しくは、「【セルフメディケーション税制】市販薬で対象になるもの・ならないものまとめ」の記事をご確認下さい。
1万2000円を超えた金額で、最高8万8000円までが控除できる
気になる控除額は、1年間に自分や家族(生計を一にするもの)が購入したスイッチOTCの医薬品の合計金額が1万2000円を超えた金額で、最高8万8000円までです。
たとえば、1年間に購入した医薬品の金額が7万円だった場合、
7万円-1万2000円=5万 8000円を、その年の課税所得から控除できます。
なお、スイッチOTC薬は、従来の医療費控除の対象にもなりますが、セルフメディケーション税制の両方を適用することはできません。そのため、どちらかの控除を選択することになります。
例えば、1年間の医療費(スイッチOTCの医薬品を除く)が12万円、スイッチOTCの医薬品が1万2000円の場合、
・通常の医療費控除
12万円+1万2000円-10万円=3万2000円
・セルメディケーション税制
1万2000円-1万2000円=0円
と、セルフメディケーション税制では、所得控除ができないですが、通常の医療費控除では所得控除ができます。
確定申告をするにあたり、1年分のスイッチOTC薬と医療費の支出をそれぞれ計算して、どちらで申告するのがお得なのか、計算してみるとよいでしょう。
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頼藤 太希 マネーコンサルタント
(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)、など書籍100冊、累計170万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。X(旧Twitter)→@yorifujitaiki
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