17/12/29
セルフメディケーション税制の確定申告の方法と注意点
2017年から始まった「セルフメディケーション税制(別名:医療費控除の特例))。
病院に行く時間が取りにくい会社員は、市販の医薬品に頼りがちになりますよね。そんな方はこの税制が使えれば、所得税・住民税が安くなります。しかしセルフメディケーション税制が適用されるためには確定申告をしなければいけません。
今回は、確定申告の方法とその際の注意点を案内します。
そもそも、「セルフメディケーション税制」ってなに?
セルフメディケーション税制とは、本人および生計が同じ家族のために「スイッチOTC医薬品」を年間1万2000円以上購入した場合、最高8万8000円まで所得控除できるという制度です。ただし、「健康の保持増進および疾病の予防への取り組み」を行っていることが条件です。
「スイッチOTC医薬品」は、ドラッグストアで購入できる医薬品です。対象となるかぜ薬や胃腸薬、鼻炎用内服薬や腰痛の貼り薬などを月平均1000円以上買っているという家庭は多いのではないでしょうか。
「健康の保持増進および疾病の予防への取り組み」は、文字で見ると大げさな感じになりますが、勤務先で実施される定期健康診断、インフルエンザワクチンの予防接種も対象なります。
医療費控除との併用は不可、どちらかの選択
スイッチOTC医薬品は、従来の医療費控除の対象にもなるのですが、医療費控除とセルフメディケーション税制どちらかの選択となります。
スイッチOTC医薬品の購入額が多ければ、セルフメディケーション税制を使うほうがお得になるケースがあります。また、家族で二人以上所得があれば、例えば、夫が医療費控除、妻がセルフメディケーション税制のように、それぞれでどちらかの控除をうけることも出来ます。
収入が給料のみで310万円以下であれば、実質負担の医療費が10万円を超えなくても、総所得金額×5%を超えれば、医療費控除が使えます。例えば、給料240万円の人であれば次の計算式となります。
総所得金額:年収240万円-給与所得控除額90万円=150万円
(給与所得控除額:240万円×30%+18万円=90万円)
総所得金額×5%=7万5000円
よって、年間の実質負担医療費が仮に9万円であれば、9万円-7万5000円=1万5000円の所得控除を受けることができるのです。
適用した後に変更はできないので、誰がいくらの医療費として、どちらの控除を使う方が有利かを計算してから賢く申告したいものです。
セルフメディケーション税制の確定申告の方法と注意点
2017年分から、「医療費控除」「セルフメディケーション税制」において、医療機関や薬局の領収書を提出する代わりに、「医療費控除の明細書」の添付が必要となりました。
医療費控除の明細書ですが、一般の医療費控除の明細書とセルフメディケーション税制の明細書では用紙が異なるので注意してください。なお、領収書は提出不要ですが、手元で5年間保存が必要です。
ただし、健康診断などの健康増進の取り組みに関しては結果通知表などを添付しなければなりません。
忙しくて税務署に持って行く時間がないという方は、郵送でも受け付けてもらえます。その場合、健康診断結果通知表の数値などの結果部分は不要なので、コピーして、黒塗りまたは切り取って送るといいでしょう。
出所:国税庁ホームページより
出所:国税庁ホームページより
いくら税金が戻ってくるの?
例えば、税率20%の会社員で年間OTC医薬品の購入額合計が5万円だった場合、
所得税減税分(5万円-1万2000円)×20%=7600円(当年の所得税が還付となる)
住民税減税分(5万円-1万2000円)×10%=3800円(翌年の住民税が減税となる)
合計1万1400円の減税となります。
セルフメディケーション税制をチャンスに、対象となる医薬品の領収書を集めて、確定申告を行い、確実に税金を取り戻しましょう。
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小野 みゆき 中高年女性のお金のホームドクター
社会保険労務士・CFP®・1級DCプランナー
企業で労務、健康・厚生年金保険手続き業務を経験した後、司法書士事務所で不動産・法人・相続登記業務を経験。生命保険・損害保険の代理店と保険会社を経て2014年にレディゴ社会保険労務士・FP事務所を開業。セミナー講師、執筆などを中心に活躍中。
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