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22/07/29

家計・ライフ

健康保険にあればラッキー? 国保より手厚い給付が受けられる2つの制度

健康保険にあればラッキー? 国保より手厚い給付が受けられる2つの制度

日本ではすべての人が勤め先の健康保険や国民健康保険など、どこかの健康保険に加入することになっています。民間企業の健康保険で受けられる給付はどこもほぼ同じですが、大企業の中にはより手厚い給付が受けられるところがあるのです。そこで今回は、一部の大企業が設ける健康保険の手厚い給付についてご紹介します。

国保より手厚い給付1:付加給付

1ヶ月間にかかった医療費が高額になったとき、自己負担限度額を超えた分を払い戻してくれる高額療養費制度はご存じの方も多いでしょう。どの健康保険に加入しても高額療養費の給付を受けることができます。

けれども、大企業の中には高額療養費に上乗せして医療費の払い戻しをしてくれる独自の制度を設けているところがあります。この制度を「付加給付」といいます。付加給付は、高額療養費が給付された医療費の自己負担額が基準額を超えているとき、その超えた分をさらに上乗せして払い戻してくれるというものです。

つまり付加給付は、高額療養費制度よりもさらに医療費負担が軽減される制度です。もし勤め先で付加給付を実施しているなら、退職後は任意継続被保険者になることを選択するとよいかもしれませんね。

●付加給付でいくらもらえる?

自動車メーカー「ホンダ」のホンダ健康保険組合では付加給付を設けています。仮にAさん(任意継続被保険者)が付加給付を受けたら、いくらもらえるのか、紹介します。

あるとき、Aさんは病気を治療し、医療費が総額100万円かかりました。
Aさんの自己負担額は、3割負担で30万円です。

Aさんが高額療養費制度を利用したときの自己負担限度額は
「8万100円+(100万円-26万7000円)×1%=8万7430円」だとします。
この場合、高額療養費として21万2570円が給付されることになります。

付加給付では、この高額療養費に加えて、自己負担限度額から一定の基準額を差し引いた金額の給付が受けられます。

任意継続被保険者本人の基準額は2万円です。
Aさんは自己負担額8万7430円から2万円を引いた6万7400円が付加給付として受け取れたのです(100円未満は切り捨て)。

高額療養費だけを受けると、自己負担額は8万7430円になります。けれども、付加給付が6万7400円ももらえたので、Aさんの自己負担額は2万30円で済んだのです。こうしてみると、付加給付は大変お得な制度といえますね。

国保より手厚い給付2:特例退職被保険者制度

会社を退職した後、これまで入っていた健康保険に任意継続被保険者として2年間だけ加入することができます。でも、大企業の中には、75歳から加入する後期高齢者医療制度までの間、勤めてきた会社の健康保険に加入できる制度を設けているところがあります。この制度を「特例退職被保険者制度」といいます。

特例退職被保険者制度を利用すると、74歳までは元勤め先の健康保険に加入することができます。また、特例退職被保険者制度がある会社は、付加給付も設けているところも多いです。その場合は前述のとおり、医療費が高額になったとき、国民健康保険に加入するよりも自己負担額を抑えることができます。

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退職後の健康保険をどう選ぶ?

日本は国民皆保険制度なので、会社を退職したら75歳に後期高齢者医療制度に加入するまでは、下記のいずれかを選択しなければなりません。

・家族が加入する健康保険の扶養に入る
・これまで加入していた健康保険の任意継続被保険者になる
・国民健康保険に加入する

健康保険を選択する際、考えたいのが「納付する保険料額」です。
条件を満たせば、家族が加入する健康保険の扶養に入ることができます。家族が加入する健康保険の扶養に入ることができれば、保険料の負担がなくなるので、かなりお得になりますね。

家族が加入する健康保険の扶養に入ることができない場合は、健康保険の任意継続被保険者になるか、国民健康保険に加入するかを選ぶ必要があります。

国民健康保険料の所得割は前年度の所得をもとに計算されるので、特に退職前年の所得が多い方は、退職1年目は任意継続被保険者となったほうがお得な場合が多くあります。勤めていた会社に今回紹介した付加給付や特例退職被保険者制度があれば、なおよいですね。

ただ、退職2年目(特例退職被保険者制度を利用できる場合は、2年目以降)は、任意加入被保険者になるよりも国民健康保険に加入した方が保険料が割安になる場合があります。また、自治体によっては65歳以上の人に独自の医療助成を設けているところもあります。
ですから、退職後の健康保険を選ぶ際は、独自の制度による手厚い給付だけにとらわれるのではなく、納める保険料額を確認したうえで選択されることをおすすめします。

まとめ

大企業によっては、医療費が高額になったとき、高額療養費に上乗せして給付を受けられる「付加給付」や、後期高齢者医療制度に加入するまで勤めてきた会社の健康保険に加入できる「特例退職被保険者制度」を設けているところがあります。退職後に加入する健康保険を考える際に検討してもよいでしょう。

前佛 朋子 ファイナンシャル・プランナー(CFP®)・1級ファイナンシャル・プランニング技能士

2006年よりライターとして活動。節約関連のメルマガ執筆を担当した際、お金の使い方を整える大切さに気付き、ファイナンシャル・プランナーとなる。マネー関連記事を執筆するかたわら、不安を安心に変えるサポートを行うため、家計見直し、お金の整理、ライフプラン、遠距離介護などの相談を受けている。

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