22/06/24
6月に給与手取りが減る人・増える人 手取りを増やすにはどうする?
6月の給与明細書を受け取って、給与の手取りが変わって驚いたという経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。給与が上がらないのなら、節税できる方法で手取りを増やすしかありません。
今回は、給与から引かれる税金のうち住民税について、手取りに関わる注意点を確認していきましょう。
どうして6月に手取りが変わるのか?
給与から引かれる税金には、所得税と住民税があります。このうち住民税は、事業や仕事で得た収入から経費や控除を差し引いた「所得」に対して、地方自治体が課す税金です。住民税は、去年の1月から12月の所得が基準になる、後払い的な要素が強い税金です。
住民税は、前年の1月1日現在の住所地の自治体に納めることになっています。会社員や公務員などの人は、前年の12月に会社が年末調整で、所得計算をしてくれます。フリーランスや自営業の人は、毎年2月16日から3月15日までに確定申告を行います。こうした計算データをもとに、5月に市区町村が住民税を計算して賦課します。
市区町村によって、若干のずれはありますが、5月ごろに住民税決定通知書が手元に届きます。住民税決定通知書は、会社員や公務員の人は勤め先から手渡しされ、その他の人は住民税決定通知書と納付書が自宅に送付されます。
住民税は、会社員や公務員の場合6月から翌年5月までに12回に分けて給与から天引きされます。それ以外の人は年4回(6月・8月・10月・翌年1月)に分けて自分で納付します。
6月に手取りが減る人はどんな人?
給与が前年と同じなのに、「6月に手取りが減った」人は、住民税の負担が増えている人です。住民税の納付額は「所得の10%+5000円前後」になることから、昨年の年収が高かった人は住民税の負担が増えます。また、社会人2年目の人は、前年に給与から住民税が引かれていないので、特に負担が大きく感じられるでしょう。
このように、住民税の負担が増えることによって、給与の手取りが減ることになるのです。
6月に手取りが増える人はどんな人?
一方、6月に手取りが増える人は、どんな人なのでしょうか。
先ほどお話したように、住民税は、収入から経費(会社員等なら給与所得控除)や控除を差し引いた金額にかかります。このうち、給与所得控除は収入によって決まりますが、所得控除は人により異なります。つまり、所得控除を上手に使いこなすことで、所得の金額を下げ、手取りを増やすことができます。
たとえば、ふるさと納税をして、都道府県、市区町村へ寄附した分は、寄附金控除として住民税から一定額を控除することができます。控除の対象となるふるさと納税額は、総所得金額等の30%です。自分の応援したい自治体に寄付をすることで住民税が安くなるだけではなく、返礼品として地場の商品をもらうこともできます。
さらに、iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)で老後の私的年金づくりをすると、小規模企業共済等掛金控除として、全額所得から控除することができるため、住民税や所得税が安くなります。そのうえiDeCoは運用益に対しても非課税で、受取り時の税金にも優遇がされています。
ふるさと納税もiDeCoも、ぜひ利用しましょう。
このほかにフリーランスや個人事業主の方の場合には、小規模企業共済に加入すると、最高年間84万円の掛金が控除できます。また、確定申告で青色申告を行うと、最高65万円控除できます。住民税の税率は10%なので、青色申告だけで年間6万5000円の節税になります。
さらに、コロナ禍の影響もあり、収入が大きく減少した、災害で被害を受けた場合などは住民税が減免できる場合があります。市区町村で減免の内容が違うので、納期限前に相談することで住民税を安くできる場合があります。住民税の減免は、会社員で特別徴収されている方でもできますので、気になる方はお住まいの市区町村にたずねてみてください。
手取りを増やすためにはどうすればいい?
住民税を減らすためには、年末調整や確定申告をきちんと行うことが必要です。所得控除できるものがあったとしても、面倒だからそのままにしておくという人もいるのではないでしょうか。所得税の最低税率は5%ですが、住民税は一律10%です。所得税より高額な住民税だということもあり得ます。上で紹介したiDeCoも、税金を安くするには年末調整または確定申告が必要です(ふるさと納税は「ワンストップ特例」を利用しない場合は確定申告が必要)。
また、住民税決定通知書が届いたら、ミスがないかどうか確認することも重要です。ふるさと納税では、確定申告「第二表」の記入漏れや、ワンストップ特例の自治体の処理ミスで「税額控除額」や「摘要欄」に反映できていない場合もあります。この場合、住民税が減っていない可能性があります。
住民税を減らし、手取りを多くするためですから、面倒くさがらずに必ず手続き・確認しましょう。
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池田 幸代 株式会社ブリエ 代表取締役 本気の家計プロ®
証券会社に勤務後、結婚。長年の土地問題を解決したいという思いから、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)を取得。不動産賃貸業経営。「お客様の夢と希望とともに」をキャッチフレーズに2016年に会社設立。福岡を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
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