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24/06/12

相続・税金・年金

遺族年金「男女の違い」がなくなるのは本当か

遺族年金「男女の違い」がなくなるのは本当か

大切な家族が亡くなった後に遺族年金がもらえるかどうかは、みなさんもきっと気になるところでしょう。一方で、「遺族年金の制度が変わるかもしれない」といった話を耳にし、不安に感じている人もいるかもしれません。

公的年金はこれまでも、社会のさまざまな変化に合わせて見直しが行われてきました。そして2024年、厚生労働相の諮問機関である社会保障審議会(以下、審議会)において、現代社会の価値観にはあまり馴染まないと思われる、遺族年金の「男女の違い」に焦点を当てた議論が行われているところです。そこで今回は、遺族年金の仕組みを解説しながら、遺族年金の男女差をめぐってどのような見直しが行われようとしているのかを見ていきます。

遺族基礎年金の男女差は2014年に解消済み

遺族年金には、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類がありますが、受け取れる年金の種類や年金額は、亡くなった人の年金の加入履歴や遺族の状況によります。

遺族基礎年金は、受給対象となる遺族が「子のある配偶者」や「子」に限定されている点がポイントです。以前は、残された妻子の生活の安定を図ることを目的に、「子のある妻」もしくは「子」に対してのみ支給されていましたが、2014年4月から「子のある夫」にも支給対象が拡大されました。

一方で、これから紹介する3つの給付(および加算)は、支給対象が妻だけ、もしくは夫への支給には制限がかけられている点で、その公平性が指摘されていることは言うまでもありません。

遺族年金における男女差(1):遺族厚生年金

厚生年金保険の被保険者、もしくは被保険者だった人が亡くなった場合に支給される遺族厚生年金。その年金額は、亡くなった人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3ですが、厚生年金保険の加入期間が300月(25年)に満たない場合には300月とみなして計算されるなど、従前の生活を保障する役割が期待されています。

●遺族厚生年金の議論のポイント①:55歳未満の夫は受け取れない

遺族厚生年金は、亡くなった人によって生計を維持されていた遺族(子のある配偶者、子、子のない配偶者、父母、孫、祖父母)のうち、最も優先順位の高い人に支給されます。

<遺族年金を受けることができる遺族と年金の種類>

日本年金機構「遺族年金ガイド(令和6年度版)」より

男女差が注目されるのは、このうち「子のある配偶者」および「子のない配偶者」です。生計維持要件を満たしている妻は、年齢に関係なく年金をもらい始めることができますが、妻が亡くなったとき55歳未満だった夫には受給権が発生せず、他の遺族が受給権者となります。さらに、遺族基礎年金の受給権を有する場合を除いて、受給開始は60歳からです。

審議会でも、男性のみに年齢要件が求められていることに対して、その公平性が指摘されています。年齢要件の撤廃もしくは、妻にも年齢要件を課す意見も合わせて出されており、今後の議論に注目です。

●遺族厚生年金の議論のポイント②:子のない妻も30歳以上なら一生涯もらえる

2004年の改正によって、夫が亡くなったときに30歳未満で子のない妻に対する遺族厚生年金は「5年」の有期給付とされましたが、30歳以上であれば、失権の事由等に該当しない限りは一生涯支給されることになります。しかしながら、55歳未満の男性(夫)が受給権すら得られないなか、その公平性が指摘されるのは、やはり自然な流れと言えるでしょう。

<遺族年金の支給対象者(子、父母、孫、祖父母を除く)>

筆者作成

有識者の間では、子のない現役期の遺族厚生年金については、配偶者の死亡直後の激変に際して生活を保障するための給付として整理し、有期化の可能性を探った方がよいとする意見が出されています。一方で、現役期に死別した遺族配偶者の高齢期の保障や、中高齢期の遺族配偶者にまで有期化の範囲を拡大することに対する懸念が示されている点にも注目です。

遺族年金における男女差(2):中高齢寡婦加算

「中高齢寡婦加算」とは、夫が亡くなったときに40歳以上で子のない妻や40歳に達した当時に子がいた妻、つまり遺族基礎年金が支給されない妻に対し、65歳になるまでの間、遺族厚生年金に612,000円(2024年度・年額)を加算する仕組みです。

中高齢寡婦加算は、中高齢の妻が就労して十分な所得を得ることは困難であり、かつ遺族厚生年金だけで生活を営むことは困難であることから設けられています。しかしながら、将来に向けて存在意義そのものを問う声が有識者からも上がるのは、女性の就労環境をめぐる変化や公平性の観点からも自然な流れと言えるでしょう。

遺族年金における男女差(3):寡婦年金

国民年金の第1号被保険者(任意加入被保険者を含む)としての期間が10年以上ある夫が、老齢基礎年金や障害基礎年金を受け取ることなく亡くなった場合、夫によって生計を維持され、10年以上婚姻関係のあった妻(事実婚も含む)は、60歳から65歳になるまでの間「寡婦年金」を受け取ることができます。

寡婦年金の額は、亡くなった夫の第1号被保険者期間に係る老齢基礎年金額の4分の3。「夫の保険料の掛け捨て防止」および「60代前半の寡婦の所得保障」が目的とされていますが、妻がいる男性の保険料だけ掛け捨て防止の対象にする正当性が、審議会でも指摘されているところです。

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1980~90年代に遺族年金の男女差を解消した欧米諸国

遺族年金の見直しに向けた議論が、マスコミでも盛んに報じられるようになってきました。これまで紹介してきたような、男女で異なる遺族年金のさまざまなルールの多くは、会社員の夫と専業主婦の妻を前提としたものであり、女性の社会進出が当たり前の令和の時代において、みなさんが違和感を覚えるものばかりかもしれません。

果たして遺族年金における男女差を解消する見直しは本当に行われるのでしょうか。遺族年金の制度そのものが女性の社会進出を阻害するという指摘があるなか、議論がこれまで以上に本格化することはほぼ間違いないと言ってよいでしょう。労働市場においてはいまだ男女の格差が見られるものの、欧米諸国では今の日本よりも格差があった1980~90年代に遺族年金の男女差が解消された過去も、この動きを後押ししているようです。

ところで、すでに遺族年金をもらっている人からは見直しを不安視する声も聞かれますが、経過措置期間を長めに設けるといった形で、現在の遺族年金受給者に十分配慮する必要性が有識者から示されていることは、最後に伝えておかなければなりません。

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遺族年金の男女差をめぐる本格的な議論は始まったばかり

今回は、遺族年金における「男女の違い」に注目して、厚生労働相の審議会で見直しの議論が始まった背景や、どのような議論が行われているかを解説しました。2024年夏ごろには、公的年金制度の財政が将来に向けて健全であるかを、5年に一度検証する「財政検証」の結果が公表される予定です。それと合わせて、遺族年金の見直しに関する話題を耳にする機会が、さらに増えてくることでしょう。中には、過度にみなさんの不安を煽るような情報もあるかもしれませんが、今回の内容も踏まえて、まずは冷静に議論の推移を見守ることが大切です。

神中 智博 ファイナンシャルプランナー(CFP®︎)、1級DCプランナー

1992年宮崎県生まれ。関西学院大学会計大学院を修了後、NTTビジネスアソシエ西日本で、NTT西日本グループの決算や内部統制、DX等の業務に従事。2022年10月に兵庫県で独立系FP事務所ライフホーカーを開業し、現在に至る。NISAやiDeCoを活用した資産形成など、金融系に関する記事をオンラインメディアでも多数執筆。特に、現役世代が今日からできる老後資金対策に力を入れており、「老後不安バスター」として、だれもが老後に向けて自信を持てる社会を目指して奮闘中。
Twitter→https://twitter.com/lifehawker

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