22/05/17
つみたてNISAの利用率はたったの5%って本当か
つみたてNISAは日本に住んでいる20歳以上(2023年からは18歳以上)の人が利用可能な非課税制度。毎年40万円までの投資で得られた利益を20年にわたって非課税にできます。では実際、つみたてNISAはどのくらいの人が利用しているのでしょうか。今回は、つみたてNISAの利用率や利用状況、つみたてNISAの積立投資の効果について紹介します。
つみたてNISAの利用率は5%
預貯金でお金を増やすことが望めない今、つみたてNISAは、金融庁の基準を満たす投資信託・ETF(上場投資信託)に投資できること、少額からコツコツ投資ができることから、利用者が年々増えています。
金融庁「NISA口座の利用状況調査」(2021年12月末時点・速報値)によると、2021年12月末時点のつみたてNISAの口座開設数は約518万件となっています。
ただ、つみたてNISAの利用者を「利用率」で考えると、まだまだ少なく感じるかもしれません。総務省の「人口推計」(2021年10月1日時点)によると、20歳以上の日本人の人口は約1億270万人。つみたてNISAの利用率は518万件÷1億270万人=約5%となります。
20歳以上の方が利用できるNISAにはもうひとつ、毎年120万円までの投資の利益を5年間非課税にできる一般NISAがあります。一般NISAの口座開設数は1248万件となっています。したがって、一般NISAの利用率は1248万件÷1億270万人=約12%。つみたてNISAと一般NISAはどちらか片方しか利用できない(併用できない)ので、合わせると約17%となります。
せっかく投資の利益が非課税にできるのに、つみたてNISAは20人に1人、一般NISAも含めると6人に1人しか非課税制度を利用していないとなると、少々もったいないと感じるかもしれません。
買い付け金額は年々増加している
2018年に制度がスタートしたつみたてNISAは、口座数、買付金額とも毎年増加傾向となっています。2018年3月末から2021年12月末までの間、一般NISAは約130万口座増加しています。対して、つみたてNISAは約460万口座も増加しています。
●つみたてNISAと一般NISAの口座開設数と買付金額の推移
金融庁「NISA口座の利用状況調査」をもとに筆者作成
また、つみたてNISAの口座数を年代別に見てみると、20代~40代の若い世代でつみたてNISAが多く利用されていることが分かります。時間分散が大事な積立投資において、資産形成に長い時間をかけることができ、一度設定してしまえばあまり手間をかけずに資産形成ができるという点で若い世代に好まれる傾向にあります。
●年代別つみたてNISAの口座数
金融庁「NISA口座の利用状況調査」(2021年9月末)をもとに筆者作成
今後も初心者でも始めやすいつみたてNISAの活用はますます進んでいくのではないでしょうか。
相場下落時でも慌てずに続けることが大切
つみたてNISAは長期・積立・分散投資で堅実にお金を増やせる制度ですが、一時的に株価が下がっている時は含み損をかかえてしまうこともあります。
現状、ウクライナ情勢の影響で世界の金融市場は不安定な状況になっています。ですから、特に最近になってつみたてNISAを始めたという人は、含み損を抱えていることも多いかと思います。
しかし、こうした下落時こそ積立投資が本領を発揮します。積立投資では商品を一定額ずつ購入するので、商品を安く買うことができます。その結果、将来値上がりした時に利益が出しやすくなる効果が期待できます。
●20年間毎月1万円を投資した効果
金融庁「つみたてNISAはやわかりガイドブック」より
上記グラフは2001年から2020年までの20年間、毎月1万円を投資した効果を表しています。総投資総額240万円に対し、日本株式であれば503万円、全世界株式であれば624万円と、大きく資産を増やすことができています。
一時的に元本割れを起こしている時期もありますが、全体的に右肩上がりのグラフになっています。ですので、一時的な値下がりですぐ売却してしまうのではなく、できるだけ長くコツコツと運用を続けることをおすすめします。
まとめ
つみたてNISAの利用率は現状5%ですが、今後ますます若い世代を中心に利用されることが想定されます。一時的な株価の下落があったとしても、企業や経済が成長する限り、株価はやがて上昇に向かうでしょう。ですから、これからも積極的に活用すべきでしょう。もし、短期的に含み損を抱えていたとしても、慌てて売却せずに「安く買うことができる」とプラスの気持ちに切り替え、積立投資を継続していくことが大切です。
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渡部ナオコ ファイナンシャルプランナー
大学卒業後から現在まで金融業界一筋のアラサーワーママ。結婚・出産・子育て・マイホーム購入などの自身の経験から、一人でも多くの女性の悩みを解決したいと思い執筆を開始。
プライベートでは一人娘の育児に奮闘中。
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