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22/03/31

資産運用・経済

50歳からでもiDeCoを上限いっぱい今すぐ始めるべき理由

50歳からでもiDeCoを上限いっぱい今すぐ始めるべき理由

2022年5月よりiDeCoの加入可能年齢が65歳へと引き上げられます。それにより、50歳からiDeCoを始めたとしても最長で15年間の拠出期間がもてることとなりました。今回は、50歳からでも、上限いっぱい始めるとどのような効果が出るのかを紹介します。

法改正でより長くiDeCoの運用ができるようになる

2022年、iDeCoの法改正が行われます。主な変更点は次の3点です。
・2022年4月:iDeCoの資産の受取開始年齢が「60歳〜70歳まで」から「60歳〜75歳まで」と5年延長
・2022年5月:iDeCoの加入可能年齢(掛金を拠出し、積み立てることができる年齢)が「60歳まで」から「65歳まで」と5年延長(国民年金に加入していることが条件)
・2022年10月:企業型確定拠出年金(企業型DC)とiDeCoの併用がしやすくなる

特に4月と5月の改正によって、これまでより長くiDeCoの運用ができるようになります。仮に50歳でiDeCoを始めると、最長15年掛金を拠出し続けることができます。さらに、75歳まで受け取らずに運用すると最長25年間非課税で運用することができます。

50代になると退職のことを考え始める方が多くいらっしゃいます。現在は、65歳や70歳まで働く方も珍しくない時代となりました。その背景には、人生100年時代と言われるように、60代でも元気に働けることや、長生きリスクに備え動けるうちは働いて老後に備えたいというお気持ちの方が多いようです。法改正によって、このようにiDeCoを利用できる人や期間が拡大するので、老後の資産形成により役立てられるでしょう。

50歳からでもiDeCoを上限いっぱい使うメリット

iDeCoの最大の魅力は、節税効果があることです。その中でも、所得控除と非課税運用は大きなメリットです。

iDeCoで拠出した掛金は、全額が所得控除の対象となります。iDeCoで拠出した金額を所得から差し引いて税金を計算してくれるため、毎年の所得税や住民税が安くできる、ということです。
また、投資では運用して得た利益に対して本来20.315%の税金がかかりますが、iDeCoでは非課税運用が可能。税金を引かれることなく利益を受け取れます。

今回の改正で、運用期間が長くとれるようになりましたので、所得控除や非課税運用ができる期間もこれまでより長くなります。つまり、iDeCoのメリットの効果を長く受けることができるようになります。

では、50歳からiDeCoを掛金の上限いっぱいで始めた場合に、どのくらいの所得控除・非課税の効果があるのでしょうか。

iDeCoの掛金の上限は、厚生年金に加入しているか、勤め先に企業年金があるかなどで変わります。たとえば、企業年金のない会社に勤めている厚生年金加入者の場合、掛金の上限は月2万3000円(年27万6000円)です。

50歳から65歳までの15年間iDeCoを利用して掛金を拠出すると、掛金の合計は414万円。仮にこの方の所得税率が5%(住民税率は10%)だった場合、毎年の所得税が1万3800円、住民税が2万7600円、合わせて4万1400円安くなります。15年間だと合計で62万1000円も安くなるのです。

加えて、運用益が出るとどうなるでしょうか。仮に15年間運用して年1%の利回りが得られたとすると、元本と運用益の合計は約446.5万円。元本414万円から約32.5万円増えています。これが年3%だと約522万円(+108万円)、年5%ならば約614.8万円(+200.8万円)となる計算です。

さらに、65歳から75歳までの10年間は、新たに掛金を拠出することはできませんが、非課税で運用を続けることができます。仮にiDeCoで年3%ずつ増やす運用をして貯めた522万円を10年間運用し続けて、同じく年3%ずつ増やせたとすると、資産の合計は約704.4万円になります。

今回の例では、税金が62.1万円安くなり、元本414万円が704.4万円と約390万円増やせることがわかりました。運用の成果は市場次第とはいえ、iDeCoの所得控除と非課税の効果を理解して頂けたかと思います。

PayPay証券

預貯金は物価上昇で目減りする

iDeCoを使わなくても、自分には預貯金があるから大丈夫だと思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、モノの値段が上がるインフレが起これば、現金の価値は目減りします。

大手銀行の普通預金の金利は年0.001%です(2022年3月21日時点)。金利はATMの手数料ですぐになくなってしまう程度の金額しか受け取れません。これでは、モノの値段が上昇するとお金が減ってしまうというわけです。「預貯金があればお金がなくならない」というのは、正しいようで厳密には正しくない考え方です。

それに、預貯金では所得控除が受けられません。すでにお話ししたように、税金を安くできれば、その分手元に残るお金は多くできます。

ですから、老後の資金を準備したいのであれば、たとえ50歳からでも税優遇が受けられるiDeCoを始めることをお勧めします。

iDeCoは月5000円から始められますが、一律の手数料が掛かりますので、掛金が少ないと手数料の負担割合が多くなってしまいます。また、所得控除は掛金が多いほうがたくさん受けられますので、掛金は可能な限り上限いっぱい出していただくのが良いと思います。

また、対象の商品は、定期預金、保険、投資信託から選べますが、上記の例で取り上げた1%、3%、5%のような利回りを得るには投資信託一択です。
50代から資産形成を考え始める方、特に運用経験があまりない方ですと投資に躊躇してしまい先延ばしにしてしまう方が多くいらっしゃいますが、早く始めて長く続けるほどリスクを抑えて安定運用することにつながります。

まとめ

iDeCoの制度改正によって、50歳からでも最長で15年間iDeCoで掛金を拠出し、75歳になるまで非課税で運用できるようになります。50歳からでも決して遅くはありません。iDeCoを利用して所得控除と非課税の税優遇を受け、公的年金の上乗せとして活用することをお勧めします。

小塚歩 ファイナンシャル・プランナー(CFP®)

大手証券会社、IRリサーチ会社を経て、ファイナンシャル・プランナーとして独立。FP事務所 まいまねい 代表。人生100年時代だからこそ、もっと金融を身近に感じてほしく、セミナー活動を通して、金融リテラシーや金融教育を広めるセミナー講師。得意分野は投資・金融資産運用。

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