22/02/08
iDeCoの死亡一時金の受取り期限は5年、請求しないともらえないって本当?
老後のために始めたiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)でも、もしも受け取り前に亡くなってしまったら、遺族が死亡一時金を受け取ることができます。
ただし、受け取りには5年の期限があります。遺族からの請求が期限までになされなければ、iDeCoの死亡一時金は国庫に入り、遺族は受け取れなくなります。
制度の詳細と、気を付けるポイントについてお伝えします。
iDeCoの死亡一時金とは?
iDeCoに加入した人が、お金を受け取れるのは原則として60歳から。それまでは引き出すことはできません。
しかし、死亡した場合は特別です。死亡一時金を遺族が受け取れます。
死亡一時金は、iDeCoの運用商品を所定の日に売却し現金化したもの。「もう少し運用してから受け取ったほうがおトクかも?」と思っても、売却日を指定することはできません。
また、年金受け取りにすることもできません。遺族はiDeCoそのものを引き継ぐのではなく、解約して現金化された一時金を受け取ることになります。
iDeCoの死亡一時金を請求できる遺族とは?
iDeCoの死亡一時金は、請求できる遺族の順位が定められています。
① 配偶者(内縁を含む)
② 亡くなった方に生計を維持されていた、下記の方
(1)子
(2)父母
(3)孫
(4)祖父母
(5)兄弟姉妹
(6)その他の親族
③ 亡くなった方に生計を維持されていなかった、下記の方
(1)子
(2)父母
(3)孫
(4)祖父母
(5)兄弟姉妹
亡くなった方に配偶者がいる場合には、配偶者が請求して受け取ります。
配偶者がいなかった場合には、順位が次の人が受け取りますが、配偶者以外の遺族については、亡くなった方に生計を維持されていたかどうかがポイントになることに注意してください。
子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹がいても、それぞれ独立した生計を営み、亡くなった方が生計を維持していなかったら、順位は③となります。これらの親族がいたとしても、たとえば亡くなった方が生前に老齢の叔父(=②の「その他の親族」)を引き取って生計を維持していた、といった場合には、その叔父が死亡一時金の受取人になるということです。
ただし、配偶者、子、父母、孫、祖父母および兄弟姉妹のうちから、あらかじめiDeCoの死亡一時金受取人を指定することもできます。
その場合は先ほどの順位に優先されるので、必ず受け取って欲しい人がいたら指定しておくといいですね。
受け取り期限が過ぎたら国庫へ
iDeCoの死亡一時金は、受け取れる権利があっても自動的にお金が振り込まれるわけではありません。「死亡一時金の裁定請求」という、遺族からの手続きをする必要があります。手続きは、死亡した方がiDeCoの口座を開設していた金融機関に問い合わせ、必要な書類などを確認して進めるとスムーズです。
iDeCoの死亡一時金が高額だと、相続税が高くなってしまうかもしれないと心配になるかもしれませんね。iDeCoの死亡一時金は、「みなし相続財産」として相続税の対象になりますが、法定相続人×500万円までは非課税です。
しかし、そもそも亡くなった方がiDeCoに加入していたことを遺族が知らなければ請求のしようもありません。
死亡してから5年以内に請求しないと、iDeCoの死亡一時金は相続人のいないものとみなされて、国庫に帰属することになります。そうなってからでは、もう遺族が受け取ることはできなくなってしまいます。
iDeCoの死亡一時金は、加入年数に関係なく、加入者が亡くなった場合に遺族が受け取れるものです。iDeCoに加入したら、家族にも伝えておくといいでしょう。
遺言やエンディングノートといった、大げさなものではなくていいのです。
iDeCoに加入したことを日常の会話の中で話題にしたり、生命保険の証券などと一緒に「大切な書類」としてiDeCoの契約関連の書類もまとめておいたり、負担にならない方法を選ぶといいですね。
そして万が一の場合でも、後悔しない準備をしておきましょう。
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タケイ 啓子 ファイナンシャルプランナー(AFP)
36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
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