23/12/10
フリーランスが労災の対象に!労災はどんなときにどんな給付が受けられるのか
勤務中にケガや病気に見舞われた時、労災保険から保険金が支払われます。労災保険に加入するには原則として会社員など事業主から雇用されていることが条件ですが、早ければ2024年秋からすべての業種のフリーランスも加入できるようになるそうです。そこで今回は労災保険とはどのような制度か紹介します。
労災保険に加入できる人が増える
労災保険とは、労働者が業務中や通勤時に負傷をしたり、病気を患ったり、あるいは亡くなられたりした場合に、被害を受けた労働者もしくは遺族の方に支払われる保険です。労災保険は事業主が労働者を雇用する場合は加入する義務があります。
正社員の方はもちろんのこと、勤務時間に関係なくパート・アルバイト社員も労災保険への加入義務があります。公務員の場合は「公務員災害補償制度」という制度で保証されます。なお、保険料は全額事業主が負担しています。
一方で、労災保険は労働者のための保険のため、原則フリーランス、事業主、会社役員といった人は加入できません。しかし、ITフリーランス、個人タクシー業者、大工、とび職人、はり師、俳優など、一定の業種の方は「特別加入制度」の対象になっており、自己負担で労災保険に加入できます。
特別加入制度の対象者は、少しずつ広がっています。近年では歯科技工士や自転車配達員(ウーバーイーツなどの配達の仕事をする人)も追加されました。
2024年秋から、この特別加入制度の対象がフリーランス全業種に広がる見込みです。企業から業務委託を受けて、企業で働く労働者と同じ環境であることが加入の条件で、約270万人が対象になると見られています。
労災保険はどんなときに対象になる?
労災保険に加入すれば、勤務中のケガや病気の際に保険金が受け取れます。
労災保険の支給要件は主に「業務災害」と「通勤災害」の2つに分けられます。
●業務災害
事業主の管理下の下で、業務中に発生した事故や病気は「業務災害」といって、労災保険の対象となります。したがって、業務時間外や昼休みなどにプライベートのことでケガをした場合は保険の対象外です。また、風邪をひいたなどの場合も、業務上の理由がなければ業務中に発症しても業務災害の認定はされません。
●通勤災害
自宅と職場の往復、就業場所から他の就業場所への移動、そして単身赴任先住居と帰省先住居との間の移動時に発生した事故や病気を「通勤災害」といい、労災保険の対象になります。ただし、通勤途中に寄り道をするなど、合理的な経路以外での事故や病気は対象外となります。なお、たとえば帰宅途中に日用品を購入するなど、日常生活のための寄り道は、寄り道以降の区間も保険の対象となります。
労災保険の補償は手厚い
労災保険の対象となると、以下のような補償が受けられます。
●療養(補償)等給付
業務上の理由や、通勤中の病気やケガを治すための療養費が支給されます。労災保険指定医療機関等で受診した場合に療養を受けられる「療養の給付」と、労災保険指定医療機関等以外で受診した場合にかかった費用を支給する「療養の費用の支給」の2種類あります。原則として病気やケガが治るまで無料で療養が受けられます。
●休業(補償)等給付
業務災害、通勤災害のどちらかに認定された場合、災害に合って休業して4日目から1年6カ月まで受取れる給付です。1社にお勤めの場合、おおよそ月給の8割が支給されます。
【休業(補償)等給付金の計算方法】
休業給付=(給付基礎日額の60%)×休業日数
休業特別支給金=(給付基礎日額の20%)×休業日数
※給付基礎日額…事故が発生した日、または医師の診断によって疾病の発生が確定した日の直前3か月間に支払われた賃金の総額を暦日数で割った金額
●傷病(補償)等年金
休業してから1年6カ月を超えても、傷病が治らない場合に受け取れる年金です。傷病等級に応じて、傷病(補償)等年金、傷病特別支給金および傷病特別年金が支給されます。
●障害(補償)等給付
傷病の症状が回復しても一定の障害が残った場合、障害の状況に応じた日数分の年金を受領できます。
●遺族(補償)等給付
業務上の理由や、通勤時に亡くなった場合、遺族に年金もしくは一時金が支給されます。生計を共にしていた遺族がいる場合は遺族数に応じた年金、生計を共にした遺族がいない場合は一定の範囲の遺族に一時金が支給されます。
●葬祭料等(葬祭給付)
葬儀代が発生した際に、支給されます。支給額は①315,000円+給付基礎日額の30日分、②給付基礎日額の60日分 のいずれか高いほうです。
●介護(補償)等給付
傷病(補償)等年金もしくは障害(補償)等年金を受給している方が介護を受けている場合に、その介護に必要な費用が支給されます。常時介護の場合は、介護の実費に対して、上限171,650円、随時介護の場合は上限85,780円の給付を受けられます。また、親族などに介護を受けて、実際に介護費が発生していない場合も一定額が給付されます。
●二次健康診断等給付
定期健康診断等の結果において、腹位もしくはBMI、血圧、血糖、血中脂質の4項目全てに異常の所見が認められた場合に二次健康診断及び特定保健指導を受けられます。
2024年秋に向けて加入を検討しよう
いかがでしたか?現在企業にお勤めの方は、もしもの時のためにあらかじめ保険金の請求方法など確認しておくとよいでしょう。特別加入制度対象外のフリーランスの方も2024年の秋に向けて、労災保険を学び加入をするか検討しておきましょう。
なお、健康保険から支給される傷病手当金も病気やケガで休む場合に受け取れる保険金のため、労災保険と類似していますが、こちらはプライベートで傷病が発生した場合の保険です。そのため、労災保険との二重請求はできませんので覚えておきましょう。
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金子圭都 ファイナンシャルプランナー(CFP︎®︎)
学生の頃、親族の死をきっかけにお金について学び、ファイナンシャルプランナーの資格を取得。お金の勉強をする女性コミュニティでイベントの企画・運営に3年間携わり、のべ200人以上のお金の悩みに寄り添う。その後独立し、お金の不安を安心に変えるマネー相談を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー。
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