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23/10/17

相続・税金・年金

10月から年金振込額が減る人がいるのは本当か

10月から年金振込額が減る人がいるのは本当か

老後生活を支えてくれる大切な老齢年金。しかし、人によっては10月から年金の振込額が減るケースがあります。それは本当なのでしょうか?また、年金の振込額が減ってしまう場合、どのような理由で年金が減るのか気になりますよね。そこで今回は、10月から年金の振込額が減るのはどうしてなのか、その理由を紹介します。

10月から年金の振込額が減る理由

老齢年金は、65歳になって請求手続きをするともらえるようになります。そして、年金の受給が開始すると、年金は基本的に偶数月(4月・6月・8月・10月・12月・翌年2月)に2カ月分ずつ指定した金融機関の口座へ振り込まれます。

ただ、場合によっては10月からもらえる年金額が減る人もいます。なぜ10月というタイミングで年金額が減るのでしょうか?
その理由は、税金や社会保険料の徴収方法が、10月から年金からの天引きとなる「特別徴収」に変わるためです。この特別徴収になる対象者は、以下のような人です。

・老齢基礎年金の年額が18万円以上である
・介護保険料と国民健康保険料(または後期高齢者医療保険料)の合計額が、公的年金額の2分の1を超えていない

また、特別徴収による税金や保険料は、年金の受給や所得、税額や保険料額の決まり方が影響し、それが年金の振込額に反映されます。ここに10月から年金の振込額が減る根本的な理由があります。具体的には、次のとおりです。

●10月から年金の振込額が減る理由1:老齢年金の受給が1年目だから

会社員だった方はこれまで、税金や社会保険料が給与天引きになっていました。けれども会社を退職した後は、住民税や国民健康保険料、介護保険料は、納付書や口座振替による普通徴収で収めます。
そして原則65歳以降に年金の受給が始まりますが、受給額が年額18万円以上の場合、税金や国民健康保険料(75歳以上の人は後期高齢者医療保険料)、介護保険料の納め方が年金天引きの特別徴収に変わります。

年金の受給が1年目の場合、特別徴収が始まるのは10月からと決まっており、4月1日時点で65歳になっている人は、その年の10月から特別徴収に変わります。また、4月1日の時点で65歳になっていない人(年度の途中で65歳になる人)は、翌年の10月から特別徴収に変わります。

年金の受給1年目の人は当初、税金や国民健康保険料、介護保険料を普通徴収で収めます。そのため、銀行口座に振り込まれる年金額は受給額がそのまま振り込まれます。けれども、特別徴収に変わった途端、年金から税金や国民健康保険料などが天引きされるので、振り込まれる年金額が減るのです。

とはいえ、今まで納付書で支払ってきたものが年金天引きになるだけですから、家計の収支が変わるわけではありません。

●10月から年金の振込額が減る理由2:前年の所得が一昨年よりも増えたから

毎年10月になると、特別徴収額が変更になります。なぜなら、4月から9月に反映される特別徴収額は一昨年の所得を基に計算されますが、10月以降の特別徴収額からは前年の所得が反映されるからです。そのため、一昨年の所得に比べ、前年の所得が増えている人は10月からの特別徴収額が変更となり、年金の振込額が減ります。

住民税や国民健康保険料は、前年の所得をもとに計算されます。また介護保険料も、前年の所得や住民税の課税状況により保険料額が変わります。仕事で収入を得たり、雑所得や不動産所得などが発生したりすると、場合によっては前年の所得が一昨年よりも増えているケースもあるでしょう。あるいは、医療費控除の額が減ったり、扶養家族の人数が減ったりした場合も所得が増えることになります。

所得が増えると、住民税や国民健康保険料、介護保険料が増額します。増えた住民税や国民健康保険料、介護保険料が反映されるのは10月からです。そのため、前年の所得が一昨年よりも増えると、10月から年金の振込額が減るのです。

●10月から年金の振込額が減る理由3:4月・6月・8月の特別徴収は仮徴収だから

年金受給が2年目以降の人でも、10月以降に振り込まれる年金額が減ることがあります。年金は、1年分を4月、6月、8月、10月、12月、翌年2月に分けて、2カ月分ずつ振り込まれます。特別徴収の場合、毎年10月に特別徴収額が変更となることから、4月から8月は税金や国民健康保険料などは仮徴収となり、10月以降が本徴収となります。そのため、年金の受給が2年目以降の人でも、10月からの本徴収が仮徴収より徴収額が増える場合、年金の振込額が減るのです。

では、住民税や国民健康保険料、介護保険料の納付方法を見てみましょう。また、補足として後期高齢者医療制度に移行する人の場合もご紹介します。

○住民税の場合
特別徴収の対象者が納める住民税は、年金の振込にあわせ4月・6月・8月・10月・12月・翌年2月の6回に分けて年金から天引きされます。その際、仮徴収となる4月・6月・8月分は、前年度の税額の半分を3分の1ずつに分けて徴収されます。そして、本徴収となる10月・12月・翌年2月は、本年度の税額から4月・6月・8月に徴収された分を差し引いた残りを3分の1ずつに分けて徴収されます。このとき、所得が増加していたり、扶養人数の変更があったりして、本年度の税額が増えていれば、年金の振込額は減ります。

○国民健康保険料・介護保険料の場合
国民健康保険料や介護保険料も4月・6月・8月に納める分は仮徴収となり、前年度2月と同額の保険料が徴収されます。そして10月・12月・翌年2月の保険料は本徴収となり、年間の保険料から4月、6月、8月に納めた分を差し引いた額を3分の1ずつに分けて徴収されます。このような調整により10月以降に徴収される保険料額が増えれば、年金の振込額は減ります。

○後期高齢者医療保険料の場合
国民健康保険から年度の途中で後期高齢者医療制度に移行する場合、国民健康保険料が特別徴収であった人も、一定期間は特別徴収が停止になって普通徴収に変わります。しばらくは後期高齢者医療保険料を納付書か口座振替で支払うので、年金天引きがなくなり、年金の振込額が一時的に増えます。その後、後期高齢者医療保険料の特別徴収が始まると、年金天引きとなるため年金の振込額は減ります。特別徴収への移行時期については、役所の担当窓口で確認しましょう。

すでに後期高齢者医療制度に加入している人は、国民健康保険料や介護保険料と同じです。4月・6月・8月は仮徴収となり、前年度2月と同額の保険料が徴収されます。そして10月・12月・翌年2月の保険料は本徴収となり、年間の保険料から4月、6月、8月に納めた分を差し引いた額を3分の1ずつに分けて徴収されます。

年金振込通知書は必ず確認しよう

日本年金機構では、年金を口座振込でもらっている人に対し、毎年6月に「年金振込通知書」を送付しています。

●年金振込通知書のイメージ

日本年金機構のウェブサイトより

年金振込通知書には6月から翌年4月まで(2か月に1回)の年金支払額と、介護保険料額、所得税額、住民税額、国民健康保険料額(74歳まで)、後期高齢者医療保険料額(75歳から)が記載されています。また、10月からの年金支払額などに変更がある場合も年金振込通知書が送られてきます。年金支払額から税金・社会保険料を引いた「控除後振込額」がいくらか確認しておきましょう。

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10月以降の年金額の増減をチェックしよう

10月から年金の振込額が減ってしまう人がいることをご紹介しました。
自分がこれからもらえる年金額や特別徴収される税金、社会保険料額がどのようになっているか確認し、把握しておくことはとても大切なことです。内容を確認しないでいると、突然年金額が減ったように見えて慌ててしまうかもしれません。もし手元に年金振込通知書が届いたら、必ず内容を確認し、10月以降の年金額がどうなったか、チェックしておきましょう。

前佛 朋子 ファイナンシャル・プランナー(CFP®)・1級ファイナンシャル・プランニング技能士

2006年よりライターとして活動。節約関連のメルマガ執筆を担当した際、お金の使い方を整える大切さに気付き、ファイナンシャル・プランナーとなる。マネー関連記事を執筆するかたわら、不安を安心に変えるサポートを行うため、家計見直し、お金の整理、ライフプラン、遠距離介護などの相談を受けている。

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