22/01/18
医師の年収はどのくらい? 勤務医と開業医の違いはある?
世にたくさんある職業のなかで、収入が高いイメージが強いのが、医師ではないでしょうか。人の命や健康を預かる大切な仕事ですし、高度な知識が求められる仕事でもありますが、年収も気になるもの。医師の年収は、実際にはどれくらいなのでしょうか? 厚生労働省「医療経済実態調査」を基に医師の最新の年収事情を紹介します。
勤務医と開業医の違いとは
医師と一口に言っても、「勤務医」と「開業医」では、働き方も給与も大きく違います。
勤務医とは、病院やクリニックの従業員として働く医師のこと。開業医とは自らクリニックを経営する医師のことです。
ちなみに、医師は、医師免許を取得したのちに、初期研修を経てから勤務医となるので、医師としてのスタートは主に勤務医となります。
勤務医の最大のメリットは何といっても安定感です。サラリーマンと同様、雇用されている立場なので、最低限の給与は保障されているうえ、病気やケガで働けなくなってしまった場合にも保障を受けることができます。経営や宣伝に時間を割く必要がないので、医療行為や研究に没頭できるという点もメリットです。デメリットとしては開業医に比べて収入が低いことや夜勤や宿直があることがあり、ライフワークバランスを保つことが難しいといわれています。
開業医は自分の裁量で仕事ができるので、比較的自由がある上、自ら経営しているため勤務医より高給、地域貢献することができるなどのメリットがあります。一方デメリットとしては、資金繰りや経営、トラブルの対処なども自力で対応する費用があること、体調不良でも代診が頼めないことなどが挙げられます。
医師の年収はどのくらい?
ここでは、厚生労働省「医療経済実態調査」のデータをもとに、主な病院の医師(勤務医)と病院長(院長)の平均年収をご紹介します。
●医師の年収
厚生労働省「第23回医療経済実態調査」より作成
一般病院はベッド数が20床以上の医療機関、一般診療所は19床以下の医療機関です。そして国立・公立・医療法人など、さまざまな開設者がいます。医師の年収はもっとも少ない医療法人の一般診療所でも約1200万円、公立の一般病院では約1470万円となっています。やはり、かなりの高給ですね。賞与の金額には、かなりばらつきがみられます。
●病院長(院長)の年収
厚生労働省「第23回医療経済実態調査」より作成
医療機関のトップ、病院長(院長)ともなると、年収はさらにアップ。医療法人の病院長(院長)ともなると、実に3000万円前後となっています。その他の形態でも、2000万円前後となっていることがわかります。
ただし、大手企業のサラリーマンと違い、退職金が少ないという特徴があります。
退職金は、大学病院に定年まで勤務する場合には支給されますが、医局を通じて転々と渡り歩いたり、医局を抜けたりした場合にはほとんど出ないことが一般的です。
医師になるには、どれくらいかかるの?
一般的には高収入の部類に入る医師ですが、医師になるまでにもそれなりのコストがかかります。医師になるために入学する医学部は6年間の学費がかかる上、私大医学部の場合はかなり高額です。国公立大学の場合には約350万円ですが、私大の場合は安くても2000万円弱、高ければ4700万円ほどかかる大学もあります。
それに加え、医師を目指すための予備校代、勉学にかかる教科書や専門書代、地元から離れる場合には一人暮らしの費用などもかかるので、大きなお金がかかります。加えて、勉強もたくさんしなくては当然医師にはなれません。年収が高いのは、そうした事情も加味したものといえるでしょう。
まとめ
一番平均年収の少ない一般診療所の勤務医でも約1200万円と、他業種と比べて高収入な医師。
「うらやましい!」というため息が聞こえてきそうですが、厳しい面もあります。病院によりますが、仕事量や仕事時間を自分でコントロールできない勤務医は激務になりがちですし、開業医は開業費用の負担や経営を自分自身で担う必要があり、就業条件としてはハードな部類に入るといえます。さらに、医師になるまでのコストを考えると、果たして、それに見合う年収なのか…難しいところです。
コロナ禍となり、さらに激務となった医師たちに感謝するとともに、就業条件が改善していくことを願います。
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城山ちょこ ライター
東京海上日動火災保険出身。慶応大学院SDM研究科修了。
2013年よりライターの道へ。執筆ジャンルは金融(保険)、働き方、子育て、結婚など女性のライフスタイル全般。2児の子育てと仕事の両立に日々奮闘中。丁寧でわかりやすい記事をモットーとしています!
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