21/10/26
キャッシュレス派は現金派より預貯金が多いという事実
近年キャッシュレス決済が急速に広まりつつあります。キャッシュレス決済を利用すれば、手元にお金がなくても買い物ができ、ポイントが貯まります。とはいえ、キャッシュレス決済は使いすぎる心配があると考える方も少なくありません。では、本当にキャッシュレス決済を利用すると無駄遣いが増え、貯金ができないのでしょうか? PayPay銀行が行った調査をもとに解説します。
キャッシュレス派の方が現金派よりも預貯金が多い
PayPay銀行は2021年9月、「コロナ禍のキャッシュレス決済利用と預貯金」に関する意識・実態調査の結果を公表しました。これによると、買い物のときの主な決済手段は「キャッシュレス」が約6割(59.5%)、「現金」は約4割(39.6%)なのだそうです。キャッシュレス派のほうが多いのですね。
「現在預貯金をしている」と回答した人の現在の預貯金額をキャッシュレス派・現金派別にみると、次のようになっています。
●現在の預貯金額
PayPay銀行「コロナ禍のキャッシュレス決済利用と預貯金に関する意識・実態」より
現金派よりもキャッシュレス派の方が、預貯金100万円未満の割合が多いことがわかりました。さらに預貯金が100万円以上ある回答者の割合を見ると、いずれもキャッシュレス派の方が現金派より預貯金が多い傾向にありました。
また、老後の預貯金として目標にしたい金額も、キャッシュレス派・現金派別にみると、次のようになっています。
●老後の預貯金として目標にしたい金額
PayPay銀行「コロナ禍のキャッシュレス決済利用と預貯金に関する意識・実態」より
老後の預貯金の目標額が1000万円以上の方は、現金派よりもキャッシュレス派の方が多い結果になりました。むしろ、現金派の方が老後の貯金は考えていないと回答している方の割合が多い結果となっています。
同調査で現金派の方に「現金派」である理由(複数回答)を聞いたところ、「現金が安心だから」65.9%、「キャッシュレスだと使い過ぎそうだから」28.8%などとの回答があったそうです。しかし、キャッシュレス派だからといって現金派よりも預貯金が少ない、という事実はないことがわかりました。老後の貯金への意識も高いようです。
キャッシュレス派の方が現金派よりも預貯金を増やせている3つの理由
キャッシュレス派の方が、現金派よりも預貯金を増やせていることが不思議な方も多いかもしれません。では、なぜキャッシュレス派の方が預貯金を増やせているのでしょうか? その理由について見ていきましょう。
●何にいくら使ったかわかるので無駄使いを防げる
キャッシュレス決済をする場合、アプリやWebサイト上で残高や取引履歴をかんたんに確認できます。支出を正確に把握することで、用途不明な支出が減り、無駄使いを避けられます。その結果、節約意識も高まるでしょう。
一方で現金で支払いをした場合、レシートや領収書をもらっても家計簿をつけていなければ、何にいくらつかったのか把握ができません。加えて、うっかりレシートをもらい忘れるケースもあるので、正確に支出を把握するのは難しいといえます。
●クレジットカードよりも多くのポイントがもらえる
キャッシュレス決済の魅力の1つは利用ごとにポイントがもらえる点です。還元率はキャッシュレス決済サービスにより異なりますが、たとえばPayPayでは基本0.5%、利用状況などによって最大1.5%のポイント還元が得られます。
また、クレジットカードを登録して支払いをすると、クレジットカード単体で利用するよりもポイント還元率がアップします。たとえば、楽天ペイでは以下の3つをやれば、最大2.5%分のポイントがもらえます。
・楽天カードから楽天ペイにチャージ(楽天キャッシュ)で0.5%還元
・支払い時に楽天カードの提示で1.0%還元
・楽天ペイで楽天キャッシュを使って支払えば1.0%還元
仮に毎月10万円を楽天ペイで支払った場合、2500円分もポイントが貯まります。ポイントを活用すればするほど、現金派よりもキャッシュレス派のほうがお得になっていきます。
●銀行やコンビニのATMに支払う手数料が減る
買い物をする際に、お金が足りなくなったので、近くの銀行やコンビニにあるATMでお金を下ろした経験がある方も多いでしょう。ただ、ATMを利用する場合、数百円の出金手数料がかかるケースがほとんどです。1回だけならたいした出費になりませんが、何回も繰り返し利用した場合、手数料だけで1000円以上かかる可能性もあります。
しかし、キャッシュレス決済なら手元にお金がなくても支払いができるので、余計な手数料を支払う必要はありません。その結果、多少なりとも貯金ができるようになります。
キャッシュレス決済でお金を使いすぎない3つのコツ
キャッシュレス決済は、現金よりもスムーズに支払いができ、ポイントも貯まります。しかし、なかにはキャッシュレス決済だからと、ついつい利用しすぎる方もいます。そこで、キャッシュレス決済でお金を使いすぎないためにはどうすればよいのか解説します。
●定期的に支出をチェックする
キャッシュレス決済のアプリでは、過去の履歴をかんたんに確認ができます。ただ、実際にどのくらい使っているのか把握していなければ、支出を減らすのは難しいでしょう。そのため、定期的にアプリで支出をチェックしてください。支出をチェックすれば、何にいくら使ったのかわかるだけでなく、自分で決めた予算の範囲内で生活しようと考えるからです。
●キャッシュレス決済サービスを併用しすぎない
キャッシュレス決済サービスを提供している会社は多くあります。そのため、利用しているキャッシュレス決済サービスが増えすぎて、管理しにくくなる方もいます。複数のキャッシュレス決済サービスを利用する必要はありません。支出の管理をしやすくするためには、多くても2,3社までに絞ってください。
●ポイント目的で買い物をしない
節約するために、なるべくポイントがたくさんつく方法で買い物をする方も多いでしょう。ただ、いつの間にかポイント獲得が目的になっていませんか? 不要なものまで買った場合、ポイント以上に支出は増加します。ポイントを得るために買い物をした結果、生活が苦しくなっては元も子もありません。そのため、明らかに欲しくないものや今すぐ買わなくてもよいものまでキャッシュレス決済を使わないようにしてください。
まとめ
意外なことにキャッシュレス派の方が、現金派よりも預貯金が多い傾向にあります。キャッシュレス決済の方が支出を把握でき、ポイントが活用でき、ATMの手数料を節約できます。そうして節約志向になる可能性が高いからと考えます。もっとも、預貯金を増やすためには、定期的に支出を把握したり、ポイント目的の不要な買い物を避けたりしなければなりません。キャッシュレス決済をうまく使いこなして、お金が貯まる家計にしていきましょう。
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小栗健吾 現役のFXトレーダー及びWEBライター
地方の大学を卒業後、会社員を経て、WEBライターとして活動中。FXや仮想通貨の取引経験(FXは8年以上)があり、現役トレーダーの目線で記事を多数執筆している。また、現在はFXだけでなく、「キャッシング」「副業」「節税」などマネー系の記事も多く執筆している。
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