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21/08/05

家計・ライフ

60歳貯金ゼロ、悲惨な老後生活からの脱出方法

「60歳で貯金ゼロ!これで、悲惨な老後生活が決定か?!」と諦め顔のAさん。
自分の暮らしぶりは中流くらいのつもりだけど、2人の子どもの教育資金と住宅ローンで、とてもじゃないけど老後資金まで貯める余裕なんてこれっぽっちもなかった。「どうしてこんなことになったのだろう」と、ため息まじりのつぶやきが漏れました。

じつは、Aさんだけではありません、60歳で貯金がゼロという人は珍しくはないのです。
PGA生命の「2021年の還暦人(かんれきびと)に関する調査」によると、60歳の4人に1人が貯蓄100万円以下という結果でした。

では、60歳で貯金がゼロという人には、ほんとうに悲惨な老後生活が待っているのでしょうか?
そんなことはありません。まだまだ、バラ色で愉しい老後生活に変えることはできるのです。今回は貯蓄ゼロのAさんの例を分析しながら、豊かな老後生活の資金計画を考えていきましょう。

貯蓄ゼロ・退職金も消えたAさんの家計をチェック

Aさんは、中堅の電機メーカーの営業部長で、60歳で定年を迎えました。子どもは2人、結婚が遅かったので、59歳のときにやっと下の子どもが大学を卒業しました。住宅ローンは70歳までですが、退職金を使って完済しました。しかし、退職金900万円は、住宅ローンにすべて消えました。
そんなわけで、預貯金はゼロになりました。

預貯金がゼロでは、そのまま引退というわけにはいきません。
幸い、60歳以降の再雇用が決まっています。給与は下がるものの、それでも月額40万円にはなるので、これで65歳まではなんとかなりそうです。
また、会社で入っている企業年金がありました。企業年金は、10年間84万円の年金(月額7万円)を受け取れます。Aさんの勤めていた企業の退職金制度には、一時金と年金の両方があります。

Aさん夫婦の生活費を確認しましょう。
Aさん夫婦の月額の支出は約35万円です。60歳前は、住宅ローンと教育費で月50万円は消えていたのですから、その負担がかなり軽くなりました。
ちなみに、Aさんの年金の受給額は65歳で180万円(月額15万円)、妻は100万円(約8万円)です。

PayPay証券

60歳から65歳で貯蓄生活が可能に

Aさんの定年以降、60歳から65歳の生活を見ていきましょう。

毎月の生活費などの支出は35万円です。それに対し、収入は給与40万円と企業年金7万円で、合計47万円です。と言うことは、毎月12万円の黒字です。
この12万円(年間144万円)を貯蓄に回せば、65歳までに720万円(144万円×5年)が貯まることになります。これで、老後資金を少し貯めることができますね。

65歳から70歳はちょっと苦しい生活に

問題は、65歳以降の生活です。65歳で再雇用が終了するため、収入が減ってしまうからです。

Aさんが考えたのは、70歳まで年金の繰下げ受給をすることです。
そのためには、もう少し働く必要があります。65歳で再雇用が終了した後も、幸い週3日の就労で再雇用を延長してもらえました。給与は月18万円になりました。
また、収入が減ってしまうのですから、生活費をもう少し節約する必要があります。そこで、毎月の支出目標を30万円に設定しました。

すると、Aさんの毎月の収入は、給与18万円と企業年金7万円の合計25万円、毎月の支出は30万円。毎月5万円の赤字になってしまいます。ですが、この月5万円を65歳までに貯めた老後資金で穴埋めします。70歳の時には、老後資金が320万円に減ってしまう(720万円-〈赤字5万円×12ヵ月×5年〉=320万円)ので、とても心配ですが、なんとか元気で乗り切ろうと言うことです(なお、もしもの場合は、繰下げ受給をしている年金を一括で受け取れることもできます)。

70歳以降にバラ色の老後生活が実現

いよいよ、70歳以降の老後生活です。ついに、企業年金も終わってしまいました。完全に退職したので給与もありません。貯金も65歳から5年間取り崩したので、320万円に減ってしまいました。

ここからは、完全に年金だけの生活になります。
それでは、Aさん夫婦の年金の受給額を見てみましょう。

Aさん夫婦は繰下げ受給を選んだので、年金の受取額は増えています。年金を繰下げ受給すると年8.4%の増額になります。5年繰り下げたので42%の増額です。

Aさんの年金は年額180万円が255.6万円(月額21.3万円)、妻の年金は年額100万円が142万円(月額約11.8万円)になりました。Aさんの場合、70歳まで厚生年金に加入しながら働いていたので、さらに上乗せになり、月額約22万円以上にはなっているはずです。ですから夫婦の年金額は合計月額34万円になっています。

毎月の生活費の支出は30万円ですので、毎月4万円の黒字になります。70歳からは、年金だけで十分生活できるどころか、毎月約4万円の貯蓄ができるようになるわけです。貯蓄をすることで、もしもの場合に対応可能なお金を準備することができます。

PayPay証券

まとめ

60歳で貯蓄ゼロというと、それだけで悲観してしまいそうです。しかし、Aさんは60歳以降もきちんと働いて、年金の繰下げ受給を活用することで、70歳以降の悲惨な老後生活をバラ色の老後生活にできました。繰下げ受給で増えた年金は、一生涯増額した金額で受け取ることができるので、Aさん夫婦は、このあと、あまりお金の心配をせずに過ごせるでしょう。それだけでも豊かな老後に近づけるということがいえます。

長尾 義弘 NEO企画代表

ファイナンシャル・プランナー、AFP、日本年金学会会員。徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。1997年にNEO企画を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生み出す。新聞・雑誌・Webなどで「お金」をテーマに幅広く執筆。著書に『コワ~い保険の話』(宝島社)、『こんな保険には入るな!』(廣済堂出版)『お金に困らなくなる黄金の法則』『最新版 保険はこの5つから選びなさい』『老後資金は貯めるな!』(河出書房新社)、『保険ぎらいは本当は正しい』(SBクリエイティブ)。監修には年度版シリーズ『よい保険・悪い保険』など多数。

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