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21/06/01

家計・ライフ

高齢夫婦世帯の家計収支が黒字と発表。老後資金を準備する必要はないのか

2019年に世間を騒がせていた「老後2000万円」問題。老後を不安に感じた人も多いでしょう。しかし、2020年のデータを見ると、夫婦高齢者無職世帯の収支はなんと黒字に転じています。黒字ということは、もう老後資金の心配はしなくていいのでしょうか? あらためて老後の必要資金について考えてみましょう。

そもそも老後2000万円不足する?

2019年に話題になった「老後2000万円」問題。金融庁の市場ワーキンググループが作成した報告書の一部が取り上げられ連日報道されました。「2017年の家計調査報告をもとにすると、65歳以上夫婦の無職世帯の家計収支は約5万円不足することになる。あと20年から30年の人生があるとすると単純計算で1300万円~2000万円になる」という内容でした。

実際に、2017年の家計調査報告で高齢夫婦無職世帯の家計収支を見ると

(内訳)
・収入(実際に手取りとして使える可処分所得):18万958円
・支出(消費支出):23万5477円
・収支:5万4519円の赤字

と、毎月約5.5万円の赤字となっているのです。
これが20年間続けば5.5万円×12ヶ月×20年間=約1300万円、同様に30年ならば約2000万円の赤字に。その分、資産の取り崩しが必要になるという内容です。

金融庁の市場ワーキンググループが作成したこの報告書は、老後資金を自助努力で準備することの大切さを伝える意図があったといえます。

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2020年は高齢世帯の収支が黒字に

しかし、2020年の家計調査報告では、不足額が急激に減少しています。

●夫婦高齢者無職世帯の家計収支

総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)」(2020年)

65歳以上夫婦のみの無職世帯の家計収支は、
・可処分所得:22万5501円
・消費支出:22万4390円
・収支:1111円の黒字
と、黒字になっているのです。

●高齢単身無職世帯の家計収支

総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)」(2020年)

同様に、単身世帯は
・可処分所得:12万5423円
・消費支出:13万3146円
・収支:7723円の赤字
と、赤字の金額が少なくなっているのです。

「老後2000万円問題」と同様に、老後の人生が30年あるとして計算をすると、夫婦のみの世帯なら1111円×12ヶ月×30年間=約40万円残ることに。また単身世帯でも、7723円×12ヶ月×30年間=約278万円不足と、2000万円よりもずっと少ない金額になっています。これならば、老後資金の不足で悩むことはないかもしれません。

2020年はコロナの一時的な影響

果たして、2020年の結果をみて、老後は安泰と思っていいのでしょうか?
残念ながら、そうではありません。コロナの流行前年である2019年の家計調査報告のデータと比べると、2020年のデータはコロナの一時的な影響を受けていることが考えられるのです。

たとえば収入のうち可処分所得は、夫婦世帯で2019年約20.6万円→2020年約22.5万円と約1.9万円増加しています。これを単純に12倍すると22.8万円です。しかし、2020年に支給された特別定額給付金は一人10万円だったので、夫婦で20万円とするとおおよそ金額が合います。つまり、2020年の特別な収入増と読み取れます。

また、支出は23万9947円から22万4390円と1万5557円減っています。これらは、自粛生活により旅行やレジャー、人との交際でお金を使う機会が減ったことが大きな要因といえます。実際、教養娯楽費は2万4804円から1万9746円と5146円、交際費は2万5749円から1万9658円と5923円減少しています。

つまり、2020年の夫婦高齢者無職世帯の収支黒字データは、コロナウイルスにより給付金で収入が増え、自粛生活で支出が減ったための一時的な収支改善といえるのです。2020年の結果だけで「老後資金は心配ない」と安堵することはできないのです。

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用意しておきたい金額は?

コロナウイルスが発生する前の2019年は
・可処分所得:20万6678円
・消費支出:23万9947円
・収支:3万3269円の赤字
と、老後2000万円問題の根拠になった2017年のデータよりも収支は改善していました。

この数字をもとに、仮に100歳まで生きるとして不足する金額を計算すると、3.3万円×12ヶ月×35年間=1386万円ですから、約1400万円となります。
また、家計調査報告には病気や介護などの万が一の費用が含まれていません。これを(300万円×人数分)と考慮して加えると、夫婦ならやはり2000万円は用意しておきたいといえます。単身なら1000万円+万が一の費用300万円で1300万円くらいが目安です。

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まとめ

2020年の家計調査報告のデータは老後資金の不足額が減ったように見えますが、それはコロナの影響があることを紹介しました。
もっとも、年金がいくらもらえるかは働き方や家族構成によって変わり、支出がどれくらいかかるのかはそれぞれのライフスタイルによって異なるため、どの人も2000万円必要とは限りません。自分のもらえる年金額、自分の将来の支出を具体的にイメージして自分ごととして必要額を考えてみましょう。

稲村 優貴子 ファイナンシャルプランナー(CFP︎︎®︎)、心理カウンセラー、ジュニア野菜ソムリエ

大手損害保険会社に事務職で入社後、お客様に直接会って人生にかかわるお金のサポートをする仕事がしたいとの想いから2002年にFP資格を取得し、独立。現在FP For You代表として相談・講演・執筆活動を行っている。日経ウーマン、北海道新聞などへの記事提供、テレビへの取材協力など各メディアでも活躍中。著書『年収の2割が勝手に貯まる家計整え術』河出書房新社。趣味は、旅行・ホットヨガ・食べ歩き・お得情報収集。FP Cafe登録パートナー

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