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21/10/05

相続・税金・年金

毎年、年金額が増える「在職定時改定」とは? 年金カットされる場合もあるので注意点を確認

人生100年時代が到来し、65歳以降も働き続けるという選択をする方がずいぶんと増えてきました。そのなかで、2022年4月より厚生年金の「在職定時改定」という制度が開始されます。在職定時改定は、年金をもらいながら65歳以降も厚生年金の加入しながら働く方にとってメリットのある制度です。今回は、在職定時改定のしくみと注意点を解説いたします。

毎月保険料を支払っていても、年金額はすぐには増えない

厚生年金に一定の加入歴があれば、65歳の時点で「老齢厚生年金」を受け取ることができます。最近では65歳以上になり年金を受給しはじめる一方で、継続して働き続けるケースも多くなっています。その場合、原則として65歳以上の会社員は、「給与」と「年金」という2つの収入を得ることになります。

また、老齢厚生年金は厚生年金に長く加入するほど増額されるしくみのため、65歳以降も厚生年金に加入しながら働く場合には、現在の年金額がさらに増えることになります。65歳以降も働くことは、老後のマネープランにおいて一石二鳥のメリットをもたらす選択肢ともいえます。

ただし現行の制度では、65歳以降も厚生年金の保険料を毎月納めていても、年金受給額がすぐに増額されるわけではないのです。65歳以降の厚生年金の加入実績を含めて年金額が増額するのは、原則として「退職(厚生年金を脱退)した時」または「70歳になった時」のいずれかの時点となります。

例えば、65歳の会社員が70歳まで厚生年金に加入して働き続けた場合、65歳以降の厚生年金の加入実績が年金受給額に反映されるのは「70歳になってから」となります。65歳から70歳までの5年間については、毎月保険料は納めていても、その間に受け取る年金額が増えることはなく、制度上反映までにタイムラグが生じてしまっているため、「勤労意欲を阻害しているのでは?」という問題点がかねてから指摘されていました。

●65歳以上の厚生年金加入者の年金額改定の仕組み(現行)

厚生労働省ウェブサイトより

年1回、年金額が増える「在職定時改定」

2022年4月から開始される厚生年金の「在職定時改定」では、このような現行制度における年金受給額の矛盾を解消する目的で、毎年1回(10月分より)、直近1年間の年金保険料の納付実績を加味して老齢厚生年金の額を見直しします。

具体的には、毎年9月1日の時点で「厚生年金に加入している」場合、その前月である8月までの加入実績を年金額に反映して増額し、10月分(実際の支払いは12月)から増額された年金が支払われる、という仕組みになります。

●2022年4月からの「在職定時改定」の仕組み

厚生労働省ウェブサイトより

このように実際に支払った保険料が、早期に年金受給額に反映されることで、年金をもらいながら働く65歳以上の人の経済的基盤を少しでも充実させようというのが、この制度の目的です。

例えば、65歳以降に標準報酬月額20万円(実際の給与額は19万5000円以上21万円未満)で厚生年金に加入して1年間勤務し、在職定時改定が行われた場合には、一般的には年間で1万3000円ほど年金額が増額されることになります。65歳の社員が70歳まで上記の基準で厚生年金に加入して働き続けた場合、現行制度であれば70歳になるまで年金額が増えることはなかったものが、在職定時改定がスタートすれば、毎年約1万3000円ずつの年金額が増加するため、働いた結果が「年金の増額」という形でより実感しやすくなる制度といえるでしょう。

高所得者には「年金カット」の原因となる可能性も

在職定時改定が施行された結果、毎年、少しずつでも年金が増えれば、頑張って働こうと思えるものです。しかしながら、その結果、かえってデメリットにつながるケースもあるので注意が必要です。それは高額な報酬や年金を受ける高所得者の場合です。

前述のとおり、在職定時改定は、現行制度よりも早いタイミングで年金収入を増やす仕組みになりますが、この影響で「在職老齢年金制度」の対象となると、かえって年金がカットされてしまうこともあるのです。

在職老齢年金制度とは、厚生年金の被保険者が厚生年金を受給している場合に、その報酬と年金額によって、年金額が調整されてしまう制度です。在職老齢年金制度は、年金、賞与、給与の3つを合せて一定額を超えてしまう場合には年金額の調整が行われます。

具体的には65歳以上の人が「厚生年金に加入しながら働いている場合」に、
①給与(月額換算)
②賞与(月額換算)
③年金(月額換算)
の3つの金額を用いて、一定の計算を行った結果「月額47万円」を超えた場合には、超えた金額の2分の1の金額を「1カ月分の年金額」から減額するという仕組みです。

つまり、現行制度では在職老齢年金制度の対象とならない方でも、在職定時改定により年金額が増えたために、在職老齢年金制度の対象となり、年金がカットされる可能性があります。

また、在職老齢年金制度の年金カットは「支給停止額」と示されることから、将来的に返ってくるものと誤って認識しているケースが散見されています。残念ながら、一度カットされた年金はその後に支給されることはありませんのでこちらも注意しておきましょう。

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まとめ

在職定時改定によって、より早期に年金額が改定されるメリットがあるものの、一部の高額な報酬や年金を受ける層の場合には、毎年年金額が改定されるために、在職老齢年金制度によってカットされる可能性があり、注意が必要ということを解説いたしました。
そのため、在職老齢年金で年金がカットされる「月額47万円」を超えない範囲の給与額で勤務するという調整も必要になってくるでしょう。

しかし、多くの場合には、働いた分の成果がより早期に年金額に反映されるという点は大きなメリットです。また「社会とのつながりを維持すること」や「老後の生活基盤の安定」という観点からも、65歳以降も働き続けたほうが良いでしょう。ぜひ、ご自身の働き方の参考にしていただければと思います。

KIWI ファイナンシャルプランナー・社会保険労務士

長年、金融機関に在籍していた経験を活かし、個人のキャリアプラン、ライフプランありきのお金の相談を得意とする。プライベートでは2児の母。地域の子どもたちに「おかねの役割」や「はたらく意義」を伝える職育アドバイザー活動を行っている。

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