23/12/17
「楽天オルカン」と「オルカン」の違いは何?楽天オルカンがおすすめな人は
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「オルカン」の愛称で呼ばれている「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」。投資家に人気で、投資家が選ぶ投資信託のランキング「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year」でも4連覇を達成しています。
2023年10月27日、オルカンと同様のコンセプトの「楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド」(以下「楽天オルカン」)の運用がスタートしました。本稿執筆時点(2023年12月14日時点)では楽天証券のみで購入可能です。楽天証券では、ポイント還元のサービスも用意して販売に力を入れているようですが、楽天オルカンとオルカンはどう違うのでしょうか。比較してみていきましょう。
楽天オルカンはどんな投資信託?
楽天オルカンは、日本を含む全世界の株式市場の動きに連動する投資成果を目指して運用される、インデックス型の投資信託です。具体的には、「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」(MSCI ACWI)という指標との連動を目指します。
MSCI ACWIは、日本を含む世界の先進国23カ国・新興国24カ国、約3000もの株式で構成された指標。世界の株式市場の約85%をカバーしています。つまり、楽天オルカンを買うだけで、世界の株式市場に幅広く分散投資ができる、というわけです。
実は、オルカンもMSCI ACWIへの連動を目指す投資信託です。運用開始は2018年10月31日と楽天オルカンの約5年前ですが、投資家から幅広い支持を集めており、2023年12月13日時点で純資産総額1兆7523億円もの巨大ファンドに成長しています。5年リターン(年率)も15.07%と、きちんと成果を出しています。
2024年からの新NISA開始で、投資をする人が一段と増えることが見込まれます。それを踏まえて、後発の楽天オルカンがオルカンを意識して運用をスタートさせたものとみて間違いないでしょう。
実際、楽天オルカンの信託報酬(投資信託の保有中にかかるコスト)は当初、オルカンと同じ年0.5775%(税込、以下同様)でした。その後、2023年12月1日からは信託報酬を引き下げ、年0.0561%にしています。
楽天オルカンのニュースリリースによると、「他社類似ファンドの運用コストに注意を払い、信託報酬については機動的に引き下げを行うことによって業界最低水準を目指してまいります」とあります。それを有言実行した形ではありますが、オルカンを擁するeMAXIS Slimシリーズも業界最低水準の手数料を目指した引き下げには定評がありますので、今後さらなる値下がりもあるかもしれません。
楽天オルカンは投信残高ポイントプログラムの対象
楽天オルカンは、楽天証券の「投信残高ポイントプログラム」の対象です。投信残高ポイントプログラムは、対象の投資信託を保有することで、残高に応じて楽天ポイントがもらえるサービスです。対象の投資信託は、「楽天・プラス」シリーズと呼ばれる2本(2023年12月22日からは4本になる予定)の投資信託です。
●投信残高ポイントプログラムの対象商品とポイント還元率
・楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド(楽天オルカン) 還元率年0.017%
・楽天・S&P500インデックス・ファンド 還元率年0.028%
・楽天・先進国株式(除く日本)インデックス・ファンド 還元率年0.033%
・楽天・日経225インデックス・ファンド 還元率年0.053%
たとえば、楽天オルカンを100万円分保有していれば、1年間で楽天ポイントが170ポイントもらえる計算です。一見、そんなに多く感じないかもしれませんが、新NISAでの投資は数十年にわたることも珍しくないでしょう。また、100万円と言わず500万円、1000万円と投資する方もいるでしょう。そうなれば、もらえるポイントも多くなります。
楽天証券によると、楽天オルカンの信託報酬から投信残高ポイント分を差し引いた「実質コスト」は0.0391%になると紹介しています。
>>楽天証券はこちら
楽天オルカンの「その他の費用・手数料」はどうなるのか
「楽天オルカンとオルカンは連動を目指す指標が同じ」「楽天オルカンのほうが信託報酬が安い」「楽天オルカンは楽天ポイントがもらえる」となれば、楽天オルカンに分がありそうです。しかし、楽天オルカンには気になることもあります。それは、楽天オルカンの「その他の費用・手数料」です。
投資信託の主な手数料は、購入時手数料・信託報酬・信託財産留保額の3つです。このほか、投資信託にはその他の費用・手数料もかかります。その他の費用・手数料は、投資信託の目論見書に記載されています。
<オルカンの「その他の費用・手数料」>
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の目論見書より
オルカンの場合、その他の費用・手数料には、
・監査法人に支払われるファンドの監査費用
・有価証券等の売買時に取引した証券会社等に支払われる手数料
・有価証券等を海外で保管する場合、海外の保管機関に支払われる費用
・外国株式インデックスマザーファンドおよび新興国株式インデックスマザーファンドの換金に伴う信託財産留保額
・その他信託事務の処理にかかる諸費用 等
の5つが挙げられており、「ファンドが負担する」と示されています。これらは、前もって示すことができない手数料なので、目論見書にも記載されていません。
対して、楽天オルカンの目論見書の「その他の費用・手数料」は次のようになっています。
<楽天オルカンの「その他の費用・手数料」>
楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンドの目論見書より
楽天オルカンの場合、その他の費用・手数料には
・信託事務の処理に要する諸費用
・投資信託財産にかかる監査報酬
・法定書類の作成・印刷・交付にかかる費用
・その他投資信託財産の運営にかかる費用
・組入有価証券の売買の際に発生する売買委託手数料
・外貨建資産の保管に要する費用
・貸付有価証券関連報酬 等
の7つが挙げられており、「原則として受益者が負担する」とされています。オルカンより項目が多いですし、受益者が負担するという表現も気になります。
実際に、その他の費用・手数料がいくらかかっているかは、1年間の運用成果をまとめた「運用報告書」に記載されています。
オルカンの運用報告書(2023年4月25日時点)によると、1万口あたりの信託報酬は19円(0.113%)、その他の費用・手数料の合計は9円(0.053%)でしたので、合計28円(0.166%)でした(なお、オルカンの信託報酬は2023年9月8日に年0.1133%→0.05775%に引き下げられているため、この運用報告書では以前の信託報酬が表示されています)。
対する楽天オルカンは、本稿執筆時点(2023年12月14日時点)では運用開始から1年経っていないため、運用報告書もまだなく、その他の費用・手数料がいくらかかるかはわかりません。その他の費用・手数料の金額によっては、実質コストは楽天オルカンのほうが高くなることもあるかもしれません。1年後の運用報告書がどうなっているか、注目したいところです。
楽天オルカンがおすすめな人は?
以上を踏まえて、楽天オルカンがおすすめできるのは、次のような人です。
・楽天証券や楽天経済圏を活用している人
・これから全世界株へ投資したいと考えている人
>>楽天証券はこちら
楽天オルカンも、オルカンも、MSCI ACWIという、同じ全世界株の指標に連動を目指す投資信託です。現時点では信託報酬やポイントの制度は楽天オルカンに分がありますが、その他の費用・手数料まで含めると最終的にどちらが安いかは現時点でわからないことを紹介しました。
とはいえ、楽天オルカン・オルカンの信託報酬はすでにとても低い水準です。手数料に差が出るかもしれないといっても、それほど大きな差にはならないと思われます。楽天証券や楽天経済圏を普段から活用していて、楽天ポイントを貯めたい・使いたいというのであれば、楽天オルカンを選ぶのがよいでしょう。これから全世界株に投資する場合も同様で、楽天オルカンを選んでもいいと考えます。
一方で、オルカンにはこれまで多くの人に選ばれてきて、純資産総額が増えている実績もあります。そして、オルカンのさらなる信託報酬の値下げもあるかもしれません。すでにオルカンに投資しているならば、そのままオルカンでの投資を続けてもよいでしょう。
楽天オルカンとオルカン、どちらも優れた投資信託に違いはありません。全世界株の成長力を生かして、お金を増やしていきましょう。
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畠山 憲一 Mocha編集長
1979年東京生まれ、埼玉育ち。大学卒業後、経済のことをまったく知らないままマネー本を扱う編集プロダクション・出版社に勤務。そこでゼロから学びつつ十余年にわたり書籍・ムック・雑誌記事などの作成に携わる。その経験を生かし、マネー初心者がわからないところ・つまずきやすいところをやさしく解説することを得意にしている。2018年より現職。ファイナンシャル・プランニング技能士2級。教員免許も保有。趣味はランニング。
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