21/08/23
世界の平均賃金ランキング、1位はアメリカ。日本は何位?
日本経済は1990年代のバブル崩壊以降低迷。「失われた30年」と呼ばれています。給料がなかなか上がらず生活が楽になっていないと考える方も少なくありません。では、世界主要各国と比べて日本の平均賃金はどのくらいの水準なのでしょうか? OECDのデータをもとに紹介します。
2020年の平均賃金を見ると日本はG7の中で下から2番目
私たちの生活に密接に関わっている平均賃金。まずは、2020年の主要国の平均賃金を比較してみましょう。その結果を表したのが以下のグラフです。
●OECD各国の平均賃金(2020年・ドル換算)
OECD「Average wage」
OECD各国の中で最も平均賃金が高かったのは米国で、6万9392ドルでした。以下、アイルランド、ルクセンブルク、スイス…と続いています。日本は、22位となっています。
グラフ内、色がついている国はG7諸国。G7諸国で比べると、米国の後にカナダ、ドイツ、イギリス、フランスと続き、ようやく日本がランクインします(黄色)。そして最後にイタリアという順番でした。日本の平均賃金は3万8515ドルと、G7では下から2番目に低い水準となっています。日本の平均賃金は、世界の主要国と比べて高いとはいえないのです。G7最下位のイタリア(3万7769ドル)とも1000ドルも差がありません。実は、1999年以降2019年までは日本がG7最下位でした。
日本は1990年〜2020年まで、平均賃金がほとんど増えていない
次に1990年〜2020年の30年でG7各国の平均賃金がどのくらい増えたのか比較してみました。
●G7各国の平均賃金の推移(1990年〜2020年・ドル建て)
OECD「Average wage」より作成
1990年当時、日本の平均賃金は3万6879ドル。イギリスやフランスよりも高い水準でした。米国の平均賃金は4万6975ドルで、この当時から高水準でした。しかし、30年後の2020年と比べると、日本の平均賃金はわずかに1636ドルしか増えていません。増加率はわずかに約4.4%です。米国の平均賃金は6万9392ドルですから、増加額は2万2417ドル・増加率は約47.7%。大きな違いがあることがわかります。カナダ・ドイツ・フランスなども、30年間で1万ドル以上増えています。
グラフを見ても、日本とイタリアだけが平坦な形をしており、過去30年間日本の平均賃金がほとんど増えていないことがわかります。
平均賃金が上がらない時代にお金を貯める方法
日本の平均賃金が増えなかった原因として考えられる理由は、以下の3つです。
・企業による人件費の削減
・非正規雇用者の増加
・少子高齢化
1990年代前半にバブル経済が崩壊したことにより、業績が悪化した企業は、人件費削減のために給料を下げました。さらに、2000年代以降に労働者派遣法が改正されたことで、非正規雇用者の人数が大幅に増加しました。その結果、主要各国の平均賃金は大きく増加したにもかかわらず、日本の平均賃金はあまり増加しませんでした。さらに日本は少子高齢化で、経済が衰退していくことも懸念されます。今後も日本の平均賃金が大幅に増加することは考えにくいといえます。
日本全体の平均賃金が上がらない以上、大幅な給料のアップは期待できません。退職金や年金もあまり期待できないため、今後は、私たち一人ひとりが老後に備えなければなりません。そこで具体的な対策について紹介します。
●節約をする
老後に備えるためには、現役で働いている間に節約を行い、貯蓄を増やしておきましょう。節約の王道は固定費を削減すること。削減した固定費を貯めて、貯蓄を増やします。
家庭環境によって一概にこれを削減しよう、とはいえませんが、スマホ料金を格安SIM(格安プラン)に切り替える、生命保険を見直す、車を手放してカーシェアを利用する、住宅ローンを借り換えるなど、方法はさまざまです。仮に、年間20万円ずつ固定費を節約できたら、20年で400万円のお金を貯められます。
●副業をする
会社からの給料アップが見込めないのであれば、空いた時間に副業で稼いでみてはどうでしょうか? いまどきはパソコンだけで手軽に始められる副業も多くあり、月収を数万円以上増やせるケースもあります。月に3万円収入がアップすれば、年間で36万円になるのですから、大きいですよね。近年副業を認める会社も徐々に増加してきました。会社バレを気にせずに副業ができるため、挑戦する価値はあるでしょう。
●iDeCoで投資を行う
国からの年金だけでは満足のいく生活ができない可能性があります。将来に備えるためには、自分自身で年金を積み立てることも有効です。iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)で運用をすれば、60歳以降にその運用益を受け取ることができます。毎月の掛金は全額所得控除できるため税金が安くなりますし、運用益も非課税。受給する際にも控除を受けられるなど、高い節税効果があります。
まとめ
日本の平均賃金はG7各国の中でも最低水準。国際的に見ても、すでに高くはありません。そして残念ながら、今後も平均賃金の大幅アップは期待できないでしょう。
将来に備えるためには、節約・副業・iDeCoなど、お金を増やす手立てが大切。できるだけ早い時期から対策をしておけば、生活に困る可能性は低くなります。
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小栗健吾 現役のFXトレーダー及びWEBライター
地方の大学を卒業後、会社員を経て、WEBライターとして活動中。FXや仮想通貨の取引経験(FXは8年以上)があり、現役トレーダーの目線で記事を多数執筆している。また、現在はFXだけでなく、「キャッシング」「副業」「節税」などマネー系の記事も多く執筆している。
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