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23/06/24

資産運用・経済

新NISAとiDeCo、どっちを使うのがいい? 4つのポイントでプロが徹底比較

「新NISA」vs「iDeCo」4つのポイントで徹底比較!どっちを使うのがいい?

これまで資産形成にあまり関心がなかった方にとっては、NISAやiDeCoが税金の面でお得な制度であることは分かっていても、どのように選べばよいか判断に迷うかもしれません。今回は、2024年にパワーアップする新NISAの内容も踏まえたうえで、NISAとiDeCoの違いを4つの視点から比較。両制度がおすすめの人はどんな人なのか、解説します。

新NISA vs iDeCoのポイント1:手軽さが違う

新NISAもiDeCoも、利用するには金融機関への口座開設が必要です。まずは、スタートまでの手間や費用の面を比較しました。

●新NISA vs iDeCo 口座開設・手数料の比較

筆者作成

旧NISAの一般NISA・つみたてNISAと、2024年からの新NISAは、「18歳以上なら誰でも」、「無料で口座を開設して」、「100円から」始めることができます。
また、資産はいつでも引き出すことができるので、運用中に生活資金などが必要になった場合でも安心です。

iDeCoは、公的年金に上乗せされる私的年金という位置付けです。そのため、原則として60歳まで資産を引き出せないほか、65歳までしか加入できないといった制限がありますが、積み立てている資産は、税金の滞納処分を除いて差し押さえされないというメリットもあります。ランニングコストがかかる点も、iDeCoのデメリットかもしれませんが、2つ目のポイントで紹介する所得控除のメリットも考慮しながら判断するとよいでしょう。

新NISA vs iDeCoのポイント2:税メリットが違う

新NISAもiDeCoも、節税に役立つ「税メリット」のある制度です。

●新NISA vs iDeCo 税メリットの比較

筆者作成

国民の資産形成を後押しするNISAとiDeCoはともに、投資から発生する利益に対して通常かかる20.315%の税金がかかりません。旧NISAはこれまで、この非課税で保有できる期間が決まっていましたが、新NISAでは恒久的に非課税となります。したがって、これまで以上に特定の用途や目的に縛られることなく、資産形成に取り組むことができます。

iDeCoは、掛金の全額を所得から控除することで、所得税と住民税を軽減できます。受け取るときには、積み立てた年金資産に対して税金がかかりますが、ここでも一定額までは税金がかかりません。結婚や子育て、住宅購入などのライフイベントが重なる現役世代のなかには、老後資産を用意する余裕がないことに不安を抱えている方も多いと思われます。そのような不安を抱えている方は、iDeCoの3つの税メリットに注目するとよいでしょう。

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新NISA vs iDeCoのポイント3:投資できる上限額が違う

新NISAとiDeCoでは、投資できる上限額に違いがあります。

●新NISA vs iDeCo 投資上限額の比較

筆者作成

新NISAでは、非課税の対象となる1年間の投資額が最大360万円まで拡大されるほか、生涯で投資できる上限を1,800万円とする新たなルールが設けられました。生涯投資枠は、商品を売却することで復活し、年間投資額の範囲内で再利用できます。また、積立投資をする場合の掛金額もいつでも自由に変更可能です。税メリットと同様に、新NISAはライフプラン上の資金ニーズに合わせて柔軟に利用したい方におすすめです。

老後資産の形成を目的とするiDeCoは、国民年金の加入区分や、勤務先で企業年金が用意されているかによって、拠出できる掛金の額が異なります。ただ、新NISAに比べると掛金の上限額は少なくなっています。また、iDeCoでは年1回しか掛金額を変更できません。原則60歳まで引き出せない点に注意しながら、掛金の額を決めましょう。

新NISA vs iDeCoのポイント4:選べる商品が違う

新NISAとiDeCoでは、投資できる商品にも違いがあります。

●新NISA vs iDeCo 投資できる商品の比較

筆者作成

旧NISAでは、上場株にも投資できる「一般NISA」、株式投資信託とETF(上場株式投資信託)しか購入できない「つみたてNISA」のどちらかを選択する必要があります。新NISAでは、成長投資枠で一般NISA同様の投資、つみたて投資枠でつみたてNISA同様の投資が併用できるため、「コア・サテライト戦略」と呼ばれる、守りと攻め両方の資産形成にも取り組みやすくなる点に注目です。

iDeCoでは、定期預金や保険といった元本確保型商品も選べるため、元本割れのリスクを心配している方でも利用しやすい制度と言えるでしょう。しかし、なるべくなら運用益が非課税になるメリットを最大限に活かし、投資信託で運用されることをおすすめします。投資信託で育てた年金資産を元本確保型の商品に変える(スイッチングする)ことも可能。リスクを調整することは、受け取りを直前に控えた時期における戦略の1つです。

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まとめ

以上を踏まえて、新NISA・iDeCoがおすすめの方をまとめると、次のようになります。

【新NISAがおすすめの方】
・資産形成の目的が広範囲にわたる方
・さまざまな投資商品や投資スタイルに関心がある方
・少額から投資をしたい方

【iDeCoがおすすめの方】
・老後資産の形成が目的として明確な方
・一定の所得があり、節税の余地がある方
・60歳まで資産を引き出せなくても生活に支障がない方

新NISAとiDeCoは、どちらかの制度に優劣があるわけではありません。もちろん、資金に余裕があるならば、2つの制度を併用して効率よく資産を形成することが理想です。しかし、どちらを優先するか迷っている方は、今回紹介した4つの比較ポイントを参考にしながら、資産形成の一歩を踏み出しましょう。

神中 智博 ファイナンシャルプランナー(CFP®)

1992年宮崎県生まれ。関西学院大学会計大学院を修了後、NTTビジネスアソシエ西日本で、NTT西日本グループの財務や内部統制等の業務に従事。2022年10月に兵庫県神戸市で独立系FP事務所ライフホーカーを開業し、現在に至る。家計相談に加えて、公的年金や確定拠出年金(iDeCo・企業型DC)を活用した資産形成に関するテーマを中心に、執筆・講演活動も展開。「老後不安バスター」として、だれもが老後に向けて自信を持てる社会を目指して奮闘している。CFP®(日本FP協会認定)の他、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、1級DCプランナー、企業年金管理士(確定拠出年金)、一種外務員資格等を保有。
X(旧Twitter)→https://twitter.com/lifehawker

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