21/05/23
手取り25万円、30万円、35万円、40万円の理想の支出割合
「お金を貯めたいけど、収入が増えないから難しい」と思っている方はいませんか? 確かに、収入は多いに越したことはありませんが、実際は違います。年収が300万円でも貯めている人はいますし、逆に年収が1000万円でも貯められない人もいるのです。この両者の違いは、実は収入ではなく支出にあります。
今回は手取り25万円、30万円、35万円、40万円の理想の支出割合をご紹介。また、お金を貯めるために大切な支出の見直しについても、確認していきます。
手取り25万円、30万円、35万円、40万円の理想の支出割合は?
みなさんは何にお金を使っているか、きちんと把握していますか?
お金を貯めている人は「何にお金を使っているか」を分析・把握して、費目ごとに予算化しています。支出の費目別に予算を設定し、その予算内でお金を管理できていれば、赤字家計になることはありません。
また、実際の支出が把握できていれば、それを理想の支出割合と比較することもできます。比較することで、「この費目は使いすぎているから、ちょっと減らそう」などと、支出減の対策ができます。
手取り25万円、30万円、35万円、40万円の理想の支出割合の目安は以下の通りです。
●収入別・理想の支出割合の目安と金額
筆者作成
たとえば、家賃なら収入の20〜30%に収めるのが理想、という意味です。あわせて、手取り収入が25万円、30万円、35万円、40万円のときの目安となる支出の金額も記載しています。
もちろん、これはあくまで一例です。たとえば家賃にしても、住む地域や家族の人数(間取り)などによっても変わります。ですから、ほんの少し目安からずれているから絶対にダメ、というわけではありません。そこは実情に合わせて加減していただいて結構です。
ただ、大切なのは、毎月15〜20%の貯蓄を確保することです。毎月の貯蓄ができない状態では、当然ながらお金は貯まっていきません。ですので、ひとつひとつの費目を見直して、いくらまでに抑えるべきなのか、予算を立てていくことが必要です。
理想の支出の目安よりも大きく使い込んでいる費目があったら、そこは削減のポイント。いくらに抑えれば理想に近づけるのかを計算し、減らす手立てを考えます。
お金を貯めたければ、支出を見直す
とはいえ、「毎月何にお金を使っているのかわからない」という方も結構います。そこでオススメするのが「かんたん家計簿」をつけることです。家計簿というと、挫折した経験のある方もいるかもしれませんが、することはとってもかんたんです。
まず、買い物のときにお店でもらうレシートや家に届く領収書などを集めます。
それらを「固定費(家賃、保険料、通信・光熱費など)」「食費・交際費」「その他」の3つに分けて、封筒やクリアファイルなどに保管します。レシートが出ない支出は、メモをして入れておきます。また、複数の商品などが書かれていて分類に迷う場合は、金額の多い方に入れればOKです。
1か月分たまったら、それぞれの金額を合計します。あくまで大まかな支出の傾向を知るのが目的なので、1000円単位でOKです。こうして毎月チェックをすると、「今月は食費が高かった」「固定費がずいぶん多いな」などと、支出で気づくことがあるはずです。
さらに、レシートを見直して、購入したものに○△×の評価をつけていきます。必要な支出には○、不要な支出には×、そして曖昧な支出には△をつけます。そして来月は×のついた支出をしないようします。×がなくなったら、今度は△の支出もしないようにします。こうすることで、自然とお金が貯まっていきます。
毎月貯められる金額がわかってきたら、その金額を「先取り貯蓄」するようにします。先取り貯蓄は、給料などの収入が入ったときに、先に貯蓄分を取り分ける貯蓄の方法です。毎月の生活費を使った残りを貯める「後から貯蓄」では、出費の多かった月は貯められなくなるなど、貯蓄が不安定になりがち。でも、先取り貯蓄ならば、確実に貯蓄ができます。
支出は「固定費」から削ろう
支出の削減には、優先順位があります。ぜひ守っていただきたいのが、次の3つのポイントです。
①金額が大きい支出を節約する
②効果が持続する支出を節約する
③我慢が不要な支出を節約する
この3つのポイントに当てはまる支出、それは固定費です。
固定費は、毎月の支払額が決まっている支出。住居費、通信費、水道光熱費、保険料、習い事やサブスク(サブスクリプションサービス)の年会費などがあります。
これらは一度見直すと大きく支出が削減できます。しかも一度見直すだけで効果が持続しますし、我慢も不要です。食費や交際費といった変動費(やりくり次第で金額が変わる費用)よりも優先的に見直しましょう。
家計簿アプリを活用しよう
支出の分析には、家計簿アプリも便利です。家計簿アプリでは、スマホのカメラでレシートを撮影するだけで、金額を読み取って支出を記録できます。もちろん、自分で入力して記録することも可能です。また、金融機関などのサービスと連携して、自動的に入出金や口座の残高の記録をつけられるアプリもあります。さらに、こうして入力されたデータから家計簿や毎月の収支、推移をわかりやすく示してくれます。
家計簿アプリには、たとえば以下のようなものがあります。
●マネーフォワードME
マネーフォワードMEは銀行・クレジットカード・証券会社など2600ものサービスと連携できる家計簿アプリ。入出金履歴をもとに家計簿や分析のグラフなどを自動的に表示できます。基本料金無料で利用できますが、有料版(月額500円)では連携できるサービス数が無制限になるほか、家計診断や引き落としの残高不足を表示する機能なども利用できます。
●Zaim(ザイム)
Zaimはレシート撮影で支出を記録するとカテゴリー別にグラフ表示してくれる機能が充実。こちらも約1500のサービスと連携しているので、手間をかけずに支出を記録できます。有料版(月額480円)では、支出のバランス診断や給付金・医療費控除の検索などが可能。データをダウンロードできるサービスも便利です。
●おかねレコ
とにかくシンプルに、さっと支出を記録したいのであればおかねレコが便利。起動してすぐに入力画面が開き、電卓と同じ要領で支出が記録できる「2秒家計簿」が手軽です。金融機関との自動連携機能はありませんが、支出を簡単に把握できます。有料版(480円)ではレシートの読み取り機能やデータのダウンロードが利用できます。
まとめ
お金を貯めるには、何よりもまず支出を見直すことが大切。収入が増えても、支出が大きいようでは、お金は貯まらないからです。支出を見直し、減らしていれば、収入が変わらなくてもお金を貯めやすくなりますし、収入が増えた時にはさらにお金が貯まるようになります。
支出はレシート管理や家計簿アプリを利用して「見える化」するのがおすすめ。そして、削減の効果の大きなところから削っていきましょう。
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高山 一恵 ファイナンシャルプランナー
(株)Money&You取締役。一般社団法人不動産投資コンサルティング協会理事。慶應義塾大学卒業。2005年に女性向けFPオフィス、(株)エフピーウーマンを設立。10年間取締役を務めたのち、現職へ。女性向けWebメディア『FP Cafe』『Mocha(モカ)』や登録者1万9000人超のYouTubeチャンネル『Money&YouTV』を運営すると同時に、全国で講演活動、執筆活動、相談業務を行ない、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。明るく親しみやすい性格を活かした解説や講演には定評がある。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『マンガと図解 定年前後のお金の教科書』(宝島社)、『11歳から親子で考えるお金の教科書』(日経BP)など書籍100冊、累計170万部超。ファイナンシャルプランナー(CFP®)。1級FP技能士。X(旧Twitter)→@takayamakazue
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