20/11/17
廃止されるのに便利になった「ジュニアNISA」 使い倒していくら貯まるのか
一般NISAやつみたてNISAに比べ、口座開設数が少ないジュニアNISAが、2023年末で終了することになりました。終了が決まった金融商品は、たいてい人気が出ないものですが、ジュニアNISAだけは特別になりそうです。
今回は、終了することでかえって便利にになったジュニアNISAについて、詳しくお伝えします。
ジュニアNISA、どうして廃止になったのか
ジュニアNISAは、いわば一般NISAの未成年者版で、日本に住んでいる0~19歳の人を口座開設者とした制度です。正式名称は「未成年者少額投資非課税制度」。資金を株式や投資信託などへ投資しますが、運用して得られた利益に対して税金がかからないことがメリットです。通常は、利益に対して20.315%の税金がかかって差し引かれてしまうので、大きな違いと言えるでしょう。
しかし、ジュニアNISAには普及を妨げるポイントがありました。それは、18歳まで資金を引き出せないこと。正確には、3月31日時点で18歳である前年の12月31日までは引き出せないのです。
これは、高校3年生の1月1日以降にならないと現金化できないということ。推薦入学などで秋頃にお金が必要になったり、私立の中学校や高等学校の授業料に使いたかったりしても、ジュニアNISAからは引き出せなかったのです。
もし、18歳になるまでに引き出す場合には、過去の利益に対して税金がかかってしまい、口座はなくなってしまいます。
このようなジュニアNISAですからあまり人気も出ず、終了となったのも仕方のないことだったのかもしれません。
廃止が決まって、かえって便利になった
2020年度税制改正大綱によれば、ジュニアNISAは2023年度末をもって新規口座を開設することができなくなります。そして、2024年からは、払い出し制限を解除することになります。
つまり、2024年からは、18歳になる前でも引き出せて税金もかからない、ということです。ですから、今のうちに投資しておいて、18歳になるまで引き出さずに非課税のメリットを活かして運用するのもいいですね。
NISAは1年に投資できる金額に上限があります。一般NISAは年間120万円、つみたてNISAは40万円、ジュニアNISAは80万円です。
家族単位で考えた場合、親が保有する一般NISAやつみたてNISAの非課税枠を使い切っていても、子どもの分としてジュニアNISAを利用して、さらに非課税枠の上乗せができます。
2023年末までの頑張りで250万円?!
では、実際にジュニアNISAでどのくらいの資金を作ることができるのでしょうか。
0歳の子に口座を開設したとして、具体的に計算してみましょう。
●ケース1
投資額:1カ月あたり1万5000円
運用:年3%
2021年1月~2023年12月まで、児童手当の1万5000円を投資にまわします。年3%で運用できたとすると、3年で55万1328円になります。
さらに、その資金を18歳まで年3%で運用できたとすると、85万8951円に増やすことができます。
●ケース2
投資額:1カ月あたり3万円
運用:年5%
児童手当1万5000円に加えて、節約した家計費からも1万5000円、合計3万円を投資します。外食費や洋服代など、コロナ禍以降支出を抑えられている項目があれば将来のために生かしましょう。
2021年1月~2023年12月まで、年5%で運用できると3年で111万7980円。さらに18歳まで5%で運用できれば232万4200円です。
●ケース3
条件はケース2と同じ。しかし早速2020年11月から始めたとしたらどうなるでしょう。
ほんの2カ月の違いですが、2023年12月には122万5626円。18歳の時には254万7988円になる計算です。
たったの2カ月ですが、最後にはケース2より22万円以上増えています。
まとめ
ジュニアNISAの非課税枠80万円は、1月~12月の1年間での上限額です。今年の枠を使いたい人、そして子どもが成長した時に向けて資金を増やしたい人は、今年中に始めるといいのではないでしょうか。
ただし、2023年までは引き出せません。計画的にしっかりと資金作りをしていきましょう。
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タケイ 啓子 ファイナンシャルプランナー(AFP)
36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
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