20/08/24
名前ではわからない「隠れリボ払い」は決して手を出してはいけない
クレジットカードの返済方法の一つに「リボルビング払い」、通称「リボ払い」があります。
リボ払いは金利が高く、完済するまでに時間がかかるため、まったくおすすめできません。しかし、中には一見リボ払いとわかりにくいものの、実はリボ払いだというサービスもあるのです。今回はそうした、名前ではわからないリボ払いのサービスを一挙紹介。「リボ払いなんて使ってないから大丈夫」という方も、見直してみてください。
実はリボ払いのサービスはたくさんある
リボ払いは、クレジットカードの利用件数や金額に関係なく、毎月一定の金額を支払う返済方法です。支払い金額は一定の金額内であれば自分で設定できますが、借入総額によっても変わります。
たとえば、予定外の出費があって利用金額が増え、翌月の支払いがピンチという場合にも、リボ払いならば請求額が一定に。一見、便利に見えます。
しかし、リボ払いは利用残高全体に実質年率15〜18%の金利手数料がかかる仕組みですので、完済までの金利手数料は莫大な額になります。さらに、支払いが終わる時期が見えにくいのも難点です。はっきり言って損ですので、絶対にすべきではありません。
そんなリボ払いのサービスを各社が用意しているのは、ひとえに儲かるからです。それでもまだ、リボ払いのサービスだと前もってわかればこちらも避けようもありますが、名前からはわからないリボ払いのサービスもあるのです。
●三井住友カード「マイ・ペイすリボ」
買い物のときに1回払いを指定すると自動的に支払い方法がリボ払いになるクレジットカードです。サービス名に「リボ」とありますが、知らない人は困惑するかもしれません。なお、リボ払いで支払うとポイントが2倍になりますが、手数料は実質年率15%。ポイント分よりはるかに高い手数料を支払うことになります。
●JCBカード「支払い名人」、au PAYカード「楽Pay」
「支払い名人」「楽Pay」では、毎月の支払い総額を自分で指定・変更できます。指定した金額の範囲内であれば1回払いとなるため、手数料はかかりません。しかし、指定した金額を超えた分は自動的に翌月以降に繰越されます。
「支払い名人」では通常のリボ払いとは違い、初回支払いの手数料が無料になります。いかにも名人らしく感じますが、リボ払いですので、2回目以降の支払いでは実質年率15%の手数料がかかります。
「楽Pay」も、支払いが楽になりそうですが、同様に実質年率15%の手数料がかかります。
●アメリカンエキスプレス「ペイフレックス」
「ペイフレックス」には、「自動リボ」と「あとリボ」の2つのサービスがあります。
自動リボは、上の支払い名人や楽Payと同様、自分で決めた金額を超えた分がリボ払いになるサービスです。一方、あとリボは一括払いで支払った分の中から、リボ払いにしたい利用分を変更できるサービスです。
初期設定では「あとリボ」になっているので、知らずのうちにリボ払いをすることはないかもしれませんが、「自動リボ」に変更したことを忘れて使うことはあるかもしれません。リボ払い分には、実質年率14.9%の手数料がかかります。
●PayPayカード「まるごとスキップリボ」「これだけスキップリボ」
PayPayカードにもアメリカンエキスプレス「ペイフレックス」と同様の「自動リボ」「後リボ」のサービスがありましたが、名称が変更され、自動リボは「まるごとスキップリボ」、後リボは「これだけスキップリボ」となっています。リボ払い分には、実質年率18%の手数料がかかります。
●メルペイ「定額払い」もリボ払いの一つ
クレジットカードではありませんが、スマホ決済「メルペイ」のメルペイスマート払いの機能に「定額払い」があります。これもリボ払いです。
メルペイスマート払いは、メルペイでの支払いを後から一括でまとめて支払うサービスです。定額払いでは、このメルペイスマート払いの支払い金額を毎月定額にできるのです。
2020年7月にスタートしたサービスで、10月31日までは手数料がかかりません。しかし、11月以降は実質年率15%の手数料がかかります。
サービス名を一見するだけではリボ払いだとわかりにくくする背景には、リボ払いだと気づかせずにリボ払いを利用させようとする悪意が潜んでいます。リボ払いのサービスは、絶対に使うべきではありません。
リボ払いすると、利息はどれくらい払うことになるの?
もしリボ払いをすると、どのくらいの利息を支払うことになるのでしょうか。シミュレーションしてみましょう。
●例:以下の条件でリボ払いをした場合の返済総額・返済回数は?
・借入総額=30万円
・年利15%
・月1万円、元利金等返済の場合
この場合、計算上の返済総額は37万8331円。
借りたのは30万円なので、利息は7万8331円も支払うことになります。返済回数も38回、完済までに3年2カ月かかる計算です。
リボ払いは絶対利用しないように
リボ払いは「欲しいものがすぐに買えて、支払いは無理なくできるサービス」だと思っている方は、今すぐ考え方を改めましょう。上の試算からも、リボ払いをしてしまうと、なかなか返済が終わらないどころか、多額の利息を払うことになるのがおわかりいただけると思います。リボ払いは絶対にやってはいけないのです。
知らずのうちにリボ払いを利用していた…ということがないか、一度確認してみてくださいね
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頼藤 太希 マネーコンサルタント
(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)、など書籍100冊、累計170万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。X(旧Twitter)→@yorifujitaiki
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