19/04/12
海外移住・転勤することになったらiDeCoはどうなる?どうする?
人事異動で春から新しい生活がはじまった方もいらっしゃるでしょう。転勤でお引っ越しも海外赴任になると大変ですね。今や企業の海外進出も当たり前。中国や東南アジア諸国に住んでいるという人も珍しくありません。こんなとき、iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)の取り扱いはどうなるのでしょうか。いざという時に慌てないために、知っておきましょう。
iDeCoに入れる人・入れない人を総チェック
iDeCoは老後の資金を自分で用意するために利用できる制度です。加入できるのは、20歳以上60歳未満で、原則として国民年金や厚生年金などの公的年金制度に加入している人です。
このうち、国民年金について少し詳しく見てみます。国民年金の加入者(被保険者)は次の3種類にわかれています。
【第1号被保険者】
日本国内に住所を有している20歳以上60歳未満の人で、第2号被保険者、第3号被保険者に該当しない人。自営業者や学生、無職の方などが当てはまります。
【第2号被保険者】
会社員や公務員など、厚生年金の被保険者となっている人のこと。日本国内に住所がある必要はなく、海外勤務の会社員なども含まれます。
【第3号被保険者】
国民年金の第2号被保険者の配偶者のうち、年齢が20歳以上60歳未満、かつ年収130万円未満の人。第2号の被保険者が海外勤務の場合でも、第3号被保険者になります。
このうち、以下の人はiDeCoに加入できません。
1. 国民年金保険料を支払っていない人(未納)や免除されている人
2. 60歳以上の人
3. 海外に住んでいる人
4. 企業年金がある会社に勤めていて、会社からiDeCoの加入が認められていない人
5. 農業者年金に加入している人
海外に住んでいる人はiDeCoに加入できないのですから、海外に転勤になったら、iDeCoが続けられるのか不安になりますね。1年で日本に戻れるのか、それとも5年以上なのか……。子どもの教育のことだけでも頭が痛いのに、ますます老後のことが不安になってきます。
海外に移住・転勤してもiDeCoを続けるための条件とは?
では、海外に移住・転勤が決まったらまったくiDeCoを継続できないのかというと、そうではありません。一定の条件を満たすことで継続可能な場合があります。それは、日本の会社で雇用関係があって、厚生年金保険に継続して加入することができる場合です。この場合、掛金の拠出、運用を行うことができます。
また、海外で生活すると現地の社会保障制度に加入するのが原則ですが、日本でも現地でも加入すると、社会保険料を二重に負担することになります。ですから、社会保障協定を結んでいる国とは、5年以内であれば一時派遣の扱いになり、現地の社会保障制度へ加入しなくてもよいことになっています。この場合、厚生年金に加入している間は資格があることになります。
もともと確定拠出年金の制度は、国民年金や厚生年金に上乗せする制度です。会社員が海外赴任になったからといって、すぐに被保険者の資格を失うものではありません。グローバルに活躍する人が継続できる方法があるのです。
ただし、国民年金だけに加入していて海外に移住する人や、完全に海外の現地法人に移籍して日本の会社から雇用関係がなくなる場合は、iDeCoの加入者の資格を喪失することになります。
iDeCoの資格を喪失してもすでに出した掛金は運用できる!
もし、加入資格の状況に変更があった場合には、運営管理機関(iDeCoを利用している金融機関)で手続きすることになります。国民年金だけの加入者で海外に移住したり、日本の厚生年金が続けらなかったりする場合、iDeCoの加入者の資格を喪失しますので、移住前に「加入者資格喪失届」を出します。資格喪失理由で添付書類が変わりますが、日本国内に住所を有しない場合では、住民票除籍の写し、出国予定先が記載されている住民票の写し、出国先の在留証明書が必要になります。
ただし、この場合iDeCoの加入者の資格は喪失しますが、新たな掛金の拠出を行わず、これまで拠出した掛金の運用だけを行うことはできます。掛金を拠出せずに運用のみを行う人を「運用指図者」といいます。加入者資格喪失届を出していれば、日本に帰ってきて生活を始めた場合に、所定の手続きをすることによって運用を再開できます。
まとめ
日本に住んでいない非居住者になる場合、運用管理機関の金融機関によっては、取扱いが異なります。たとえば、口座の管理維持ができず解約しなければならない場合と事前に承認を受けた場合のみ口座が維持できる場合があるようです。また、利用に制限がかかる場合もあります。海外に赴任する予定がある場合、ご自身で利用している金融機関に前もって問い合わせ、必要な手続きをご確認ください。
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池田 幸代 株式会社ブリエ 代表取締役 本気の家計プロ®
証券会社に勤務後、結婚。長年の土地問題を解決したいという思いから、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)を取得。不動産賃貸業経営。「お客様の夢と希望とともに」をキャッチフレーズに2016年に会社設立。福岡を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
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