18/08/29
50歳以降に待ち受ける「5つの崖」ヘタを打つと老後破産に
老後資金というのは、50代ぐらいには準備をしておきたいものですね。しかし、50代から大きな収入減になってしまう「5つの崖」が待ち受けています。
この崖をうまく乗り越えることができれば、老後も安泰になります。ところが失敗をして崖から落ちてしまうと「老後破産」のきっかけになりかねません。
ですから、中高年からはこの「5つの崖」があることを知っておいてください。
1つ目の崖「役職定年」
まず、一つ目の「崖」は、55歳前後に待ち受けている「役職定年」です。
「役職定年」とは、それまでついていた肩書きが外れてしまうことで、それにともなって給料も約2割ぐらい下がってしまいます。
しかし、55歳前後というのは、一般的に住宅ローンをかかえていたり、子どももこれから大学生になって教育費がもっとも高くなる時期なのです。ですから、この時期に減収というのはかなり痛手です。しかも、老後資金の準備の時期なのに、それどころではないかも知れませんね。
2つ目の崖「再雇用」
次に、60歳で待ち受けているのが定年による「再雇用」という崖です。「高年齢者雇用安定法」があるので会社に勤めていれば、65歳までは働き口は確保できますから、多くの場合は60歳で定年を迎えても、そのあと65歳までは「再雇用」という仕事を続けられます。といっても、収入は半減してしまうでしょう。
それでも50代のときに老後資金を貯める計画だったのに、「役職定年」で思うように準備ができなかったとすれば、再雇用で、少しでも長く働くという選択をせざるおえないと思います。
3つ目の崖「年金生活」
「再雇用」も65歳になると終わってしまいます。その後は、いよいよ年金だけが収入になりますので、収入はさらに減ってしまいます。
厚生年金の場合、夫婦2人分の標準的な年金額は月額221,277円です(厚生労働省 平成30年)。
大手企業に勤めていた人は企業年金もプラスされるので、企業年金の受給者は、少しだけ余裕がある生活になると思います。
4つ目の崖「企業年金の終了」
大手企業ですと企業年金の制度があるところも多いと思います。最近の企業年金は、受給期間が決まっている有期型を採用していることが多く、その期間は、だいたい10年から15年です。企業年金連合会の資料では、平均の月額は約7万円です。有期型の年金の終了がだいたい70代です。つまり70代になり、企業年金の受給がストップすると毎月7万円が収入減になってしまいます。70代まではまだ多く支出のある時代です。貯蓄が少ない人には、この企業年金の打ち切りで老後破産につながるきっかけとなることもあります。
5つ目の崖「配偶者の死亡」
配偶者の死亡というのは精神的にもこたえますが、経済的にも収入減につながります。
夫が死亡した場合は、夫の基礎年金がなくなりますが、遺族年金を受け取ることができます。とは言え厚生年金部分の4分の3にあたる金額です。また、妻が死亡した場合は、妻の基礎年金がなくなります。
しかし、生活費を考えると2人暮らしが1人暮らしになったからといって、支出が半分になるわけではありません。それなのに配偶者の死亡によって収入はかなり減ってしまうのです。年金だけで暮らしているとこの減額はかなり大きいなものになります。
年をとって後悔のある人生にならないように、この「5つの崖」を心得て、上手に人生を送ってください。
【関連記事もチェック】
・100歳まで生きたい人の割合は? ポイントは老後の準備にあり
・50代から始めるお金を増やす6大ワザ
・50歳で早期リタイア、老後資金は1億円で足りる?
・50代仕事と家計の落とし穴、親の要介護への対処はどうする?
・50代独身の貯蓄額は130万円。平均値では見えない貯蓄額の実態
長尾 義弘 NEO企画代表
ファイナンシャル・プランナー、AFP、日本年金学会会員。徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。1997年にNEO企画を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生み出す。新聞・雑誌・Webなどで「お金」をテーマに幅広く執筆。著書に『コワ~い保険の話』(宝島社)、『こんな保険には入るな!』(廣済堂出版)『お金に困らなくなる黄金の法則』『最新版 保険はこの5つから選びなさい』『老後資金は貯めるな!』(河出書房新社)、『保険ぎらいは本当は正しい』(SBクリエイティブ)。監修には年度版シリーズ『よい保険・悪い保険』など多数。
この記事が気に入ったら
いいね!しよう