25/04/29
失業給付終了した人やフリーランス廃業した人が、月10万円もらいながらスキルアップできる超お得な制度

再就職や転職に向けてスキルアップを図りたい人が、月10万円をもらいながら職業訓練を受講できる「求職者支援制度」をご存じですか?
職業訓練には、失業給付を受給中の人が利用できる「公共職業訓練」と、失業給付を受給する資格がない人でも利用できる「求職者支援訓練」があります。最近では、早期就職を目指す求職者支援訓練の人気が高まっています。
今回は求職者支援制度について、制度の内容や利用要件などを解説するほか、求職者支援訓練の種類と内容もご紹介します。
求職者支援制度とは?
求職者支援制度とは、再就職や転職を希望する人が、生活支援のための給付金を受給しながら職業訓練を無料で受講できる制度のことです。また、職業訓練を受講する前から訓練終了後まで、ハローワークが受講者の求職活動を支援してくれます。
●求職者支援制度はどんな人が利用できるの?
求職者支援制度の対象者は、以下のような人です。
○給付金をもらいながら職業訓練を受講する場合
【離職者】
・雇用保険が適用されていなかった人
・フリーランスや自営業を廃業した人
・雇用保険の受給が終了した人 など
【在職者】
・収入が一定額以下のパートタイムで働きながら、正社員への転職を目指す人 など
○給付金を受給せず職業訓練のみ受講する場合
【離職者】
・親や配偶者と同居していて一定額の世帯収入がある人 など
【在職者】
・働いていて一定額の収入がある人 など
また、求職者支援制度には利用要件と給付金の支給要件があり、利用するには要件を満たす必要があります。
●求職者支援制度の利用要件は?
求職者支援制度を利用できるのは、以下の要件を満たす人です。
・ハローワークに求職の申し込みをしている
・雇用保険の被保険者あるいは雇用保険の受給資格者ではない
・働く意思と能力がある
・職業訓練などの支援が必要だとハローワークが認めている
●求職者支援制度の給付金の支給要件はどうなっている?
給付金を受給するには、上記の要件を満たしたうえで、下記の支給要件も満たす必要があります。
・本人の収入が月8万円以下である
・世帯全体の収入が月30万円以下である
・世帯全体の金融資産が300万円以下である
・現在の住まい以外に土地や建物を所有していない
・訓練実施日すべてに出席できる
(やむを得ない理由で欠席することがあっても、日程の8割以上は出席していること)
・世帯の中で同時にこの給付金を受けながら職業訓練を受けている人がいない
・過去3年以内に、偽りその他不正行為により特定の給付金を受給していない
・過去6年以内に、職業訓練受講給付金の支給を受けていない
求職者支援制度の給付金を受給するには、収入要件のほか金融資産などの要件もあるので、要件を満たしているかどうか確認しましょう。なお、給付金の支給要件を満たさない場合、給付金はもらえませんが、無料の職業訓練を受けることはできます。
求職者支援制度の給付金はいくらもらえるの?
求職者支援制度を利用する際、要件を満たせば、生活支援として「職業訓練受講給付金」をもらうことができます。職業訓練受講給付金は生活支援のほか、訓練施設までの交通費なども支給されます。
<職業訓練受講給付金の種類と金額>

筆者作成
職業訓練受講給付金の受給には、支給要件を満たす必要があるので、よく確認しておきましょう。
職業訓練受講給付金を受給する際の注意点
職業訓練を受講中の生活費を援助してくれる職業訓練受講給付金ですが、受給する際の注意点があります。それは、訓練を欠席できない点です。
職業訓練受講給付金には、すべての訓練実施日に出席していること(やむを得ない理由がある場合でも訓練期間の8割以上出席していること)という受給要件があります。そのため、やむを得ない理由がある場合を除き、一度でも訓練を欠席すると給付金をもらえなくなります。これは、遅刻や欠課、早退も同様なので注意が必要です。やむを得ない欠席でも受講期間の8割以上を出席できないと給付金はもらえません。さらに、ハローワークの就職支援を拒否した場合も給付金は不支給となるので注意しましょう。
求職者支援制度の主な訓練コースと訓練期間
求職者支援制度には、さまざまな訓練コースが用意されています。なかでも、失業給付を受給していなくても利用できる「求職者支援訓練」は、スキルを身につけて早く就職をしたい人に注目されています。
<求職者支援訓練のおもな訓練コース>

筆者作成
●求職者支援訓練の訓練期間
求職者支援訓練の訓練期間は、「2~6ヵ月」です。
職業訓練の講座は、厚生労働省のホームページに掲載されている「訓練コース検索」から探してみましょう。都道府県、分野、募集期間、訓練期間ごとに訓練コースを検索できます。
さらにハローワークインターネットサービスのホームページでも訓練検索が可能です。
求職者支援制度については、最寄りのハローワークや役所ホームページからも情報を入手できます。また、求職者支援制度を利用したいときは、最寄りのハローワークで相談してみるとよいでしょう。
求職者支援訓練は2種類「基礎コース」と「実践コース」
求職者支援訓練には「基礎コース」と「実践コース」の2種類があります。これらのコースはどのような内容なのかご紹介します。
●求職者支援訓練の「基礎コース」とは
基礎コースは、社会人として必要なビジネスマナーやコミュニケーション能力、PCスキルを身につけ、早期就職を目指す訓練コースです。社会人の経験が浅い人、正社員として働いたことがない人、PCの基礎スキルを身につけたい人に向いています。
基礎コースの受講期間は2ヵ月~4ヵ月で、最初の1ヵ月は「職業能力開発講習」を受講し、2ヵ月目以降は職業スキルの学科や実技を学びます。
●職業能力開発講習とは
職業能力開発講習では、基礎的なビジネススキルを身につけることができます。
主に学べることは以下の4つです。
1)ビジネステクニック
ビジネスマナーやスケジュール管理、PC操作、健康管理、家計管理とライフプラン、社会保険と年金、職業倫理、労働法の基礎知識などを学びます。
2)ビジネスヒューマン
話し方や聞き方など基本的なコミュニケーションや、職場でのコミュニケーションを学びます。
3)就職活動計画
就職活動の進め方や職業訓練の内容に関連する求人動向、応募書類の作成方法とポイント、求人情報の収集、面接対策を学び、就職活動の準備を行います。
4)職業生活設計
自己理解やキャリアプラン作成のための仕事理解など、今後の職業生活について考えます。
これら4つを学ぶことで、将来のビジョンが明確になり、就職に向けた意欲が沸いて、自分が納得できる就職につなげることができます。社会人としての経験が浅い人や、ビジネススキルを身につけたい人は受講するとよいでしょう。
●求職者支援訓練の「実践コース」とは
実践コースは、基礎コースでの学びをもとに、より実践的な内容を学ぶ場です。受講期間は2ヵ月~6ヵ月で、就職を希望する職種に応じた専門的なスキルを身につけることができます。基本的なビジネススキルが身についている人、希望する職種が決まっている人、短期間で就職したい人におすすめの訓練コースです。
求職者支援訓練は自分の状況に応じたコースを選択できます。1日でも早く就職するため、必要なスキルを学べる求職者支援訓練を活用しましょう。
年々増えている求職者支援訓練の利用者数
ハローワークが実施する求職者支援訓練を受講する人は年々増えています。
では、ここ数年の受講者数の推移を見てみましょう。
<求職者支援訓練の利用者数>

厚生労働省「ハロートレーニング(求職者支援訓練)の受講者数・就職率」より筆者作成
基礎コース、実践コースともに受講者数は増えていますが、特に実践コースを受講する人の増加は顕著で、2023年の受講者数は2019年の2倍以上になっています。自分が就職したい職種の専門的なスキルを無料(テキスト代など一部は自己負担)で学ぶことができるので、実践コースを利用する人が増えているのでしょう。
求職者支援制度を活用しよう
求職者支援制度とは、要件を満たせば、職業訓練の受講期間中に月額10万円の職業訓練受講手当や通所手当などの「職業訓練受講給付金」をもらうことができる制度です。求職者支援制度で実施される職業訓練の分野は多岐にわたり、再就職や転職に向けたスキルアップを後押ししてくれるでしょう。特に、失業給付の受給者でなくても利用できる「求職者支援訓練」は年々利用者が増えています。
求職者支援制度を利用したいときは、ハローワークに求職の申し込みをする必要があります。また利用する際は、まず最寄りのハローワークに相談することをおすすめします。
【関連記事もチェック】
・自己都合退職は「2025年4月以降」がお得?失業給付制限「1か月」に短縮へ
・老後貧乏に陥る50代「激ヤバ行動」8選
・2026年「独身税」スタート?独身だと課税されるのは本当か
・「住民税非課税世帯」がもらえるお金は予想以上に多い
・【申請しないと大損】60歳以降の手取りを最大化する定年前後の「手当&給付金」9つの手続き【Money&YouTV】

前佛 朋子 ファイナンシャル・プランナー(CFP®)・1級ファイナンシャル・プランニング技能士
2006年よりライターとして活動。節約関連のメルマガ執筆を担当した際、お金の使い方を整える大切さに気付き、ファイナンシャル・プランナーとなる。マネー関連記事を執筆するかたわら、不安を安心に変えるサポートを行うため、家計見直し、お金の整理、ライフプラン、遠距離介護などの相談を受けている。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう