25/03/19
2026年「独身税」スタート?独身だと課税されるのは本当か

最近「独身税」という言葉が話題となっています。「2026年に日本で独身税が導入される」という噂を聞いて、「独身だけ税負担が増えてしまうのだろうか?」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
今回は、この「独身税」についての噂は事実なのか解説します。
2026年から独身税がはじまるって本当?
「2026年から独身税がはじまる」とSNSなどで話題になっていますが、この「独身税」という言葉は俗称です。正確には「子ども・子育て支援金」のことを指しています。
子ども・子育て支援金は、少子化解消に向けた取り組みのために導入される保険料のこと。独身税と呼ばれていますが、独身だけに課税されるわけではなく、公的医療保険に入っているすべての人が負担します。
では、なぜ独身税と呼ばれているのでしょうか?それは、子ども・子育て支援金の主な使い道が、子どもがいる人や子どもを持ちたいと考えている人が子育てをしやすくするための支援策だからです。独身や子どもを持つ予定がない人からすると、保険料負担が増えるだけでメリットがないと感じられてしまうのです。
子ども・子育て支援金を導入する背景とは?
子ども・子育て支援金は、少子化を解消する目的で導入されます。
日本の少子化は深刻な問題となっています。戦後の第1次ベビーブーム期には4を超えていた合計特殊出生率が、1975年には2.0を下回るように。そこからさらに低下し続け、2024年には過去最低の1.20まで落ち込みました。
このまま出生数が減り続けると、将来の労働人口が大幅に減り、経済成長に悪影響が及ぶでしょう。高齢者の割合が高まると、現役世代の社会保障費負担が増えすぎてしまい、社会保障制度自体が崩壊してしまう可能性も考えられます。
国はこの現状を打開するため、若年人口が急激に減少する2030年代に入るまでをラストチャンスとして、少子化対策のためのさまざまな支援制度を創立しました。そして、この制度を実現するための財源を集める目的で、子ども・子育て支援金が導入されることになったのです。
子ども・子育て支援金の負担額はいくら?
子ども・子育て支援金の負担額は、その人の所得や世帯状況、どの医療保険制度に加入しているかによって異なります。
こども家庭庁の試算によると、医療保険制度別の被保険者一人あたり月の平均負担額は以下のようになっています(実際には保険料負担のない加入者(子どもなど)は除きます)。
<子ども・子育て支援金の医療保険制度別平均負担月額>

こども家庭庁
「子ども・子育て支援金制度における給付と拠出の試算について」より筆者作成
子ども・子育て支援金の使い道は?
子ども・子育て支援金は、具体的には下記の事業に使われる予定です。
・児童手当の拡充(所得制限を撤廃、高校生まで延長、第3子以降は増額)
・出産・子育て応援交付金(妊娠時に5万円、出産時に5万円給付)
・子ども誰でも通園制度(保育園や幼稚園に通っていない子どもが月一定時間保育施設へ通える)
・出生後休業支援給付(最大28日育児休業給付と合わせて手取り10割相当となる)
・育児時短就業給付(2歳未満の子を養育するための時短勤務中の賃金額の1割を支給)
・国民年金第1号被保険者の子が1歳になるまでの保険料を免除
出産・子育て応援交付金は2023年1月、児童手当の拡充は2024年10月分からすでにスタートしています。また、出生後休業支援給付と育児時短就業給付は2025年4月、子ども誰でも通園制度や国民年金保険料の免除は2026年に始まる予定です。
子ども・子育て支援金は効果がない?
子ども・子育て支援金制度を導入することで出生率の向上が期待されていますが、その一方で「本当に効果があるのか」という声もあがっています。
子ども・子育て支援金制度は、出産や子育てがしやすい社会をつくるために導入されますが、国民が毎月支払う保険料、つまり直接的な経済的負担は増加します。経済的事情で子どもを諦めている人にとっては、保険料負担が増えて手取りが減ることでさらに子どもを持つのが難しくなり、逆効果になるかもしれません。
また、「そもそも使い道は正しいのか」という意見もあります。先ほど、子ども・子育て支援金を財源とする具体的な事業を紹介しましたが、これらが少子化に向けた取り組みとして十分で、根本的な解決になっているとは断言できません。より多角的な視点から少子化の原因を探り、解決することが必要となるでしょう。
少子化対策につながるのか注目
独身税とは、正確には「子ども・子育て支援金」のこと。独身だけに課せられる税金ではありませんが、子どもを持たない人にとってメリットがないため、「独身税」と呼ばれることがあります。
子ども・子育て支援金制度導入によって出生率が上がり、少子化が食い止められるか、その効果はまだまだ不明です。制度の検討状況や効果について、今後も注目していく必要があるでしょう。
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木下七夏 Webライター
大学卒業後金融機関に勤め、個人のお客さま向けの営業を担当。退職後にFP2級を取得し、フリーライターに。FPで学んだ知識や金融機関勤めの経験を生かして、生活にまつわるお金の疑問を分かりやすく噛み砕いて解説する記事を作成している。

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