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25/02/14

相続・税金・年金

【知らないと大損】年金生活者の医療費控除「10万円以下」でも還付される

【知らないと大損】年金生活者の医療費控除「10万円以下」でも還付される

老齢期を迎えるとこれまで以上に病気やケガはつきものですが、「一定額」を超えた医療費は、その超えた分を所得から控除することで源泉徴収された税金が戻ってくるかもしれません。では、その「一定額」とは一体いくらなのでしょうか。
今回は、年金生活を送るシニア層や家族が知っておきたい、医療費控除で損をしないためのポイントを解説します。健康に注意を払って医療費が抑えられている人は、「セルフメディケーション税制」にも注目です。

医療費控除の3つのポイント

医療費控除の金額は、次の計算式によって算出されます。

【医療費控除の金額】

医療費控除の金額(上限200万円)=①-②-③
①1年間(1月1日~12月31日)に支払った医療費の合計額
②保険金などで補てんされる金額
③10万円(総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%)

①から③、それぞれの項目を詳しく見ていきましょう。

医療費控除のポイント①:少しの工夫で税負担をさらに軽減

まずは、「1年間(1月1日~12月31日)に支払った医療費の合計額」を最大化するうえでの留意点や裏ワザを紹介します。

●医療費控除は入れ歯や補聴器の購入費用も対象になりうる

医療費控除の対象となる医療費には、医師や歯科医師による診療や治療の対価はもちろん、通院費といった診療等を受けるために直接必要な費用や、治療等に必要な医薬品の購入対価など幅広く含まれます。金額が一般的な水準を著しく超える場合には、超えない部分の金額までが対象です。

<医療費控除の対象となる医療費>

筆者作成

重要なポイントは治療に必要かどうか。例えば、補聴器の購入費用を含めるためには、補聴器相談医による証明が必要とされるので注意してください。また、疾病の予防を目的とする健康診断等(人間ドックを含む)の費用は、医療費控除の対象に含まれませんが、その診断で重大な疾病が発見されて治療を行った場合には含めることができます。

●医療費控除は家族にかかった医療費も合算できる

医療費控除は、納税者本人が、生計を一にする配偶者やその他親族のために支払った医療費も対象です。「生計を一にする」とは、同居の有無を問うものではなく、生活費の仕送りを行っているようなケースでもかまいません。例えば、家計の実態に基づいて、年金を多くもらっている夫(妻)や、所得水準の高い人に医療費控除をまとめることができれば、家計全体で税負担の軽減につながります。

●医療費控除は支払方法の工夫で税負担を最適化できる

医療費控除は、1月1日から12月31日までの1年間に実際に支払った医療費の合計額が、一定額を超えているときに適用を受けられるものです。2024年末時点で未払いの医療費は2024年の医療費控除の対象とはならず、実際に支払った2025年分として取り扱われる点に注意してください。なお、クレジットカードでの支払いは、引き落とし日ではなく医療機関等で決済をした日の年の分として扱われます。

したがって、所得が多いと見込まれる年は、(年をまたがず)年内に支払をまとめられないか医療機関に相談してみるのがおすすめです。逆に、がんの先進医療などで医療費控除の上限200万円を上回るような場合や、所得から控除しきれないと見込まれる場合には、複数年にわたって医療費控除が受けられるよう分割払いを相談してみるとよいでしょう。

医療費控除のポイント②:差し引きは補てんの対象となる医療費ごと

医療費控除の2つ目のポイントは、保険金等の有無です。支払った医療費の補てんを目的とする保険金や給付金の金額は、医療費控除の計算において差し引く必要があります。補てんされる金額の差し引きは、支払った医療費ごとです。引ききれない金額を他の医療費から差し引く必要はありません。

【「保険金などで補てんされる金額」の例】

・生命保険契約や損害保険契約に基づき医療費の補てんを目的として支払を受けるもの(医療保険金や入院費給付金、傷害費用保険金など)
・社会保険や共済に関する法律やその他の法令の規定に基づき、医療費の支払の事由を給付原因として支給を受ける給付金(健康保険法の規定により支給を受ける療養費や出産育児一時金、家族出産育児一時金、家族療養費、高額療養費、高額介護合算療養費など)
・医療費の補てんを目的として支払を受ける損害賠償金
・任意の互助組織から医療費の補てんを目的として支払を受ける給付金
国税庁「令和5年分 確定申告書作成コーナー よくある質問」より

入院や治療等を条件としない「三大(特定)疾病保険金」や「がん診断給付金」が、医療費を補てんする保険金に含まれない点にも注目です。これらは、医療費控除の計算の際に差し引く必要はありません。

医療費控除のポイント③:総所得金額200万円未満は適用のチャンス拡大

実際に支払った医療費の合計額から保険金などを差し引いた金額(差引金額)が「10万円」を超えないと通常は医療費控除の対象になりませんが、総所得金額等が200万円未満の人は、「総所得金額等の5%」にハードルが下がります。

2023年度の平均年金月額(基礎年金+厚生年金)は14.6万円。公的年金等に係る雑所得の算出にあたっては、110万円の公的年金等控除(65歳以上で公的年金等収入が330万円未満の場合)が適用されることも踏まえると、総所得金額が200万円未満に収まっている年金生活者の方が多いはずです。「医療費を10万円も使っていないから医療費控除はできない」と思い込むのではなく、条件を満たせないか確認してみるとよいでしょう。

医療費控除で所得税と住民税の負担はいくら軽減できる?

源泉徴収された税金は、実際いくら戻ってくるのでしょうか。
所得税の還付額は、医療費控除の金額に、課税所得金額に応じて定められた所得税率(5~45%)を乗じて算出できます。年金収入や年金以外の所得が多いような場合を除いて、年金生活者の多くは、「医療費控除の金額×5%」を還付額の目安にするとよいでしょう。

例えば、年金額190万円(総所得金額80万円)で2024年の医療費の支払額が20万円のケースでは、医療費控除の金額16万円(20万円-(80万円×5%))に所得税率5%を乗じた8,000円が還付されます。2025年の住民税の軽減額16,000円(16万円×住民税率10%)と合わせると、医療費控除によって税負担が約24,000円軽くなる計算です。

還付申告は過去5年にさかのぼってまだ間に合う

2024年分の確定申告期間は、2025年2月17日から2025年3月17日までの1ヶ月間。「公的年金等の収入金額の合計額が400万円超」または「公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円超」、いずれかに当てはまる年金受給者は、医療費控除の欄も記入したうえでこの期間に申告を行いましょう。医療費控除の適用だけが目的であれば、2024年分は2025年1月1日から2029年12月31日までの5年間還付申告の手続きが行えます。

申告書の提出にあたっては「医療費控除の明細書」の添付が必要です。その際、領収書の添付や提示は不要ですが、5年間の保管が求められる点に注意してください。なお、医療保険者(国民健康保険や健康保険組合等)から交付される「医療費通知」を添付する場合には明細書の記入を簡略化することもできます。

最近は、スマートフォンやパソコンから申告手続きをするシニア層も増えてきました。マイナポータル連携を利用すると、医療費通知情報をマイナポータル経由で取得、確定申告書の該当項目に自動入力できるので大変便利です。例年、2月9日から前年1年間の医療費通知情報が取得できるようになるので、この機会に試してみてはいかがでしょうか。

「セルフメディケーション税制」との比較でもっとお得に

ここまで医療費控除の仕組みや申告方法などについて解説をしてきましたが、医療費が10万円(または総所得金額等の5%)以上かからなかった人や、税負担が軽減されるメリットを感じられない人は、医療費控除の特例にあたる「セルフメディケーション税制」をお得に活用できるかもしれません。

●セルフメディケーション税制とは

セルフメディケーション税制では、健康診断や予防接種など、健康の保持増進および疾病への予防に取り組んでいる人が、年間12,000円を超えて対象医薬品を購入した場合、その合計額から12,000円を差し引いた金額(上限88,000円)を所得から控除できます。家族のために購入した医薬品も対象です。

<セルフメディケーション税制 共通識別マーク>

国税庁「タックスアンサーNo.1129 セルフメディケーション税制」より

対象医薬品は、頭痛・痛み止め、胃腸薬、皮膚・肌荒れ・にきびの薬、目薬、関節痛・肩こり・腰痛・筋肉痛、風邪薬、水虫薬など多岐に渡ります。医薬品のパッケージに掲載されている上の識別マークが目印です。対象医薬品に「★(星)」マークが印字された購入時のレシートは、税務署から提示や提出が求められたときに備えて、5年間は大切に保管しておいてください。

●セルフメディケーション税制で所得税と住民税の負担はいくら軽減できる?

通常の医療費控除とセルフメディケーション税制は併用ができません。したがって、どちらかお得な方を選んで申告しましょう。

2024年の医薬品の購入代金が5万円の場合、所得控除額は38,000円(50,000円-12,000円)。所得税率が5%(復興特別所得税を除く)とすると、源泉徴収済みの2024年分の所得税のうち1,900円(38,000円×5%)が還付される計算です。2025年の住民税の軽減額3,800円(38,000円×住民税率10%)と合わせると、セルフメディケーション税制で5,700円の税負担軽減につながります。

みなさんは、通常の医療費控除とセルフメディケーション税制、どちらを使った方がお得になりそうですか?

年金生活も「医療費控除」や「セルフメディケーション税制」を上手に活用しよう

今回は、年金生活者を想定した医療費控除のポイントを、計算例も交えて解説しました。最低生活費を課税対象から除外することで税負担の軽減につながる所得控除を、医療機関にかかる機会が増えるシニア層が使わない手はありません。「10万円を超えていないから医療費控除は受けられない」または「健康に気を付けているから医療費控除は関係ない」と誤解をしていた人は特に、医療費や医薬品等の購入に係る領収書を今一度確認してください。確定申告の時期を中心に、税理士会や税務署、自治体等による無料相談会も全国各地で開催されています。この機会に、年金生活における税金を見直してみませんか。

神中 智博 ファイナンシャルプランナー(CFP®)

1992年宮崎県生まれ。関西学院大学会計大学院を修了後、NTTビジネスアソシエ西日本で、NTT西日本グループの財務や内部統制等の業務に従事。2022年10月に兵庫県神戸市で独立系FP事務所ライフホーカーを開業し、現在に至る。家計相談に加えて、公的年金や確定拠出年金(iDeCo・企業型DC)を活用した資産形成に関するテーマを中心に、執筆・講演活動も展開。「老後不安バスター」として、だれもが老後に向けて自信を持てる社会を目指して奮闘している。CFP®(日本FP協会認定)の他、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、1級DCプランナー、企業年金管理士(確定拠出年金)、一種外務員資格等を保有。
X(旧Twitter)→https://twitter.com/lifehawker

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