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24/11/19

資産運用・経済

【知らないと損】東証の取引時間30分延長、取引ルールはどう変わる?

【知らないと損】東証の取引時間30分延長、取引ルールはどう変わる?

東京証券取引所(以下「東証」)の取引時間といえば、平日の9時から11時30分と、12時30分から15時まで…と覚えていた方も多いでしょう。しかし、2024年11月5日から、東証の取引時間が30分延長されました。また、取引時間の延長のほかに、取引ルールの変更も行われています。今回は、東証の取引ルールの変更点と、変更後の影響を紹介します。

東証の取引ルール、3つの変更点

東証の取引ルールの変更点は、大きく分けて次の3つです。

●東証の取引ルールの変更点①:現物市場の取引時間の延長

2024年11月5日から、現物市場の取引時間が延長されました。前場は9時~11時30分までと従来どおりですが、後場は12時30分~15時30分までと、30分延長になりました。
取引時間の延長は、1954年に取引終了時間が14時から15時に変更されて以来の約70年ぶりのことです。

●東証の取引ルールの変更点②:クロージング・オークションの導入

クロージング・オークションとは、終値を決定するための取引方法です。15時25分~15時30分の間は「プレ・クロージング」(注文受付時間)といって、注文は可能ですがリアルタイムでの売買は行えなくなります。そして、15時30分の時点で出ている注文を元に終値が決定。その終値で成立する売買が成立して、その日の取引が終了します。

<取引時間の延長とクロージング・オークションのイメージ>

SBI証券のウェブサイトより

クロージング・オークションは海外の取引所で既に採用されている方法です。取引終了間際に注文が集中し、株価が大きく変動するのを防ぐ目的で導入されました。

●東証の取引ルールの変更点③:先物オプションの日中立会時間の変更

現物市場だけでなく、先物オプションの日中立会時間もこれまでの8時45分~15時15分から8時45分~15時45分に変更されました。それに伴い、夜間立会時間の開始が30分遅くなり、16時30分~翌6時から17時~翌6時に変更されました。

東証の取引ルール変更の背景

実はこれまでも、多くの投資家が取引時間の延長を希望しており、何度も議論が行われてきました。しかし、延長は多くの関係者に影響を及ぼします。例えば、証券会社では取引終了後の成立した売買データの取りまとめの時間が遅くなってしまいます。また、投資信託の運用会社では、現物株式で構成されている投資信託の基準価額の算出時間も後ろ倒しになります。そのため、なかなか延長は実現しませんでした。

しかし、2020年10月に大規模なシステム障害が発生。全銘柄の売買が終日停止しました。この障害をきっかけに、システム障害が万が一発生しても復旧後に取引が行えるよう、取引時間の延長が決まりました。

SBI証券[旧イー・トレード証券]

取引ルールの変更による影響は?

今回の取引時間延長により、以下のような影響が考えられます。

●市場の活性化と取引機会の増加

取引時間の延長により、投資家にとって取引機会が増加し、市場の活性化が期待されています。1日30分と、増えた時間はさほど長くありませんが、単純計算でこれまでの1日合計5時間から5時間半に増えるので、1割程度取引量が増えても不思議ではありません。

●国際競争力の強化

これまで東証の取引時間は、海外の主要な証券取引所と比較して短いと指摘されてきました。取引時間を延長することで、海外投資家にとって日本市場への参入が増え、国際競争力が高まると期待されます。

●上場企業の決算発表の時間変更

現物取引の延長を受けて、一部の上場企業は決算発表の時間をこれまでの15時から15時30分に変更します。QUICK「QUICK短期経済観測調査」(2024年11月7日公表)によると、調査した上場企業204社の40%が「決算発表時刻を15時半以降に遅らせる」と回答しています。取引時間中に発表すると株価に大きな変動を与える可能性があるためです。
一方で、「15時〜15時29分の間」で変更しない企業が20%、「15時より前に早める」企業も6%存在します。取引時間中の発表によって、その日の株価にも影響があるかもしれません。

株・投資信託ならネット証券のマネックス

安定した資産形成を目指そう

東証の取引時間延長は30分という短い延長ですが、証券会社や運用会社、上場企業など幅広い関係者に影響を及ぼします。投資家にとっては、海外からの投資家が増え、株価の動きがこれまで以上に活発化する可能性もあります。また、取引時間の延長により、デイトレードのような短期売買を目的とする投資家が増加する可能性もあります。

短期売買は高いリターンが期待できる一方で損失リスクも大きいため、注意が必要です。取引時間が延長されても、長期的な視点を持ち、安定した資産形成を目指していきましょう。

金子圭都 ファイナンシャルプランナー(CFP︎®︎)

学生の頃、親族の死をきっかけにお金について学び、ファイナンシャルプランナーの資格を取得。お金の勉強をする女性コミュニティでイベントの企画・運営に3年間携わり、のべ200人以上のお金の悩みに寄り添う。その後独立し、お金の不安を安心に変えるマネー相談を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー。

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