20/11/26
変額保険での資産運用は非効率? 活用すべきはこんな人

万が一の保障を受けながら資産運用ができる「変額保険」をご存知ですか? 運用目的で加入するのは効率的ではないといわれることもありますが、活用の仕方によっては魅力的な保険でもあります。今回は、変額保険はどのようなものか、活用した方がよい人はどんな人かを紹介します。
2種類の金額が変わる変額保険
変額保険は、変額という名前のとおり、額が変わる保険です。変額保険では、保険料の一部を「特別勘定」として保険会社が運用します。それによって2つの額が変わります。
1つ目は保険金の金額です。変額保険は保険なので、死亡保障があります。この死亡保障の額は、掛金の運用結果によって増減します。ただし、契約時の保険金額は最低保証されており、それ以上に減ることはありません。運用がよければ、契約時より多くの保険金を受け取ることができます。
2つ目は解約金の金額です。解約金には最低保証はなく、運用結果によって掛金より少なくなることも多くなることもあります。
変額保険を活用すべき人はこんな人
では、どのような人が変額保険を活用したらよいのでしょうか? これには、大きく3つの人がいると筆者は考えています。
●保障を手に入れつつ、お金も増やしたい人
現在、死亡保障を円建ての解約金のある保険(終身保険や養老保険)で用意しても解約金はほとんど増えません。しかし、変額保険であれば、運用結果次第で受取額を増やすことができます。また、保険を使わずつみたてNISAや積立投資信託をしても所得の控除は受けられませんが変額保険を活用すれば生命保険料控除も受けられます。
一般の保険の保険金の額は、物価が上昇(インフレ)しても増えません。しかし、変額保険であれば、運用益が増えることでインフレにも対応できる可能性があります。
運用先は外国株・日本株・オーストラリア債券など保険会社ごとにラインナップがあり、自分で選ぶことができます。
●子どもの学費を貯めたい人
子どもが生まれてから大学入学にむけて教育資金を貯めるまでには18年あります。教育資金の定番といえば学資保険でしたが、予定利率(保険会社が約束する運用利回り)の低下により、中には元本割れする商品も出てきました。増えるとしても大きく増えるとはいえません。これでは18年という期間に起きるインフレに対応できない可能性があります。その点、変額保険であれば、運用次第でより増える可能性があります。
また、ジュニアNISAで運用しても貯めた額プラス運用成果を子どもに残すことができますが、始めてさほど期間が経過していなければ少額になってしまいます。変額保険なら加入してすぐ万が一のことがあっても子どもの教育費を確保できる死亡保障があるので、必要なタイミングまで時間がある学費の準備に向いているといえます。
●掛捨てはもったいないと思っている人
死亡保障は欲しいが掛捨てはもったいないという人は、変額保険を活用した方がよいでしょう。また、投資を始めたいけれど投資用の口座を作るのが面倒という人にも向いています。お葬式代程度の死亡保障は用意したいし、運用にも興味があるがちょっと敷居が高いと思っている人はまず変額保険を使って投資の第一歩にすることをおすすめします。
変額保険に加入する時、投資のリスク・仕組み・運用先の選択についてしっかり説明することが保険会社に義務付けられているので、保険を選びながら投資の初心者レッスンを受けられるといえます。実際加入すると年に1回は運用報告書が送られてくるので自分の資産運用について考えるきっかけを作ることもできます。
変額保険を選ぶ際のポイント
変額保険は複数の保険会社で取り扱いされています。さまざまな違いがあるので、比較して選ぶことをお忘れなく。検討する際には
・増えた資金を途中で引き出すことができるか
・保険期間の途中で払込をストップして運用だけ残せる(払い済みができる)か
・選べる運用先のラインナップの数が多いか
・過去の運用結果は良いか
といったところを見比べてみましょう。
変額保険には、確かに資産運用としてだけ考えると効率的とはいえない部分もあります。しかし、変額保険ならではの魅力もあります。偏った情報に惑わされず自分に合った運用方法を賢く選んでください。
【関連記事もチェック】
・死亡保険に入った方がいい人、いらない人
・保険によく出てくる「保障」と「補償」ってどう違うの?
・保険選びで絶対にやってはいけない3つのこと
・コロナでペットを飼う人急増!? ペット保険に入るべきか。メリット・デメリットまとめ
・収入ダウンで保険料を払えないときの3つの対処法

稲村 優貴子 ファイナンシャルプランナー(CFP︎︎®︎)、心理カウンセラー、ジュニア野菜ソムリエ
大手損害保険会社に事務職で入社後、お客様に直接会って人生にかかわるお金のサポートをする仕事がしたいとの想いから2002年にFP資格を取得し、独立。現在FP For You代表として相談・講演・執筆活動を行っている。日経ウーマン、北海道新聞などへの記事提供、テレビへの取材協力など各メディアでも活躍中。著書『年収の2割が勝手に貯まる家計整え術』河出書房新社。趣味は、旅行・ホットヨガ・食べ歩き・お得情報収集。FP Cafe登録パートナー

この記事が気に入ったら
いいね!しよう