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22/06/11

相続・税金・年金

退職金とiDeCoの両方受け取る場合の出口戦略 どちらを先に受け取るかで手取り額が全然違う

退職金とiDeCoの両方受け取る場合の出口戦略 どちらを先に受け取るかで手取り額が全然違う

退職を間近に控えた方が気になるのが、退職金やiDeCoの受け取り方。実は退職金やiDeCoの受け取り方にはいくつかの方法があり、どのように受け取るかで手取り額が全然違ってきます。
今回は、退職金やiDeCoの受け取り方、手取りを多くする出口戦略を考えていきます。

退職金とiDeCoの受け取り方は3通りある

退職金とiDeCoの受け取り方には、一時金、年金、一時金&年金の3通りあります。どのように受け取るかによって、税金や社会保険料が変わってきます。

●一時金で受け取る場合

一時金は、一括でまとめて退職金やiDeCoを受け取る方法です。

【一時金で受け取る場合の税金・社会保険料】

(株)Money&You作成

一時金で受け取った場合は退職所得として所得税・住民税の課税対象になります。退職所得は分離課税となり、他の所得とは区別して課税されます。
一時金の場合、税金を計算するときに「退職所得控除」という控除が利用できます。

退職所得控除が退職金よりも多い場合には、税金はかかりません。また、退職金が退職所得控除より多い場合には、退職金から退職所得控除の金額を引き、さらに2分の1をかけた金額が退職所得となります。この退職所得に所定の税率をかけ、控除額を差し引くことで、所得税や住民税の金額が算出されます。つまり、退職所得控除によって、退職金にかかる所得税や住民税を大きく減らすことができるのです。

注目したいのは、退職所得控除の「勤続年数・加入年数」。退職所得控除は、退職金の場合は勤続年数、iDeCoの場合は加入年数で計算します。
退職所得控除の金額は勤続年数・加入年数が長くなるほど多くなります。そして、20年以下か20年超かで退職所得控除の計算式が変わります。20年以下の場合は毎年40万円ずつ増加するのに対し、20年超の部分は毎年70万円ずつ増加するようになっています。なお、1年未満の端数は切り上げとなります。
また、退職金もiDeCoも、一時金でもらう場合には社会保険料の負担は増えません。

●年金で受け取る場合

年金は、10年間、15年間など、一定の年数をかけて少しずつ受け取る方法です。

【年金で受け取る場合の税金・社会保険料】

(株)Money&You作成

年金で受け取ると退職所得ではなく「雑所得」の扱いになります。毎年の公的年金などの収入を合算した金額から「公的年金等控除」という控除を差し引いた雑所得に所定の税率をかけ、控除額を差し引くことで、税金を算出します。一時金と違い、退職所得控除は活用できません。

(株)Money&You作成

また、年金で受け取る場合の社会保険料は、退職金をもらったあとも継続して働く場合には会社の社会保険に加入しますので、保険料に影響はありません。一方、国民健康保険加入の場合には、雑所得も含めた所得で保険料を計算することになるため、毎年受け取る年金額が保険料に影響します。

退職金とiDeCoを両方とも一時金でもらうときは注意

退職金とiDeCoはどちらを先に受け取るかが重要です。退職所得控除は退職所得を合算した金額に適用されます。このとき、iDeCoを先に受け取るか、退職金を先に受け取るかで合算の対象になる年数が異なるからです。

退職金を先に受け取り、iDeCoを後から受け取る場合、「前年から19年以内」に受け取った一時金が退職所得控除の合算の対象になってしまいます。つまり、過去の退職金とiDeCoの一時金の合計額が退職所得控除の金額を超えると、その超えた分に税金がかかってしまうのです。

それに対して、iDeCoを先に受け取り、会社の退職金を後から受け取る場合は「前年から4年以内」に受け取った一時金が退職所得控除の合算の対象になります。
つまりiDeCoを先に受け取り、5年以上空けてから退職金を受け取れば、退職所得控除がiDeCoと退職金の両方に使えるため、税金が安くできるというわけです。

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退職金・iDeCoの受け取り方で税金はいくら違う?

実際に、受け取り方の違いで税金がいくら変わるのか、試算してみましょう。

【例】
勤続年数30年、iDeCo加入年数20年の人が
退職金:1800万円 iDeCo:600万円 を受け取る場合

●60歳で退職金とiDeCoを一時金で受け取った場合

退職所得:(2400万円-1500万円)×1/2=450万円
所得税:450万円×20%-42万7500円=47万2500円
住民税:450万円×10%=45万円
→納める税金:92万2500円

退職所得は、退職金とiDeCoの合計2400万円から、退職所得控除の1500万円(退職所得控除は長い方が適用されます)を引いた金額の1/2、450万円となります。この450万円をもとに、所得税と住民税が計算されます。納める税金は92万2500円になります。

●60歳でiDeCoを一時金受け取り、65歳で退職金を一時金受け取る場合

・iDeCo
退職所得:600万円-800万円…退職所得ゼロ →つまり税金はゼロ
・退職金
退職所得:(1800万円-1500万円)×1/2=150万円
所得税:150万円×5%=7万5000円
住民税:150万円×10%=15万円
→納める税金:22万5000円

税金を減らすために、先にiDeCoを一時金で受け取り、5年後に退職金を一時金で受け取ります。iDeCoの一時金は退職所得控除800万円よりも少ないので、退職所得はゼロとなり、税金がかかりません。さらに5年後に退職金を受け取る際には、iDeCoと退職金は合算されず、退職金の退職所得控除が活用できます。それによって、納める税金は22万5000円に。つまり、税金は約70万円も安くなるのです。

退職金とiDeCoの受け取りをずらすのも手

もっとも、実際には「会社の退職金の受け取りが60歳と決まっている」といったこともあるでしょう。この場合は、iDeCoの一時金の受け取りはその翌年以降に回しましょう。
iDeCoの一時金に退職所得控除が使えなくても、受け取る時期をずらすことで退職金・一時金に適用される税率が下がり、結果として税金が減らせる場合があります。

●60歳で退職金を一時金受け取り、61歳でiDeCoを一時金受け取る場合

・退職金
退職所得:(1800万円-1500万円)×1/2=150万円
所得税+住民税:7.5万円+15万円=22万5000円
・iDeCo
退職所得:600万円×1/2=300万円
所得税+住民税:20.25万円+30万円=50万2500円
→納める税金の合計:72万7500円

退職金を一時金で受け取ってから1年しか経っていないので、iDeCoの一時金には退職所得控除が利用できなくなります。しかし、「1/2」は利用できます。
計算の結果、納める税金の合計は72万7500円。60歳で退職金とiDeCoの両方を一時金で受け取ったときの税金は92万2500円でしたから、1年ずらすだけでも約20万円も税金を減らすことができる、というわけです。

さらに税金をもっと減らすために、iDeCoを年金で受け取ることも考えてみましょう。

●60歳で退職金を一時金受け取り、60〜69歳でiDeCoを年金で受取る場合

・退職金
退職所得:(1800万円-1500万円)×1/2=150万円
所得税+住民税:7.5万円+15万円=22万5000円
・iDeCo
毎年60万円(600万円÷10年)受取り
60〜64歳:60万円-60万円 となり非課税
65〜69歳:60万円-110万円 となり非課税
→納める税金の合計:22万5000円

60歳で退職金を一時金受け取りし、60歳〜69歳の間iDeCoを年金で毎年60万円ずつ受け取ります。この間、公的年金を受け取らずに70歳まで繰り下げを行えば、公的年金等控除をフル活用でき、納める税金の合計は22万5000円になります。公的年金等控除では、60歳〜64歳までは60万円、65歳以上は110万円まで非課税になるので、iDeCoはすべて非課税です。

また、年金で受け取る場合には、まだ受け取っていない部分で運用ができます。仮に運用によって資産が増えたとしても、65歳から69歳までの間は年110万円まで非課税になります。

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まとめ

今回の試算は一例で、実際には勤続年数、加入年数、掛金、退職金額、資産額などによって数字は変わってくるので、あくまで参考までにしていただければと思います。

退職金とiDeCoは、受け取り方によって税金が大きく変わってきます。可能であれば、iDeCoを先に受け取り、5年以上空けて退職金を受け取るのが手取り面で得だといえます。また、年金の繰り下げ受給をしながら、iDeCoを年金で受け取ることも検討しましょう。

今回の内容は動画でも紹介しています。ぜひご覧ください。

頼藤 太希 マネーコンサルタント

(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)、など書籍90冊、累計150万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。twitter→@yorifujitaiki

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