22/06/03
国民年金「10年しか払わなかった人」の年金額はいくら? 年金はなんとか増やせないのか
老後に年金をもらうには、少なくとも10年国民年金保険料を払わなければなりません。ただし、国民年金保険料は本来40年払うものです。10年しか払っていなければ、もらえる年金額は少なくなります。
今回は、国民年金保険料を「10年しか払わなかった人」の年金額と、年金を増やす方法について説明します。
「10年しか払わなかった人」の年金はいくら?
国民年金は20歳から60歳までの40年(480か月)加入し、保険料を納める必要があります。40年間の保険料を全額払った人は、老齢基礎年金の満額受給が可能です。老齢基礎年金の金額は毎年改定されますが、2022年度(令和4年度)は満額で77万7800円(月額6万4816円)です。
●保険料を10年納めた人の年金額は?
老齢基礎年金を受給するためには、国民年金保険料の納付期間が少なくとも10年必要です。ただし、年金額は保険料納付期間によって変わります。「10年しか払わなかった人」の年金額は、40年払った人の4分の1、つまり19万4450円(月額1万6204円)です。満額でも決して多くはありませんが、4分の1となるとさらに心細い金額に感じるでしょう。
「10年しか払わなかった人」でも年金がもっと多いケースもある
上で説明した「10年しか払わなかった人」は、残り30年間が未納扱いの人です。次のような人は、もう少し年金が多くなります。
●会社勤めした期間がある人
会社等に勤めていて厚生年金に加入していた期間があれば、老齢基礎年金に加えて、老齢厚生年金も支給されます。厚生年金加入期間は、国民年金保険料の納付期間にもカウントされるため、老齢基礎年金も増えます。自分で国民年金保険料を払った期間は10年しかなくても、それとは別に厚生年金加入期間があれば、年金はもっと多くなります。
●全額免除・一部免除の承認を受けた期間がある人
国民年金保険料の免除申請をし、全額免除や一部免除の承認を受けた期間がある人です。全額免除・一部免除の承認を受けた期間については、納付期間にカウントされ、次のとおり年金額の一部が支給されます。
●国民年金保険料の免除の種類と年金受給額の割合
筆者作成
「10年しか払わなかった人」も年金を増やす方法はある!
60歳になった時点で年金を払った期間が10年しかない場合でも、まだ年金は増やせます。次のような方法を考えてみましょう。
●追納する
国民年金保険料は、本来の納付期限から2年以内なら追納が可能です。免除や納付猶予の承認を受けている期間については、10年以内の追納が可能です。追納可能な保険料が残っていれば、払ってしまいましょう。
●60歳以降も国民年金に任意加入する
国民年金保険料の納付月数が480か月未満の人は、60歳から65歳の間も国民年金に任意加入して保険料を納めることができます。5年間任意加入した場合、
77万7800円×5/40=9万7225円
となり、約10万円年金額を増やせます。
●付加年金に入る
国民年金保険料に400円プラスして付加年金に入ると、「200円×付加保険料納付月数」の年金を上乗せできます。任意加入中も不可年金に入れるので、5年付加年金に入ると、1万2000円年金額を増やせます。
●国民年金基金に加入する
国民年金基金は、国民年金の第1号被保険者(自営業者、フリーランス等)を対象とした年金制度です。60歳以上65歳未満で国民年金に任意加入している人も、国民年金基金に加入して上乗せする年金を用意できます。なお、国民年金基金と付加年金の同時加入はできないので、どちらかを選ぶ必要があります。
●働いて厚生年金に加入する
厚生年金は70歳まで加入できます。60歳以降も会社などで働いて厚生年金に加入すれば、老齢厚生年金を増やせます。
●繰下げ受給する
年金の受給開始を65歳以降に遅らせる「繰下げ受給」を選択すれば、1か月遅らせるごとに0.7%年金額を増やせます。2022年(令和4年)4月からは75歳までの繰下げが可能になっており、最大で84%年金額を増額できます。
まとめ
60歳までに国民年金保険料を10年しか払わなかったら、年金額はかなり少なくなってしまいます。60歳を過ぎてからでも、年金を増やす方法はあります。できる方法を組み合わせて年金を少しでも増やす工夫をしましょう。
【関連記事もチェック】
・2022年年金改正、対象にならない人が多いのは本当か
・退職金の受け取り方は一時金と年金、どちらが正解か
・iDeCo・企業型確定拠出年金で絶対に選んではいけない5商品
・パートは手取りが減っても厚生年金・社会保険に加入するほうが得なのか
・月収25万円・35万円・45万円の人が43年会社に勤めたら、年金はいくらもらえるのか
森本 由紀 ファイナンシャルプランナー(AFP)・行政書士・離婚カウンセラー
Yurako Office(行政書士ゆらこ事務所)代表。法律事務所でパラリーガルとして経験を積んだ後、2012年に独立。メイン業務の離婚カウンセリングでは、自らの離婚・シングルマザー経験を活かし、離婚してもお金に困らないマインド作りや生活設計のアドバイスに力を入れている。
この記事が気に入ったら
いいね!しよう