24/09/27
9月に届く「年金生活者支援給付金請求書」年6万円もらえるのはどんな人?
厚生労働省「国民生活基礎調査」(2023年)によると、年金のみで生活している高齢者世帯の割合は41.7%にのぼります。年金は定年後の収入の柱であることに違いありません。ただ、もらえる金額は決して満足な金額ではありません。仕事を引退したことで、収入がぐっと減ってしまう方も多くいます。また、最近の物価高などの影響を受けて、生活が厳しいという声も聞かれます。
そんな中、所得が一定未満の方に対して、毎年9月に「年金生活者支援給付金請求書」という書類が送付されていることをご存じでしょうか。もしも「届いたけど返送してない」ならば、すぐに手続きして返送しましょう。年金額が増やせます。
年金生活者支援給付金請求書はどんな書類?
年金生活者支援給付金請求書は、国民年金(基礎年金)を受給している方に届くことのある書類です。
新たに年金生活者支援給付金を受け取ることができる方には「簡易な年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」、年金生活者支援給付金の支給要件に当てはまるかを確認できない方には「年金生活者支援給付金請求書(A4型)」と所得情報を確認するための「所得状況届」などが届きます。
<簡易な年金生活者支援給付金請求書(はがき型)>
日本年金機構のウェブサイトより
<年金生活者支援給付金請求書(A4型・抜粋)>
日本年金機構のウェブサイトより
年金生活者支援給付金請求書は、毎年9月第1営業日から順次送付されます。名前のとおり、「年金生活者支援給付金」という給付金を受け取るための請求書です。
年金生活者支援給付金はどんな給付金?
年金生活者支援給付金は、年金に上乗せする形で支給される給付金です。年金などの収入やその他の所得が一定基準以下の年金受給者の生活を支援するために、2019年10月に導入されました。
年金生活者支援給付金には、次の3種類があります。なお、以下の給付金額等は2024年10月時点のものです。
●老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金
老齢年金生活者支援給付金は、老齢基礎年金をもらっている対象者に支給される給付金です。老齢年金生活者支援給付金がもらえる人は、次の3つの支給要件を満たす人です。
【老齢年金生活者支援給付金の支給要件】
① 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
② 同一世帯の全員が市町村民税非課税
③ 前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が
・昭和31年(1956年)4月2日以後生まれの方…88万9300円以下
・昭和31年(1956年)4月1日以前生まれの方…88万7700円以下
※障害年金や遺族年金などの非課税収入は含まない
なお、「③前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額」が、
・昭和31年(1956年)4月2日以後生まれの方…78万9300円超88万9300円以下
・昭和31年(1956年)4月1日以前生まれの方…78万7700円超88万7700円以下
の場合には、老齢年金生活者支援給付金ではなく「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。これは、給付金をもらう人ともらわない人の間で所得が逆転しないようにするためのものです。
老齢年金生活者支援給付金の給付額(保険料納付済期間が480か月の場合の給付額)は月額5,310円です。保険料納付済期間が480か月に満たない場合や、保険料の免除期間がある場合は、月額5,310円を基準にして金額が算出されます。
また、補足的老齢年金生活者支援給付金の場合は、前年の年金収入額やその他の所得額なども考慮して給付額が決まります。
●障害年金生活者支援給付金
障害年金生活者支援給付金は、障害基礎年金をもらっている対象者に支給される給付金です。障害年金生活者支援給付金がもらえる人は、次の2つの支給要件を満たす人です。
【障害年金生活者支援給付金の支給要件】
① 障害基礎年金の受給者
② 前年の所得が472万1000円以下
※障害年金などの非課税収入は所得に含まない
※前年の所得は扶養親族の数に応じて増額
障害年金生活者支援給付金の金額は、障害等級が1級か2級かで異なります。
・障害等級2級:月額5,310円
・障害等級1級:月額6,638円
なお、障害等級3級の方は支給の対象外です。
●遺族年金生活者支援給付金
遺族年金生活者支援給付金は、遺族基礎年金をもらっている対象者に支給される給付金です。遺族年金生活者支援給付金がもらえる人は、以下の2つの支給要件を満たす人です。
【遺族年金生活者支援給付金の支給要件】
① 遺族基礎年金の受給者
② 前年の所得が472万1000円以下
※遺族年金などの非課税所得は含まない
※前年の所得は扶養親族の数に応じて増額
障害年金生活者支援給付金の金額は、月額5,310円です。ただし、2人以上の子が遺族基礎年金を受給している場合は、5,310円を子の数で割った金額が支払われます。
このように、年金生活者支援給付金は、条件を満たしていれば月額5,000円程度、年額で6万円程度の給付金がもらえる制度です。物価高などで生活が苦しい人への大きな助けになることは間違いありません。
年金生活者支援給付金をもらうには?
はじめに紹介した「簡易な年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が届いた方は、年金生活者支援給付金の対象です。同封のはがきに氏名と提出日を記載して、切手を貼って返送すれば、年金生活者支援給付金がもらえます。
また、「年金生活者支援給付金請求書(A4型)」が届いた方は、年金生活者支援給付金の対象かもしれません。同封の年金生活者支援給付金請求書に必要事項を記入し、所得状況届を添えて返送します。所得の基準等を満たしていれば、年金生活者支援給付金がもらえます。
年金生活者支援給付金請求書が届いていたものの、紛失してしまったという場合は、日本年金機構のウェブサイトで「年金生活者支援給付金請求書(A4型)」がダウンロードできますので、そちらを利用しましょう。
また、こちらは9月に限った話ではありませんが、65歳を迎えるなどして、これからはじめて基礎年金を受給する場合、対象者には日本年金機構から誕生日の3か月ほど前に届く年金請求書に年金生活者支援給付金請求書が同封されてきますので、年金請求書と一緒に提出します。
すでに特別支給の老齢厚生年金を受給している場合は、65歳の誕生月の初めごろに日本年金機構からはがき型の「年金請求書 兼 年金生活者支援給付金請求書」が届きますので、必要事項を記入のうえ提出します。
そして、万が一条件に当てはまるのにも関わらず年金生活者支援給付金請求書が届いていない場合は、年金事務所に問い合わせてみましょう。
年金生活者支援給付金は一度手続きをして対象者になれば、翌年以降は手続きする必要はありません。制度が続いている間、条件を満たすならば毎年年金生活者支援給付金をもらえます。逆に、条件を満たさなくなって支給額が変わるときには「支給金額変更通知書」、支給されなくなるときには「不該当通知書」が届き、支給額が変わったり支給が終わったりします。
なお、再度条件を満たすようになった場合は、改めて請求の手続きを行うことで支給が再開されます。
書類が届いていたら忘れずに手続き!
9月に送付される年金生活者支援給付金請求書がもし届いていたら、年金生活者支援給付金の対象です。届いているにも関わらず、手続きをしていないのはもったいないことです。できるだけ早く手続きしましょう。
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畠山 憲一 Mocha編集長
1979年東京生まれ、埼玉育ち。大学卒業後、経済のことをまったく知らないままマネー本を扱う編集プロダクション・出版社に勤務。そこでゼロから学びつつ十余年にわたり書籍・ムック・雑誌記事などの作成に携わる。その経験を生かし、マネー初心者がわからないところ・つまずきやすいところをやさしく解説することを得意にしている。2018年より現職。ファイナンシャル・プランニング技能士2級。教員免許も保有。趣味はランニング。
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