24/08/24
お得な退職日は月末?月の途中?月のうちいつ退職するのがいいのか
会社を退職するとき、退職日によって社会保険の負担が変わることをご存じですか?切りの良いタイミングで退職しようと思うと、末日を選びがちです。しかし末日の場合、最後の給与で2ヵ月分の社会保険料を支払わなければいけなくなることがあります。
そこで今回は、退職日と社会保険の関係と、退職日による社会保険の負担がどう変わるのかを解説します。
知っておきたい退職日と社会保険の関係
社会保険には、健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険、介護保険(40歳以上)の5つがあります。会社員の場合、保険料は給与から天引きされています。なお、会社も従業員の保険料を負担しています。
ではここで、退職日と社会保険の関係について確認しておきましょう。
●社会保険の資格喪失日は退職日の翌日
会社を退職すると、これまで加入していた社会保険の資格を失いますが、加入資格は退職日まで続きます。そのため資格喪失日は退職日の翌日になります。たとえば退職日が8月31日の場合、社会保険の資格喪失日は9月1日です。
●資格喪失日のある月は社会保険料の負担なし
資格喪失日のある月は社会保険料の負担は必要ありません。たとえば、8月15日に退職する場合、資格喪失日は8月16日になります。資格喪失日のある月は社会保険料の負担は発生しないので、8月15日に退職する場合、8月分の社会保険料は支払う必要はありません。
退職日によって社会保険料の負担が変わる
社会保険の資格喪失日のある月は社会保険料を負担しなくてもいいとお伝えしました。ということは、退職日の選び方によって社会保険料の負担が変わるということです。では、どのように負担が変わってくるのか、3つの退職日のケースを見てみましょう。
●①月末に退職する場合
月末に退職すると、社会保険の資格喪失日が翌月の1日になります。資格喪失日が月をまたぐので、退職月の社会保険料を負担する必要があります。
たとえば8月31日が退職日になる場合、社会保険の資格喪失日は9月1日になるため、8月分の社会保険料は最後の給与から天引きされます。一般的に給与から天引きされる社会保険料は前月分となるため、場合によっては8月分の給与からは7月分と8月分の2ヵ月分、社会保険料が天引きされることがあるかもしれません。
●②月の途中で退職する場合
月の途中で退職する場合、社会保険の資格喪失日は退職日の翌日、つまり退職月となります。資格喪失日のある月の社会保険料は支払いが発生しないため、このケースでは退職月の社会保険料は発生しません。
たとえば、8月15日に退職する場合、社会保険の資格喪失日は8月16日となるため、8月分の社会保険料は免除となります。このケースの場合、8月分の給与からは7月分の社会保険料のみが手引きされます。
●③月末の1日前に退職する場合
月末の1日前に退職するということは、たとえば8月なら退職日は8月30日です。この場合、社会保険の資格喪失日は8月31日となり、退職月と資格喪失日が同じ月になります。このケースでは8月分の社会保険料は発生しないので、8月分の給与からは7月分の社会保険料のみが天引きされます。
何日に会社を辞めるのがいい?
退職日の3つのケース(①月末に退職、②月の途中で退職、③月末の1日前に退職)からわかるのは、退職日と社会保険の資格喪失日が月をまたぐかどうかで、退職月の給与から納付する社会保険の負担が変わることです。
退職日と資格喪失日が月をまたぐ場合、退職月の給与からは2ヵ月分の社会保険料を納付することになります。しかし、退職日と資格喪失日を同じ月にすれば、退職月の社会保険料は支払う必要がなくなります。
こうなると、月の途中や月末の1日前に退職するのがお得のように見えます。しかし、会社によっては退職日を規程で定めているところがあります。月末しか選べないということもありますので、事前に確認しておきましょう。
また、退職する場合のボーナスや退職金の受け取りについて会社の規程を設けている場合もあります。この場合は、ボーナスや退職金を受け取ってから退職したほうがお得になることが多いでしょう。
さらに、会社を退職して転職するまでの間に空白期間ができる場合、あるいは転職先が決まっていない場合、たとえ1日の空白であっても、退職日の翌日からは国民年金と国民健康保険に加入しなければなりません。そして、加入が1日であっても、もちろん1ヵ月分の保険料の支払いが発生します。この場合は、月末に退職したほうがいいでしょう。会社の社会保険料は会社と折半して納める分お得ですし、厚生年金の加入月を1ヵ月増やせるからです。
なお、退職日を転職先の入社日の前日にすれば、転職先で新たに社会保険に加入するので、社会保険の空白はできません。転職先が決まっているなら、退職日は転職先の入社日の前日にするのがよいでしょう。
社会保険の支払いがお得になる退職日を選ぼう
社会保険の支払いがお得になる退職日は、人によって異なることを紹介しました。社会保険の保険料の支払いだけ見れば、月の途中や月末の1日前といった月末以外がお得ですが、月末しか選べない場合や、月末がお得になるケースもあります。会社の規程ではどのように定められているかを確認し、お得になる退職日を選びましょう。
【関連記事もチェック】
・【やらないと大損】年金生活者が忘れてはいけない5つの手続き
・新たに年金・低所得者世帯に給付金がもらえる?対象となる条件は
・60歳以降にもらえる3つの「高年齢給付金」 対象者は?金額はいくら?
・定年後「給与減」でも働き続けた方がいい5つの理由
・「金持ち老後」と「貧乏老後」を分ける決定的な5つの違い
前佛 朋子 ファイナンシャル・プランナー(CFP®)・1級ファイナンシャル・プランニング技能士
2006年よりライターとして活動。節約関連のメルマガ執筆を担当した際、お金の使い方を整える大切さに気付き、ファイナンシャル・プランナーとなる。マネー関連記事を執筆するかたわら、不安を安心に変えるサポートを行うため、家計見直し、お金の整理、ライフプラン、遠距離介護などの相談を受けている。
この記事が気に入ったら
いいね!しよう