24/07/12
「NISA貧乏」になる人の3つの特徴
NISAは安定的な資産形成を支援するための制度です。投資で得た利益に税金がかからず、いつでも資金を引き出せるため、おトクかつ柔軟に投資できるというメリットがあります。しかし、間違った使い方をしてしまうと逆に損をしてしまうこともあるので注意が必要です。
今回は「NISA貧乏」になってしまう人の特徴を紹介します。NISAを有効活用するために、「NISA貧乏」につながる行動を取っていないかチェックしてみましょう。
NISA貧乏になってしまう人の特徴1:生活費や使う予定があるお金で投資している
投資の基本は「余裕資金」で始めること。余裕資金とは、当面使わなくても生活に問題が出ないお金のことです。そのため、いくらNISAがおトクな制度だからといって、生活費やすぐに使う予定のあるお金を投資にまわすと「NISA貧乏」につながる可能性があるので注意しましょう。
投資は常に値動きするため、運用状況によっては元本割れする可能性もあります。そのため、生活費やすぐに使う予定のあるお金を投資にまわすと、値下がりした場合に価格が回復するまで十分な時間がなく、損をしてしまう危険性があるのです。損失を抱えているのに泣く泣く換金しなければならないとなれば、NISA貧乏になってしまいます。
ですから、生活費や数年以内に使い道の決まっているお金は、元本割れの心配がない現金や預貯金で準備しておくとよいでしょう。
なお、どれだけのお金を投資にまわせるか(余裕資金がいくらあるか)は人によって異なります。「月〇万円を投資すべき」といった決まった答えはありません。
一般的に余裕資金は以下のように計算します。
余裕資金 = 手持ちの資金 - 生活費3か月分~6か月分(緊急予備資金) - 使い道の決まっているお金
生活費は3か月分~6か月分を現金や預貯金で確保しておくとよいでしょう。生活費3か月分~6か月分とは、災害時や病気・けがなどで働けなくなった場合に備えて準備しておきたいお金(緊急予備資金)の目安です。
また車の購入資金や子どもの進学費用など、すでに使い道の決まっているお金も投資にまわさず、預貯金で準備しておくと安心です。
NISA貧乏になってしまう人の特徴2:すぐに売却してしまう
投資を始めたばかりの方は、値下がりすると不安になって保有している商品を売ってしまいたくなることもあるでしょう。しかし一時的な値動きですぐに売却するのは得策ではありません。短期間で売却してしまうと、複利効果(投資の利益を再び投資にまわすことで、利益が利益を生み、資産が膨らんでいく効果)が得られなくなってしまうためです。
値下がりが不安な方は積立投資がおすすめです。積立投資は毎月決まった金額を買い続けるため、購入金額を平均化できます。そのため、一時的に値下がりしたとしてもその影響は限定的で済むのです。
もっとも、前述のとおり余裕資金で始めれば、価格が回復するまでに時間の余裕があるので、不安で売却してしまうリスクは低くなります。また、「住宅購入の頭金のため」「子どもの教育資金を準備するため」というように投資の目的を明確にして始めれば、計画的に積立を続けやすくなるはずです。
どうしても一時的な値動きに惑わされてしまう方は、まずは少額から、ポイント投資なども活用して投資に慣れるところから始めましょう。
NISA貧乏になってしまう人の特徴3:ポイントほしさにクレカ積立している
ネット証券を中心に利用できる「クレカ積立」はお得なサービスですが、それを目的に無理な金額を投資にまわすと「NISA貧乏」に陥る可能性があります。
クレカ積立とは、投資信託などの積立をクレジットカードで支払えるサービスです。クレジットカードでのお買い物と同様、クレカ積立に使った金額に応じてカード会社のポイントが付くので、お得にポイ活できる方法として近年注目されています。
ただし、ポイ活のためにクレカ積立を無理な金額で始めるのは禁物です。クレカはその時点で口座にお金がなくても使えてしまうため、生活費に必要な分まで積立にまわしていてもすぐに気づかない危険性があります。後々家計が苦しくなったり必要な預貯金を目減りさせてしまったりする可能性もあるので、前述のとおり、余裕資金の範囲で毎月問題なく支払える金額を積み立てましょう。
また、ポイント還元率の高い上位カード(ゴールドカードやプラチナカード)でクレカ積立する場合も注意が必要です。クレカ積立で利用できる上位カードは通常年会費がかかるので、年会費のモトをとるためには毎月一定の金額を積み立てる必要があります。そのため、クレカ積立のために新たにクレジットカードを作る場合は、余裕資金の範囲内で積み立てても年会費のモトがとれるか検証することをおすすめします。
NISA貧乏を避ける行動を
NISAは長期的な資産形成のために活用するのであれば、おトクに利用できる制度です。今回紹介した3つの人の特徴をふまえて、「NISA貧乏」を避ける行動を取りましょう。投資の基本である「長期・積立・分散投資」を実践していれば、NISA貧乏に陥るリスクは低くなるので、ぜひ長期的な目的をもってNISAを有効活用してください。
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鈴木靖子 ファイナンシャルプランナー(AFP)、2級DCプランナー(企業年金総合プランナー)
銀行の財務企画や金融機関向けコンサルティングサービスに10年以上従事。企業のお金に関する業務に携わるなか、その経験を個人の生活にも活かしたいという思いからFP資格を取得。現在は金融商品を売らない独立系FPとして執筆や相談業務を中心に活動中。
HP:https://yacco-labo.com
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