17/04/13
先取り貯蓄の王道 財形貯蓄とは
貯蓄が苦手な人は「財形貯蓄」を使いこなそう
お金を貯めるために一番大切なこと、それは、「先取り貯蓄」を心がけることです。先取り貯蓄とは、支出したあとに余ったお金を貯蓄に回すのではなく、お給料が入ったら、先に貯蓄分を取り分けてしまうという方法です。お金を貯められる人は、もれなく先取り貯蓄を実践しています。
先に将来のための貯蓄を取り分けてさえしまえば、あとは残ったお金の範囲で生活するだけで貯蓄は確実に積み上がっていきます。
とはいえ、毎月お給料日にお金を引き出し、別口座に入れて…と手作業でしていたら続けるのが面倒になります。そこで、利用したいのが、「財形貯蓄」。
毎月給料から天引きで積み立ててもらえるので、強制的に(自動的に)、先取り貯蓄ができるわけです。
財形貯蓄の仕組み
財形貯蓄とは「勤労者財産形成貯蓄」の略称です。勤務先がこの制度を導入していれば、毎月お給料から天引きで積み立てしてもらえます。
財形貯蓄を所管している厚生労働省の調査によると、従業員1000人以上の企業では8割以上が導入しているそうです。
財形貯蓄には「一般財形貯蓄」「財形年金貯蓄」「財形住宅貯蓄」の3つがありますが、このうち財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄については、合計元本 550万円(もしくは元本 385万)までの利息が非課税になるという優遇措置があります。
一般財形貯蓄の場合にはこうした優遇措置はありません。
一般財形貯蓄は、資金の使い道が自由。3年以上積み立てるのが条件ですが、積立開始から1年経てば引き出すことができます。引き出すには会社の窓口や上司の印鑑などが必要で銀行の普通預金にように簡単には引き出せません。
一般財形貯蓄には税金の優遇措置はありませんが、確実にお金が貯まる仕組みをつくるには、この「簡単には引き出せない」というところがポイントになります。
財形貯蓄制度内の資金の預け先
財形制度は原則として預貯金ベースです。ごく一部の金融機関が投資信託を購入できるようにしていますが、ほとんどは銀行や労働金庫で積立定期預金を行います。
財形制度を行う金融機関は、勤め先の企業が指定するので、自分だけ投信で積み立てる、ということはできません。また、財形制度は企業が加入していなければ利用できないという欠点もあります。つまり、社員個人で利用することができないということです。勤め先の企業が加入しているかどうか確認してみてください。
超低金利でも財形貯蓄を利用する必要はあるのか
税金がかかろうがかかるまいが定期預金はほとんど差がないので「財形年金貯蓄」や「財形住宅貯蓄」を利用するのは意味がないのでは、と考えるのは禁物。
というのも、財形貯蓄が低金利と決まっているわけではないからです。
市中銀行の金利水準が低金利であるあおりが財形貯蓄にも及んでいるだけであり、将来の金利上昇時には財形貯蓄の金利ももちろん上昇します。
2017年4月現在は定期預金金利が0.01%ですが、将来2%の水準まで上昇したら話が違ってきます。高金利になってから慌てて積み立て開始しては高金利の非課税メリットを大きく得られないわけです。今のうちからコツコツと積み立てておくことが大切です。
財形貯蓄の注意点
財形年金貯蓄や財形住宅貯蓄は、優遇措置があるといっても、目的外の払い出しの場合には適用されません。
例えば、財形年金貯蓄であれば、60歳になる前に、老後の生活費以外の用途で払い出すと課税扱いとなります。
また、会社を退職した場合には財形貯蓄を解約しなければならない場合があることも念頭に置いておきましょう。転職先でも財形貯蓄制度を導入していれば、退職後1年以内であれば転職前に積み立てていた分を転職先に移し替えることができますが、制度がなければいったん解約する必要がでてきます。
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頼藤 太希 マネーコンサルタント
(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)、など書籍100冊、累計170万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。X(旧Twitter)→@yorifujitaiki
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