23/10/08
金持ち定年と貧乏定年、決定的な5つの違い
高齢化が進む日本の平均寿命は男性81.05歳、女性87.09歳(厚生労働省「令和4年簡易生命表の概況」)。今後はさらに延びることが予測されています。寿命が長くなるのは嬉しいことですが、その分老後の期間も長くなるため、定年後のお金の心配も増えてしまうのも事実です。定年後は現役時代と比べて、家計の状況やライフスタイルが変わる人がほとんどでしょう。そのため、ゆとりある老後を送れるかどうかは、定年前にどのような準備をしているかで決まってくるとも言えます。
今回は「金持ち定年」と「貧乏定年」を分ける5つの行動や習慣を紹介します。老後のお金や生活に漠然とした不安を持っている人はぜひチェックしてみてくださいね。
金持ち定年と貧乏定年の違い1:定年後のライフプランを立てているか
定年後のお金のかかり方は、その人のライフスタイルによって大きく異なります。定年後にどのような暮らしをしたいかイメージできていますか?「老後は田舎でのんびり暮らしたい」「年に1回海外旅行をしたい」「もっと趣味にお金を使いたい」など、人によって希望する老後の送り方は違うと思います。
まずは老後にやりたいことを年表に書き出してみましょう。時期ややりたいことを具体化することで、実現するにはいつまでにどのくらいお金が必要かイメージしやすくなります。老後になって「こんなにお金がかかるとは思わなかった」と後悔しないよう、早めに老後の暮らし方を考えておくことが大切です。
金持ち定年と貧乏定年の違い2:定年後の収支を把握しているか
定年後は収入より支出が上回るケースが一般的。そのため現役時代にしっかり準備する必要がありますが、定年までに準備すべき金額は人によって異なります。老後のために漠然と貯金するより、定年後の収支を把握して、計画的に資産形成することが大切です。
定年後の収入の柱となるのは原則65歳からもらえる公的年金(老齢年金)です。自分がもらえる年金額を把握していますか?厚生労働省が公開している「公的年金シミュレーター」で将来の年金額が試算できるので、ぜひ活用してみましょう。毎年1回、誕生月に日本年金機構から送られてくる「ねんきん定期便」の二次元コードを利用すれば、自分の年金記録を入力する手間が省けますよ。
生命保険文化センター「生活保障に関する調査」によると、ゆとりある老後の生活費は月平均37.9万円となっています。定年後の支出額に検討が付かない場合は、この金額を目安にするといよいでしょう。ただしこの金額はあくまで平均値なので、より現実的な支出を把握するためには食費、光熱費、居住費など項目別に見積もることをおすすめします。家計簿アプリなどを活用して現在の支出の詳細を把握したうえで、定年後の支出を予想しましょう。
その他に忘れてはいけないのが、老後のライフイベントで発生する「一時的な支出」です。自宅のリフォームや子供の結婚資金・住宅購入資金の援助、介護など老後のライフイベントで発生しそうな費用を見積もって準備しておきましょう。1で紹介したように定年後のライフプランを立てておくと、いつまでにどのくらいのお金が必要か予想しやすいはずです。
金持ち定年と貧乏定年の違い3:定年後も働ける準備をしているか
定年後も働く予定であれば、そのための準備も必要です。今の会社で引き続き働く予定なら、どのくらいの年収がもらえるのか情報収集しておきましょう。
定年後は現役時代とは別の仕事をしたい人や、他の会社に再就職したいと考えているなら、それを実現するために準備が必要になるかもしれません。例えば「定年後は夫婦でカフェを開きたい」と考えているなら、開業資金の準備や店舗の確保、経営の知識などが必要になってきます。今とは別の仕事にチャレンジしたいのであれば、新たなスキルや資格が必要になるでしょう。
定年直前になってその後も働きたいと思っても、何も準備していなければ働き方の選択肢は限られてきます。現役時代から定年後の働き方を考えて、早めに準備しておきましょう。
金持ち定年と貧乏定年の違い4:健康に気を配っているか
長生きできても、健康でなければ思い描くライフプランを実現できない場合があります。例えば定年後も働く予定でも、病気をして思うように働けなくなってしまえば、想定していた収入を得ることはできないでしょう。さらに医療費や介護費用もかかってしまうため、老後の支出はかさんでしまいます。旅行や趣味など、定年後にやりたいことを実現できなくなる可能性もあります。
厚生労働省「健康寿命の令和元年値について」によると2019年時点の健康寿命の平均は男性で72.68歳、女性75.38歳で、平均寿命と約10年前後の差があります。老後生活をより豊かにするためには、健康寿命を延ばすことが大切です。健康寿命を延ばす方法としては、食生活や生活習慣の改善や、定期的な健康診断や人間ドックの受診などが有効と考えられています。お金の面だけではなく、健康面でも豊かな老後生活を送るために、今のうちから健康を意識した生活を心がけましょう。
金持ち定年と貧乏定年の違い5:人間関係を大切にしているか
老後の3大不安は「お金・病気・孤独」と言われており、定年後もよい人間関係を築けていることも豊かな老後生活には大切です。趣味の仲間や地域の人など定年後も家族以外で気軽にコミュニケーションを取れる相手がいれば、気持ちの面でも豊かになり、元気に暮らすモチベーションになるでしょう。
また定年して人とのコミュニケーションが減ってしまうことが、認知症のリスクを高める原因になるとも言われています。人間関係はすぐに築けるものではないため、普段から仕事以外の人間関係も大切にしておきましょう。
定年前から準備を始めよう
今回紹介した5つの行動や習慣は、それぞれ密接に関係しています。早いうちから定年後を意識して準備できるかどうかで、豊かな老後を送れる可能性は高くなるでしょう。豊かな老後の基準は人それぞれなので、「定年までに○○万円貯めたから金持ち」というような決まりはありません。どのような老後を送りたいかを考えたうえで、それに必要なお金の準備や定年後の働き方を検討することをおすすめします。
もちろんお金や仕事ではなく、健康や人間関係も豊かな老後生活には大切な要素です。経済的にも体や心の面でも「豊かな老後」を目指して、定年前から準備を始めましょう!
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鈴木靖子 ファイナンシャルプランナー(AFP)、2級DCプランナー(企業年金総合プランナー)
銀行の財務企画や金融機関向けコンサルティングサービスに10年以上従事。企業のお金に関する業務に携わるなか、その経験を個人の生活にも活かしたいという思いからFP資格を取得。現在は金融商品を売らない独立系FPとして執筆や相談業務を中心に活動中。
HP:https://yacco-labo.com
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