23/06/30
ボーナス30万円・50万円・100万円の手取りはいくら?天引きされる税金・社会保険料の金額
私たちが会社からもらうボーナスからは、税金と社会保険料が天引きされています。天引きされる金額は、ボーナスの総支給額や扶養家族の人数、加入する健康保険組合、住所地などにより異なりますが、どれくらい天引きされるのか気になりませんか?
そこで今回は、ボーナスが30万円・50万円・100万円の場合、天引きされる税金と社会保険料の金額と手取りを試算してみました。
ボーナスの所得税の決まり方
所得税は、毎月の給与から会社が給与引きで源泉徴収して、私たちに変わって納税しています。その際、給与所得からの源泉徴収税額は、国税庁が公表する「給与所得の源泉徴収税額表(月額票、日額票)」に応じて算出されています。
ボーナスの所得税は、給与と同じく会社が賞与から天引きして源泉徴収しています。しかし、源泉徴収税額の算出方法は給与とは異なります。
ボーナスの所得税は、国税庁が公表している「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」に当てはめ、該当する所得税率を調べます。その際、前月の給与から社会保険料を控除した金額と扶養親族の人数によって税率が決まるのです。
●賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表
国税庁の資料より
該当する所得税率を確認したら、ボーナスの総支給額から社会保険料を差し引いた金額に所得税率を掛けて計算します。
○ボーナスから天引きされる所得税=(ボーナス総支給額-社会保険料)×所得税率
ボーナスの社会保険料の決まり方
社会保険料には、健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料があり、どれも給与や賞与からの天引きとなります。では、各保険料の計算方法を見ていきましょう。
●健康保険料
健康保険料は労使折半で、労働者と事業者が半分ずつ保険料を支払います。ボーナスから天引きされる健康保険料は、標準賞与額(ボーナス総支給額から千円未満を切り捨てた金額)に保険料率を掛けた金額の2分の1の金額です。また、保険料率は加入する健康保険組合や住所地により異なります。
40歳から64歳の人は、健康保険料と合わせて介護保険料も徴収されます。40歳以上の人は介護保険料分も合わせた保険料率で、健康保険料と介護保険料を合わせた徴収額を求めます。
○ボーナスから天引きされる健康保険料=標準賞与額×保険料率×1/2
●厚生年金保険料
厚生年金保険料も労使折半となり、労働者と事業者が半分ずつ保険料を負担します。ボーナスから天引きされる厚生年金保険料は、標準賞与額(ボーナス総支給額から千円未満を切り捨てた金額)に厚生年金保険料率を掛けた金額の2分の1です。現在、厚生年金の保険料率は18.3%で固定されています。
○ボーナスから天引きされる厚生年金保険料=標準賞与額×厚生年金保険料率×1/2
●雇用保険料
雇用保険とは、失業給付や育児・介護休業給付金などの給付を行うものです。企業に雇用され加入条件に該当する人は必ず加入することになっています。雇用保険料は、ボーナス総支給額に労働者負担の雇用保険料率を掛けて求めます。2023年度の雇用保険料率は、一般の事業の場合、労働者負担が0.6%、事業者負担は0.95%です。
○ボーナスから天引きされる雇用保険料=ボーナス総支給額×雇用保険料率
ボーナス30万円・50万円・100万円の手取りを計算してみた
では、ボーナスが30万円・50万円・100万円の手取りがどれくらいになるのか計算してみましょう。
<前提条件>
・東京都在住 30歳 扶養家族なし
・協会けんぽに加入
・ボーナス支給月の前月の給与:323,000円
・健康保険料の税率:10.0%
・厚生年金保険料の税率:18.3%
・上記の給与から社会保険料を控除して「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」に当てはめた所得税率:6.126%
●ボーナス30万円の天引きされる金額と手取り
天引きされる社会保険料と所得税、手取りは以下の通りです。
○健康保険料
=標準賞与額×健康保険料率×1/2
=30万円×10.0%×1/2=15,000円
○厚生年金保険料
=標準賞与額×厚生年金保険料率×1/2
=30万円×18.3%×1/2=27,450円
○雇用保険料
=ボーナス総支給額×雇用保険料率
=30万円×0.6%=1,800円
○所得税
=(ボーナス総支給額-社会保険料)×所得税率
={30万円-(15,000円+27,450円+1,800円)}×6.126%
=15,667円(1円未満の端数は切り捨て)
○ボーナス30万円の手取り
30万円-15,000円-27,450円-1,800円-15,667円=240,083円
ボーナス30万円の手取りは【240,083円】になりました。
●ボーナス50万円の天引きされる金額と手取り
天引きされる社会保険料と所得税、手取りは以下の通りです。
○健康保険料
=標準賞与額×健康保険料率×1/2
=50万円×10.0%×1/2=25,000円
○厚生年金保険料
=標準賞与額×厚生年金保険料率×1/2
=50万円×18.3%×1/2=45,750円
○雇用保険料
=ボーナス総支給額×雇用保険料率
=50万円×0.6%=3,000円
○所得税
=(ボーナス総支給額-社会保険料)×所得税率
={50万円-(25,000円+45,750円+3,000円)}×6.126%
=26,112円(1円未満の端数は切り捨て)
○ボーナス50万円の手取り
50万円-25,000円-45,750円-3,000円-26,112円=400,138円
ボーナス30万円の手取りは【400,138円】になりました。
●ボーナス100万円の天引きされる金額と手取り
天引きされる社会保険料と所得税、手取りは以下の通りです。
○健康保険料
=標準賞与額×健康保険料率×1/2
=100万円×10.0%×1/2=50,000円
○厚生年金保険料
=標準賞与額×厚生年金保険料率×1/2
=100万円×18.3%×1/2=91,500円
○雇用保険料
=ボーナス総支給額×雇用保険料率
=100万円×0.6%=6,000円
○所得税
=(ボーナス総支給額-社会保険料)×所得税率
={100万円-(50,000円+91,500円+6,000円)}×6.126%
=52,224円(1円未満の端数は切り捨て)
○ボーナス50万円の手取り
100万円-50,000円-91,500円-6,000円-52,224円=800,276円
ボーナス100万円の手取りは【800,276円】になりました。
まとめ
ボーナスからは社会保険料と所得税が天引きされます。また所得税率は、ボーナス支給月の前月の給与から社会保険料を引いた金額と扶養親族の人数から、国税庁が公表する「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」に当てはまる税率になります。ちなみに、ボーナスからは住民税は課税されません。これからボーナスをもらったときは、賞与明細書を見てどのように手取りが決まっているのかを確認してみてはいかがでしょうか。
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前佛 朋子 ファイナンシャル・プランナー(CFP®)・1級ファイナンシャル・プランニング技能士
2006年よりライターとして活動。節約関連のメルマガ執筆を担当した際、お金の使い方を整える大切さに気付き、ファイナンシャル・プランナーとなる。マネー関連記事を執筆するかたわら、不安を安心に変えるサポートを行うため、家計見直し、お金の整理、ライフプラン、遠距離介護などの相談を受けている。
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